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初稿公開日:2012年3月11日
「スペインに住んでいるのは、何か特別な目的でもあるのですか?」
このように日本から来る知り合いの方々に
しばしば聞かれることがあります。
理由は複数回答存在するのですが、
その内そのきっかけとなったのは2つ。
それはかつて学校で勉強した
国語と社会科だったのです。
両科目とも、
別段大好きな科目ではなかったように思います。
ところが授業中に学習したちょっとしたことが、
自分にとって美しいと感じる
「日本の風景」や
「日本人としての感覚」に目覚め、
その一方で「異文化間の相違」にも
興味を持つようになるなんて...。
今思えば
「スペイン行きの第一歩」となったのは
間違いありません。
清少納言との出会い
「春は曙。やうやう白くなり行く山際、すこしあかりて、紫だちたる雲の…」の一節。
![貝合わせ 1489](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2012/03/Blog-3-1.jpg)
国語の時間習った
随筆「枕草子」を覚えていますか?
作品中での日本の景色に対する観察力、
端的な文章での表現力に
納得させられてしまった私。
文章がとても映像的で
私の心に優しく囁きかけながらも、
「すぱーん!」と、
確かな直球を投げて来た感じでした。
「好き!こう言う文章、素敵だなぁ…」。
言葉で表現するのならこんな風でしょうか。
それにふと思ったのですが、
私達は平安時代に生きた人と
長い時を経ても共通する感性を持っていて
「お互い文章で繋がりあい、さらに未だに文章を通して
新鮮な感覚を提供してくれる」。
これもまた、今更ながらす・ご・いと思いませんか?
つくづく「新しさとは何か? 」を
考えさせられてしまいます。
さて下の写真は、
お寺の境内で写したものです。
日本の景色は眺めていますと、
人との一体感があって気持ちが本当に落ちきますね。
![楓 1490](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-1490.jpg)
1つ目のきっかけは、清少納言。そしてもう1つとは?
興味に対してレンジ幅の広い?私はある日、
今度は社会科の授業でもう1つ
「ん?」と思う興味深いものを見つけたのです。
教科書に出てくる
法隆寺の玉虫厨子(たまむしのずし)は
ご記憶があるでしょうか。
その厨子に
「忍冬唐草文様」(にんどうからくさもんよう)が見られます。
文様はつる草のスイカズラを
図案化したものですが、
この図案は国や地域によって
それぞれ文様が異なる為、
その違いに興味を持ちました。
この場で実際の各国・地域の図案が
どんな風なのかはご覧頂けませんが、
日本でのスイカズラの文様を
簡略化したものならご存知のはずです。
それは、
お正月に獅子舞が被るのにも使われることがある
「緑色の地に白色の唐草模様の布地」。
そう、これです。
でも「急になんだこりゃ!」と、
笑わないでくださいね。
![獅子舞の正月飾り 1491](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2012/03/Blog-3-3.jpg)
話を元に戻しますと
何故か
その唐草文様を単純に気に入ってしまったのです。
例えば、こんな事はありませんでしたか?
教科書を開けたとたん
気にかかる絵や写真、
図が載っているページを見つける。
その時は理由はわからないのだけれど、
なぜか妙に気になる。
気になり始めると、
先生の授業を進める声も少しずつ遠のいていく。
文様が載っているページをさらにじーっと見続ける。
で、自分の世界に浸ること数分間…。
そして、次の言葉へ。
「何故同じ植物なのに、地域や国が変ると文様も変るの?」
さらに、
「ん?エジプト・アッシリア、ササン朝ペルシア、ガンダーラ、…日本とみーんな違う!」
![香水瓶とフルーツ (イスラームのイメージ) MADRID 1492](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2012/03/TEMIKPHOTO-1492.jpg)
あの頃の自分自身を分析すると、
疑問にぶつかると先に進めず立ち往生する、
困ったちゃんタイプかもしれません。
ええ、そうなのです。それ以来、
時々思い出したように考えていました。
その後は日本文化との違いを知る度、
写真集や旅行ガイドブックを見ながら
地図を指で辿り頭の中で、
今日の旅はインド、ペルシャ、…
つい深みに嵌って、どんどん西へ….。
もう少し、もう少し、と本の中で旅を延ばしているうちに気がつけば、
北アフリカのモロッコまで...。
するとここで急ブレーキ!
『あー、いけません。この先は大西洋ですよ』と、
独り言を呟く私。
独り言はさておき、
歴史的に東洋の残り香が漂う場所は、
ヨーロッパにも存在します。
ジブラルタル海峡を渡り、もう一歩足を進める
![ジブラルタル海峡 433](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2012/03/Blog-3-5.jpg)
もう、おわかりでしょうね。
そう、スペインなのです。
今度は空想ではなく、
「現実にスペインへ来てしまった!」という訳です。
「人生は万華鏡」と言われることがあります。
万華鏡をまわしているとある時、
全く思いもかけぬ絵の展開に驚きます。
こうしてスペインに住んでおりますのも
『本当に万華鏡の絵の展開のようだ...』と、
思えるから人生とは不思議です。
今日は10代に体験した
所変れば文様も変るを辿りつつ、
スペイン行きの2つのきっかけを
お話を致しました。
次回は、
実際自分が撮りたいスペインとは
何なのかを考えていきます。
よろしかったら、またお越し下さいね♪
初稿公開日:2012年3月11日
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