JavaScript must be enabled in order for you to see "WP Copy Data Protect" effect. However, it seems JavaScript is either disabled or not supported by your browser. To see full result of "WP Copy Data Protector", enable JavaScript by changing your browser options, then try again.

第12話 光の野外美術館

アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る

初稿公開日:2014年2月28日

寒い季節の「光の美しさ」

2月も終わりになり
そろそろ本格的な春が
待ち遠しくなる頃ですね。

ところで1,2月の
寒い季節の風景と言えば、
やはり殺風景と思いがち。

Blog-12-48
木・冬景色 (東京)  8153
木・冬景色 (東京)  8153

ところが良く晴れた日には
独特の柔らかな光が加わり、
表情豊かな風景に思いがけなく
出会えることがあるのです。

そんな訳で
寒い季節の光を生かした、
身近にある風景を作品にしました。
展示場所はこちら、
ちょうど貴方の目の前にある
「光の野外美術館」です。

Blog-12-42
池の雪・冬景色 (東京)  8159
池の雪・冬景色 (東京)  8159

それから
「トレド・後半の旅」につきましては、
次回にまたゆっくりとお話し致しますね。

では、展示は「池」から始まります。
どうぞごゆっくり...。

池の冬色

Blog-12-2
羽毛・冬景色 (東京)  7228
羽毛・冬景色 (東京)  7228

静まりかえった
池の畔で目にしたのは、
柔らかな光があたる羽毛の船...。

Blog-12-3
葉・冬景色 (東京)  7433
葉・冬景色 (東京)  7433

泥や傷がついた葉が、
仰向けになって
ゆったりと浮かんでいます。

この葉は、
空を大きく舞った後、
何処かで寄り道でも
して来たのでしょうか。

Blog-12-4
水面の反射・冬景色 (東京)  7421
水面の反射・冬景色 (東京)  7421

清水が湧く池は澄み渡り、
水鏡に映るは、天空の色。

Blog-12-5
水面の反射・冬景色 (東京)  7477
水面の反射・冬景色 (東京)  7477

池の淵に
姿を表す深緑の林。

揺れる水面に蝶が舞い、
花咲く春色に見えるのは、
澄んだ水と空気。
それに光の戯れのせい。

良く磨かれた水鏡は、
この季節からの贈り物。

昼の光は宝石の輝き

「小さな林」の斜面で、
何本かの幹に
絡まっているキヅタ。

Blog-12-6
蔦の葉・冬景色 (東京)  7186
蔦の葉・冬景色 (東京)  7186

つい先程まで
影になっていた葉が、
今はエメラルド色に輝いています。

この時期は
太陽の南中高度がまだ低く、
林の中で繰り広げる世界では、
光が影に、また影が光になる現象が
思った以上に速く感じられるはずです。

Blog-12-7
赤い実・冬景色 (東京)  7359
赤い実・冬景色 (東京)  7359

こちらは、
木漏れ日の中で輝く木の実。

ハンガーのような枝から下がる
小さな赤い宝石。
時折吹く微風に
僅かに体を皆揺らしています。

この心地良い光景に
「春の到来?」と、
ふと期待しそうです。

Blog-12-8
赤い実・冬景色 (東京)  7368
赤い実・冬景色 (東京)  7368

一方、木陰の中では...。

華やかな3つの丸い粒。
色合いはルビー、
それとも赤珊瑚。
まるで宝石をあしらった
首飾りのような美しさ...。

足もとの風景

さてここからは、
「足もと」に広がる3つの風景を
お楽しみ下さい。

展示作品は地面となりますから、
少しの間どうぞお足元に
ご注意下さいね。

Blog-12-9
落ち葉・冬景色 (東京)  7179
落ち葉・冬景色 (東京)  7179

最初は、
「足下」の風景から。

真昼の光の中で
赤茶やベージュ色、
そして白い枯れ葉が輝き、
まるで「鳥の羽根」のよう。

Blog-12-10
落ち葉・冬景色 (東京)  7518
落ち葉・冬景色 (東京)  7518

そして
こちらが楓の今の姿。
紅葉の季節には、
鮮やな色を
披露してくれましたね。

あれから知らぬ間に
葉は枝から離れ、
装いを上品な冬色へと
替えていました。

Blog-12-11
落ち葉・冬景色 (東京)  7519
落ち葉・冬景色 (東京)  7519

こちらは小さな春のお知らせ。
音も立てずに
枯れ葉を押し上げているのは、
「イヌノフグリ」の小さな葉。

この花の季節は3月頃から。

開花すると辺り一面、
絵筆でピンクや青紫の
無数の点々を入れたような
小さく可憐な花が見られます。

子供達の午後

「足もと」の世界ではもう1つ、
小さな出来事に遭いました。

午後になり
地面へカメラを向けていましたら、
お散歩に来た母と子が
声をかけてきました。

Blog-12-12
木漏れ日・冬景色 (東京)  7330
木漏れ日・冬景色 (東京)  7330

お二人は、
私が地面を楽しんで撮っているなんて
不思議に思ったのでしょうね。
「何を撮っているの?」と...。

その問いかけに微笑みながら
「葉っぱですよ!」と、答えました。

Blog-12-13
落ち葉・冬景色 (東京)  7231
落ち葉・冬景色 (東京)  7231

実は今、ご覧になっている
上の「葉っぱの集合写真」には、
飛び入りの葉を1枚加えてあります。

左側、黄緑の葉がそれで、
会話を交わした後
息子さんが近くで見つけ、
「はい!」と、
手渡してくれたのです。

その時の、
まだ小さな手が印象的でした。
「どうもありがとう...ね♪」

枯れススキ

午後の日がだいぶ傾き、
人影も少なくなりました。

Blog-12-15
里道・冬景色 (東京)  7591
里道・冬景色 (東京)  7591

曲がりくねった小道の奥には
ススキがちらほら残っています。

秋には
「風流」と感じたのに、
季節は過ぎ
しらけて見えるでしょうか。

ひょっとしてカメラの力を借りれば、
別な印象を持たれるかもしれません。
では!

Blog-12-16
ススキ・冬景色 (東京)  7252
ススキ・冬景色 (東京)  7252

どうでしょう...。

ススキは光や風によって、
姿が自由自在に変化します。
背後の穂を例えると、
華やかなライトを浴びて踊る
「ダンサー」にも見えます。

ところがこの「枯れススキ」、
暗がりで出会えば
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うように、
多分『どきーん!』とするはず...。

Blog-12-17
ススキ・冬景色 (東京)  7598
ススキ・冬景色 (東京)  7598

更にもう少し近寄ってみませんか。

午後の光をたっぷり浴びた
1つ1つの種子は、
こちらに向かって飛来する
「黄金色に羽ばたく虫」。

こうしてみると今更ながら、
人が物に抱くイメージとは、
周りの状況次第で
色々と変化するものですね。

翡翠(ひすい)色の鳥

Blog-12-18
テーブル・冬景色 (東京)  7287
テーブル・冬景色 (東京)  7287

斜光によって樹木の幹が
立体的に浮かび上がる頃、
冷気が頬や靴底からもひんやりと
伝わって来るようになります。
流石に日の光が暖かく感じるのも、
まだ日が高いうちだけです。

『ではここで...』と、
テーブルを前に腰を掛け
暖かい飲み物を飲んでおりますと、
池の方から連続的な
高い鳥の鳴き声が...。

Blog-12-43
カワセミ・冬景色 (東京)  7682
カワセミ・冬景色 (東京)  7682

声の主は、
「かわせみ」でした。
季節的には一番餌が少なく、
生きるためには厳しい時期です。

また、
かわせみは人気のある鳥なので
幾つかその姿を
ご覧頂こうと思います。

Blog-12-44
カワセミ・冬景色 (東京)  7883
カワセミ・冬景色 (東京)  7883

留まる場所は、
ちょっと不安定なススキの穂や
がまの穂の上など、

水辺の植物を上手に利用して
水面下の獲物を探します。

Blog-12-45
カワセミ・冬景色 (東京)  7842
カワセミ・冬景色 (東京)  7842

こちらは
池へと張り出ている枝。
水中の生き物を探すのには
うってつけです。

このように縄張りがあって、
一巡りすると何れかの場所に
また戻ってきます。

巡回先は生活の場であり、
「監視所」として、
また獲物に狙いを定めた時の
「飛び込み台」でもあります。

Blog-12-38
水面の反射・冬景色 (東京)  7481
水面の反射・冬景色 (東京)  7481

かわせみの魅力は、
まず鮮やかな色合い。
何故このような
配色なのでしょうね。
これも不思議です。

それからお気づきでしたか。
上の「がまの穂」と、
「蕾のついた枝」の
写真を比べて下さい。
頭から背、羽根にかけての色は、
「翡翠色」にも「青」にも見えませんか。

これは、羽の構造によるもので
その時の光の状態で
異なって見えるのです。

Blog-12-46
カワセミ・冬景色 (東京)  7728
カワセミ・冬景色 (東京)  7728

一方、
この鳥には別の魅力もあります。

長く尖ったくちばしを持ち、
精悍な目つきをしていますね。
その風貌から察しがつくように
餌取りに於いて敏捷性が高く、
また空中でホバリング状態から、
そのまま水中へ「ドボン!...」

確かに
行動の一部始終を観察すると、
正にスピード感あふれる
「水辺のショウ」そのものです。
これも魅力なのでしょう。

Blog-12-40
カワセミ・冬景色 (東京)  7752
カワセミ・冬景色 (東京)  7752

あっ、今かわせみが
空色になって飛んでいきます。
今し方まで、手前の石の上に
留まっていたのですよ...。

Blog-12-23
夕焼け色・冬景色 (東京)  7405
夕焼け色・冬景色 (東京)  7405

熱中して追っていた目を
ファインダーから外すと、
何と辺り一面は
光の演出によって
一番美しい時を迎えていました。

Blog-12-50
カワセミ・冬景色 (東京)  7847
カワセミ・冬景色 (東京)  7847

再び枝先に
舞い戻って来たかわせみは、
日の光が林の向こうへ
落ちる直前まで
餌をじっと探していました。

絵画のような光景に心を奪われ、
もう少し鑑賞したいところですが、
餌探しの邪魔をせぬように
静かに歩き始めます。

青の透過光を受けて

日没後。
天空から青の透過光を受けて
幻想的な風景を描き出します。

例えば
モクレン科の「ユリノキ」...。

Blog-12-25
もくれん・冬景色 (東京)  8252
ゆりの木 (もくれん科) ・冬景色 (東京)  8252

見上げた大樹の
踊るような枝先と
乾いた果実に、
心の何処かで「昔の記憶」を
たぐり寄せていました。

『何処かで見た記憶とは、昔、
レストランの壁に掛かっていた
ランプ・シェードだったのね...』と、
その様はシンプルで装飾的。

優艶な南天の姿

寒さに急ぐ帰り道の途中で、
木立から「お待ちなさい」と、
呼び止められた気がしました。
それは道端近くの「南天」。

Blog-12-26
南天・冬景色 (東京)  7645
南天・冬景色 (東京)  7645

「青の紗」がかかった今、
赤い実や葉が
優艶な姿を見せています。

でも
この美しい貴婦人のような南天も、
ほんの限られた時間だけ。
もうすぐ夜の帳が完全に落ち
その姿も見えなくなっていきます。

本日ラストの写真 「雪と南天」

さて街に灯りが、
ともるようになると、
「光の野外美術館」は
そろそろ閉館時間となります。

ここで別の機会に撮影した
「雪と南天」の3枚を
ご覧になりながら
もう少しお話を続けますね。

Blog-12-49
南天・冬景色 (東京)  8121
南天・冬景色 (東京)  8121

今回展示した作品は、
季節の花々を登場させる事なく
「季節感を表現する」と言う、
私の1つの実験でもありました。

理由としては、
特にこの季節の
「光の美しさ」に焦点を
絞ってみようと考えたからです。

Blog-12-41
南天・冬景色 (東京)  8173
南天・冬景色 (東京)  8173

四季折々に咲く花は、
季節を感じさせ、
人々を魅了します。

しかしそれだけではなく、
他の季節では見られない
1,2月の光の美しさもまた、
この「光の野外美術館」を通して
また再発見して頂けたら
とても嬉しく思います。

すでに冒頭で述べましたが、
光は殺風景な風景を
静寂で清らか、また華麗で、
更には幻想的な色で、
見事に演出してくれました。

Blog-12-47
南天・冬景色 (東京)  8161
南天・冬景色 (東京)  8161

そして今回の試みが、
写真が好きな方々にとりましても
「何をどのように表現するのか」を
今一度考えて頂く上で、
ヒントになればと願っております。

それでは、
本日は只今をもって
当館は閉館と致します。
この度は当美術館へ
お越し頂きまして
誠にありがとうございました。
またのご来館をお待ちしております♪

初稿公開日:2014年2月28日

アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る

error: Content is protected !! コンテンツは保護されています!!