アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る
初稿公開日:2016年3月30日
冬から春へ
第18話の
晩秋の「光の野外美術館」から
随分とご無沙汰をしておりましたが
お変わりございませんでしたか。
そう言えば、三月に入って
大地に降り注ぐ日の光が
以前にも増して暖かく感じられる日が
何日か続いたかと思えば、
今度は急に冷たい雨が降ったり。
再び寒さが戻ると
「あの春の陽気はまるで夢のよう…..」と、
何度か肩すかしを
食らった気分になりませんでしたか。
思えば「春は名のみの~♪」で始まる
唱歌「早春賦」の歌詞にも
来そうで来ない春を待つ心情が
描かれていましたね。
さて
お話は変わりますが、
前回のブログについて読者の方から
「植物のテーマも良いですね。楽しめましたよ!」
と嬉しい一言を頂きました。
毎回、読者の方々から
様々な形でご感想を下さり、
本当にありがとうございます。
そのようなわけで今回も、
冬から春へと移りゆく
光の野外美術館の様子を
簡単にですが、
ご紹介しようと思いました。
それではどうぞご覧下さいね♪
春の到来
あれは
年が明けてまもなくの事でした。
公園では季節の花である
芳しい鑞梅(ろうばい)や、
園内の小道に沿って
椿や山茶花が花をつけていました。
その鑞梅の花見客でにぎわう
庭園風の場所から離れて、
今度は木立が広がる
給料の斜面に向かって進んでいくと、
目の前に広がっていたのが
「冬枯れ」の景色。
やはり文字通り、ここには
殺風景な景色だけかと思いきや、
目線を上下左右に
ゆっくり動かしていくと、ありましたよ。
ひっそり佇んでいる残花が二つ、三つと。
それでは、
それらを早速ご覧頂きましょうか。
まずは
枯れたゆりの花からです。
草丈は1メートルほどあり、
風雨にも耐え、折れずに
ぽつんと残っていました。
開花時には
ラッパ状の白い花を
美しく咲かせたのでしょうが、
この花の持つ清楚な感じは
変わる事はないようです。
そして次なるは?
こちらは
頼りなげな様子ですけれど、
意外にも絶妙なバランスで残っていました。
開花期の艶やかな花の色や、
弾けるような瑞々しさは
すでに失われていますが、
それでもなお
どこか魅力的で惹かれたのは、
この季節になって、
流線型のしなやかな茎や
装飾的な花の形など、
別の美しさを発見したからなのです。
もう一つご紹介しましょう。
覚えていらっしゃいますか?
昨秋に濃いピンク色の花をつけた
ヤマホトトギスの花です。
静寂さが感じられる冬の姿ですが、
眺めているうちに
ぜんまい仕掛けの玩具を思い出しました。
まるで最後の一振りの動作を思わせる、
そんな楽しい余韻が
こちらにも伝わってきそうな雰囲気ですよね?
舞台は三月へ
早咲きの桜である
河津桜を見に行った折に、
気になって紫陽花のある場所へ
まわってみました。
するとどうでしょう。
レース状の萼(がく)は
手で触れれば
今にも泡のごとく壊れそうでしたが、
その一方で
枝先からとても勢いのある若葉が
出始めているのを認め、
「ああ、紫陽花にも春が来たんだな」と、
公園で感じた瞬間でもあったのです。
そして…..。
いよいよ満開の桜が咲く
春爛漫の頃を
迎えようとしています。
あなたは今年、
何処で春の到来を感じたのでしょうか。
初稿公開日:2016年3月30日
アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る