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初稿公開日:2017年7月27日
第4話「撮りたいスペインとは何?」
![パエジャ(パエリア):スペインの米所バレンシア地方の炊き込みご飯 1044](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-1044.jpg)
一杯のコーヒーから始まった
ブログ「アラベスク文様の手帳から」は、
いよいよこの第4話で、
具体的に
スペインで取りたい対象は何なのかを
絞り込んでいく事になります。
![二基の風車(ラ・マンチャ地方) 961](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-961.jpg)
その候補となったのは、
闘牛やフラメンコ、
![日没の風車(ラ・マンチャ地方) 965](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-965.jpg)
またスペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道や、建築家ガウディによる建造物…..。
![花の小道(アンダルシア地方・コルドバ) 85](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-85.jpg)
それは自分にとって、
「一番スペインらしさを感じる物は何なのか」を
追求することに他なりませんでした。
さて…..。
![丘に沈む夕日(アンダルシア地方・コルドバ) 715](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-715.jpg)
候補に挙げたそれぞれの詳細を、
ここでさらにご説明するのも
意味がない事ですから、
いかがでしょう?
これから第4話を
まずはご覧になってみませんか?
![スペイン広場(アンダルシア地方・セビージャ) 10324](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-10324-Edit.jpg)
また、この先ちょっとしたお話も
ご用意しておりますので、
お時間がある時にこちら第22話へお戻り下さいね。
お待ちしております♪
第4話はこちらから
*** *** *** *** *** ***
![春の海岸(バレンシア地方) 4052](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-4052.jpg)
さて、
第22話も終盤にさしかかりました。
それでは、
これより始めましょうか。
*** *** *** *** *** ***
旅での予期せぬ出会いもまた楽し
第4話で取り上げた「撮りたいスペイン」。
![祭りに集まる人々(アンダルシア地方・ウエルバ県) 11412](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-11412.jpg)
そのテーマが決まると、
気持ちも新たに作品制作の旅へ
出かけていくことになりました。
![村から村へ(アンダルシア地方) 11389](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-11389.jpg)
スペインでの
取材の旅は楽しく、
![撮影する著者(カスティージャ・イ・レオン地方) 28951](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-28951.jpg)
資料や地図からでは得ることの出来ない
現地の人々との
予期せぬ出会いがありました。
![中世祭りの役者達(ラ・マンチャ地方) 48](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-48.jpg)
そしてまた、
作品の幅をさらに豊かにしてくれたのも、
彼等からの
貴重な情報が大きかったと言っても
過言ではありません。
![ミニ・ハリウッド(ウエスタン村) 3820](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-3820.jpg)
ところで予期せぬ出会いと言えば、
![お祭り会場にて(バレンシア地方) 21143](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-21143.jpg)
本来の旅の撮影目的とは
直接関係はないものの、
お世話になって人々の他に
![騎士姿の少年 11413](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-11413.jpg)
たまたま通りすがりに見つけた風景も、
旅の楽しさを
倍増してくれた一つでもあったのです。
![新鮮野菜のガレージ販売 12844](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-12844.jpg)
ですから、
第22話の最後には
普段のブログでは
主役として決して登場しないような風景を、
お話のラストにご紹介させていただこうと考えました。
それではどうぞ♪
マドリード・マドリード・マドリード
![ラマレス広場(マドリード) 18071](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-18071.jpg)
まずは、
ほんの少しややこしい説明になりますが、
マドリードの表記からお話を致しましょう。
![製菓材料店のショウウインドウ(マドリード) 18065](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-18065.jpg)
スペインの
首都マドリードがある州とは、
イベリア半島のほぼ中心に位置する
三角形をした「マドリード州」です。
このマドリード州には、
県はマドリード県、
一県しか存在しません。
![夕暮れの裏通り(マドリード) 18082](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-18082.jpg)
ですから、
仮にマドリード市まで
住所を公式に書こうとすれば、
「マドリード州マドリード県マドリード市」と、
このようになるのでしょうか。
![宣伝ポスター(マドリード) 18160](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-18160.jpg)
とは言え、
例えば日本からマドリード市へ
国際郵便を送る場合でさえ
郵便番号があるおかげで、
州も県名も記載することなく
スペイン国の後は、
マドリード市○○通りxx番地で、
問題なく着いてしまいますけれどね。
![古い酒屋で一杯(マドリード) 9548](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-9548.jpg)
つまり、
マドリード市は国の首都であって、
かつ州都、
県都でもあるわけですね。
おわかり頂けましたでしょうか?
![広場前でポートレート撮影(マドリード) 16326](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-16326.jpg)
さて、
このマドリード州を呑み込むように
東西南北に大きく広がっているのが
「カスティージャ・ラ・マンチャ州」です。
![風車 973](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-973.jpg)
この州には有名な風車や、
歴史的建造物が多く保存されている
古都トレドを始めとして、
![廃墟になった古城(ラ・マンチャ地方・クエンカ) 9860](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-9860.jpg)
中世の城塞等が
広く存在していますから、
作品作りには
本当によく出かけていきました。
![春の大地(ラ・マンチャ地方) 792](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-792.jpg)
ラ・マンチャ地方の小村へ
![風車 9738](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-9738.jpg)
あの風車に出会ったのは、
新緑の美しいある週末の午後でした。
丘に残る古城を見ようと
マドリードから北東へ90㎞離れた山間の小さな村へ
訪ねて行ったのです。
![](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-28961.jpg)
往路では
通過するダム湖を眺めながらも、
古都トレドを流れるタホ川の上流や小村、
それに古城に夢をふくらませながら
ワクワク気分でおりました。
![ダム湖(ラ・マンチャ地方・グアダラハーラ) 20](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-20.jpg)
ところが到着してみれば
すぐに村はずれで、
そのあっけなさに拍子抜け、
期待はずれの心を抱いたまま
仕方がなく村を出た私でした。
![石橋のある川:水力発電所付近(ラ・マンチャ地方) 28957](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-28957.jpg)
川土手に一本の田舎道が
延びているのを目にすると、
道からタホ川を眺めてみたくなり
「この先へ行ってみようかな」という
気持ちに駆られたのです。
![タホ川(ラ・マンチャ地方) 28967](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-28967.jpg)
進んでいくとその道は、
どうやら土手の草地を挟んだ右手の川に
ずっと沿うように続いているようでした。
それからまもなくのことです。
岸辺の林の中から
手頃な広さの草地を見つけると、
「あら、あそこならランチにぴったり!」と、
穏やかな傾斜の着いた土手を降りて車を停め、
テールゲートに腰掛けたのでした。
![レストランの店頭人形(マドリード) 16278](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-16278.jpg)
早速、街道筋のBAR(バル)で
作ってもらった軽食を取り出します。
スペインの内陸部は乾燥しているので、
しっとりとしたおむすびを
持参するのが多いのですが
その日は時間もなくボカディージョ。
では、そのボカディージョとやらをご覧下さい。
![スペイン風サンドウイッチ「ボカディージョ」 23937](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-23937.jpg)
ご存じの方もいらっしゃるでしょう?
バゲットに具を挟んだ
スペイン風のサンドウィッチのことなのです。
二人分はありそうなボリュームですね。
スペイン生活も長くなってきますと、
知らぬ間にスペイン人のように
自分の好きな具を組み合わせて、
メニューには載らないアラカルトを
頼みたくなってきます。
もちろん単純にチーズまたは生ハムのみ、
それに烏賊のリングフライなどもありでしょう
![Bar(バル)の軽食メニュー 10764](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-10764.jpg)
さて、BARで注文した中身の具は、
鉄板焼きのポークの肩ロース肉が2~3枚と
山羊のチーズでしたが、
「パンの内側両面には
完熟トマトをたっぷり擦りつけ、
オリーブ油もかけてください値♪」と頼みました。
こうすると
外側が堅いスペインのバゲットも、
時間の経過と共に程よくしっとり。
また味に奥行きも出るのですよ…..。
午睡は牧羊道の木陰で
ところで…..。
食事中に腰掛けた場所からは
週末らしくゼッケンをつけた子供達が、
すーっ、すーっとカヌーで軽やかに川下りする姿が、
木々の幹の間から見え隠れしていました。
こんなのどかな光景を眺め、
食後となれば快適な気温の上に、
程よい暗さの木陰もある。
そして聞こえてくる愛らしい小鳥の声。
ああ、なんて良い気持ちなのでしょう!
食後に車の座席に戻っていた私は、
案じていた通り睡魔には勝てず、
やはりうとうと。
![水の流れ 13780](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-13780.jpg)
眠り始めてから
10分、いや15分程度経過した頃でしょうか。
岸辺に茂る木々の下で、
羊の群れに出会ったのはこの時でした。
つい今し方まで川風に乗ってきた
子供達の明るい声に代わって
聞こえてきたのは、
「カラン、カラン、カラン…カラ」と、
素朴で金属的なベルの響き。
夢の中での出来事なのかと
頭の中でその判断を思い迷いつつも、
いよいよベルの音が大きくなり
確実に現実のものだと悟った瞬間、
はっと目が覚め
車のバックミラーを覗けば、
そこには背後から近づいてくる
羊の群れがありました。
![林 24531](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-24531.jpg)
その時の眺めは、
それはとても印象的なものでした。
束の間の午睡を楽しんだ岸辺の木の葉は、
翡翠色のタホ川を背に
午後の斜光で光り輝き、
![萌える(タホ川上流) 28966](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-28966.jpg)
目の前を僅かに土埃を立ち上げながら
羊の群れが草を食べつつ
ただ、ただ、蹄の音を立てて移動していく姿。
![「岸辺の羊の群れ」 98 《IPA(国際写真賞) 2010年 受賞作品》](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-98.jpg)
その情景とは
今も昔も変わらぬ時を超えた
「一枚の絵」のようだったのです。
*** *** *** *** *** ***
今回も最後までご覧下さいまして
ありがとうございました。
2話を通してご紹介した
ブログの成り立ちでしたが、
いかがでしたでしょうか。
第1話から第4話まで
私自身も加筆訂正をしながら
何度か読み返し、
懐かしさもひとしおでした。
さて最後の第4話では、
夏の巡礼路への旅をビバルディの「四季」から
夏の詩の一編をご紹介したのですが、
思い出したようにブログに合わせて
ビバルディを聴きながら、
「日本の夏もより年々酷暑に
なっていくなぁ」と感じました。
どうぞ読者の皆様もご自愛下さい。
*** *** *** *** *** ***
初稿公開日:2017年7月27日
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