二つの季節の狭間で
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暦の上ではもうすっかり秋。
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それでも近くの公園では
蝉の鳴き声がまだ聞こえています。
気づかれていましたか?
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少し前までは
賑やかな蝉時雨でしたが、
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今では林の中を歩きながら
耳を澄ましていると、
安定的な歌唱力で聞かせてくれた
アブラゼミのバックコーラスが、
すでにいなくなって、
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ソリストのツクツクボウシや、
ミンミンゼミの鳴く声だけになっています。
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「夏っぽさも、もうそろそろ終わりかな」と思うと、
やはり、ちょっと寂しい気もしますね。
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その一方で、
ウリボウと呼ばれる
未熟なカラスウリの実が、
蔓を他の枝へ絡ませながら、
木立の中でひっそりとなっている様子や、
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蕾をつけた彼岸花が、一輪一輪と
咲き始めたのを見かけました。
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また、
先日の台風のせいなのでしょうか。
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栗の実や青いドングリが落ちていて、
それらを小道から拾い上げて
手の平の上で眺めていると、
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二つの季節は混在しながらも、
夏から秋へと
着実に変化しているのがわかります。
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秋と言う名の足音が、
たんたか、たん♪
た~・ららら、たん、たん♪…♪と、
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彩りのある装飾音と共に、
少しずつ近づいてきているのかなと、
想像しています。
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旅先で次の旅を見つける楽しみ
さて、9月も下旬となりました。
夏の疲れもそろそろ取れて、
気分的にも落ち着いた頃でしょうから
この辺りで、旅のお話は如何でしょうか。
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ところで、この「旅」についてなのですが、
時折、次のような事を
耳にした事はありませんか。
「旅行中よりも、準備をする方が楽しいほうかな」と。
こんな方は、旅行中よりもむしろ、
準備中にアイデアを出しながら、
旅する夢をあれこれ描く事が、
一番楽しく感じるタイプなのでしょうね。
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では、もし 旅先で
次の旅を見つけられたら、
そこからまた
準備の楽しみが継続出来るはず。
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これからご紹介する旅は、
まさに以前、
旅先で見つけた本からでした。
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その本と出会った時のこと、
ちょっとだけ
これからお話ししようと思います。
本との出会い
あれは、スペイン南部・アンダルシア州
ハエン県北部に位置する村を取材した際のことでした。
![](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2019/09/TEMIKPHOTO-35819.jpg)
丘の上に建つこの村の隣には、ヨーロッパで最も古い城の一つ、
「ブルガリマール城」がある。
ハエンと言えば、
上質なオリーブ油が採れるので、
数々のコンクールでも受賞するほど
世界的に有名なオリーブ油の産地です。
ご存じの方も多いことでしょう。
また、その畑の規模は、
全世界のオリーブ畑の1/5に相当する
広大な畑が延々と続き、
まさに、もう、見・渡す・限り、の畑です。
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そして、もう一つ。
城と戦いの地でもありました。
城が、防衛施設として
活躍した時代と言えばいつ頃でしょう?
そう、中世ですね。
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ラベル中央上部には城の絵が見られる 35800
その時代、イベリア半島を舞台にした、
キリスト教徒による
レコンキスタ(国土再征服運動)は、
たぶん、歴史の教科書で
一度は学習した記憶があるはず……。
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10世紀にイスラーム教徒によって建てられた城塞 5788
異なる宗教と文化を持つ
キリスト教徒とイスラーム教徒の勢力争いの中で、
イスラーム教徒は防衛の為、このハエン県に
230以上の城や要塞、監視塔、城壁などを建設しました。
もう、大変な数ですね。
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この城塞には、イスラーム教徒による正方形の14の塔と、
もう一つ、キリスト教徒による15番目の塔がある。
床の形は軍艦のような楕円形。スペインで最も保存状態の良い古城の一つ。
さて…….。
県の特産品であるオリーブや、
その歴史に興味を持って立ち寄ったのは、
村の中心である小さな広場に面した
石造りの観光案内所でした。
室内に入って、案内所の女性から
旅行パンフレットを頂いたあと、
窓の方へと近づいていきました 。
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古い家並みや教会を、
窓枠を額に見立てて、
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広場の景色を眺めようとしたのですね。
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窓際には書棚があって、
何故かある本が
ぽつんと一冊だけ置かれていました。
ひょっとして、それが
最後の一冊だったのかもしれません。
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私は、フィルムで密閉された
その本を手にとって、
「ええーっと、タイトルが『ハエンの古城伝説』だって……」と、
独り言を言った時には、もう表紙の絵に惹かれていた
自分の心を知っていました。
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もくもくと沸き立つ白雲と、青空をバックに
山頂に建つ古城が
爽やかなタッチで描かれています。
水彩画の絵を眺めながら、
『うーん、一体どんな伝説なのかな?読んでみたいな♪』と、
本の内容にも、ぐっと心が動かさていたのです。
旅の楽しみは続く
さて、旅から戻って旅行バッグから
お土産を一つ、一つと広げていくのも
とても楽しい一時ですね。
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この時、私にとって一番楽しみにしていたのは、
言うまでもなく
最後に取り出したこの本だったのです。
本を開けてみると短編集になっていて、
また一話ごとに必ず一つ、
お話のおしまいにペン画による
中世の古城や、要塞の廃墟の挿絵が入る
構成になっていました。
「読後に挿絵を入れるなんて、
余韻を倍増させてくれる演出ねぇ!」と感心。
そして、白黒の挿絵をじっくりと鑑賞しながら、
ほんの何ページか、ぱらぱらとめくっていくと、
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険峻な山を背後にした古城の挿絵で、
手が止まりました。挿絵の下には、
「カソルラ」と地名が書かれています。
「あっ、ここ。絶対行ってみたい所かもしれない!」
ページを戻って題名を確かめると、
そこには今まで聞いたこともない
奇妙な題名が書かれていたのです。
![](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2019/09/TEMIKPHOTO-35561.jpg)
さぁ、伝説の内容とは?
そして、
お話に登場するカソルラは、
どんな町でしょうか。
そのどちらも、気になってきませんか?
では、今回はこの辺で♪
*** *** *** *** *** ***
こんにちは♪
久しぶりのブログ更新となりましたが、
お変わりございませんか。
この度は、
第23話を最後までご覧下さりありがとうございました。
さて、来月10月24日から28日の5日間、
東京・町田市で展覧会を行うことになりました。
お近くの方、お立ち寄り頂けましたら大変嬉しく思います。
第五回テミックフォト写真展
El Nivel del Mar『ゼロからの風景』&フォトワーク
期日 2019年10月24日(木)から10月28日(月)
場所 町田市野津田町3272 薬師池公園内 フォトサロン1階展示場
開館時間 午前9時30分から午後4時30分まで(入館は午後4時まで)
(初日24日は午後1時に開館・最終日28日入館は午後3時まで)
※詳細につきましては、テミックフォトのサイトをご覧下さい。
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