アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る
初稿公開日:2015年11月29日
野鳥から届いた小さな秋の贈り物
秋もいよいよ終わりに近づき
朝晩だいぶ冷え込むようになりましたが、
如何お過ごしでしょうか。
今年は寒暖不順で
紅葉が遅れているようですので、
まずは昨年の晩秋の作品
「門前の秋景色」をご覧頂こうと思います。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-2.jpg)
ところで、
晴天の日が続いた10月下旬のある朝、
思いもよらず
小さな秋の贈り物が届きました。
届け主は野鳥のようですが、
ご覧の通り
家のバルコニーに木の実が三粒。
見つけた途端ちょっと嬉しくなって、
今回当ブログでお知らせした次第です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-1.jpg)
こちら、
何の植物の種なのか
ご存じありませんか。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-53.jpg)
こうして鳥から届いた実を、
手のひらに載せて眺めているうちに
何の種なのか探してみたくなって
公園や里山へ行って参りました。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-55.jpg)
秋日和と感じられる日に歩くと、
とても気持ちがよいですね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-54.jpg)
残念ながら届け物と同じ種を
見つけられませんでしたが、
こうして出来上がった
写真作品にお話を添えて
今回展示する事が出来ました。
さて、その展示場所ですが
覚えていらっしゃるでしょうか。
第12話で登場した
あの「光の野外美術館」にしました。
作品には秋景色の他にも、
植物や昆虫も登場します。
よろしかったらまた
美術館へお越しになりませんか。
光の野外美術館とその展示作品
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-5.jpg)
それでは
館内へお入りになる前に、
第12話「光の野外美術館」について
当時撮影した
別の作品を今回ご覧頂きながら、
簡単に説明しようと思います。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-6.jpg)
まずこの野外美術館は、
読者であるあなたご自身が
あたかも自然の中をお散歩しながら、
写真作品を鑑賞する美術館です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-8.jpg)
また第12話のお話の内容は、
「1,2月の風景は
一見殺風景に思えるけれども、
独特の光は柔らかで、
またとても美しいものである。
この光を十二分に活用して
色彩溢れる世界を表現する」
といったものでした。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-7.jpg)
中でも
「特に華やかな花を登場させずに
この季節の光の美しさを味わう」。
これも一つの試みでした。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-4.jpg)
さぁ、
程よくご説明も終わったところで、
光の野外美術館開館の時間となりました。
入り口の扉は、
ちょうどあなたの目の前です。
それからもう一つ、
館内ではご案内役として
お話をさせて頂こうと思っています。
ではどうぞ
ごゆっくりお楽しみ下さいね♪
美術館入り口付近で 花壇に咲く花
この花の名はクレオメ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-9.jpg)
この他にも
蜘蛛に見立てた名前
「スパイダー・フラワー」や、
「西洋風蝶草」(せいようふうちょうそう)、
「酔蝶花」(すいちょうか)と言った
蝶の字が入った
別名がつけられています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-10.jpg)
また花弁や、
その間から飛び出す
長い雄しべの形から、
例えば涼しげで華やかな
「夏の花火」のようにも見えませんか。
このようにクレオメの花は
人々に色々な姿を想像をさせる
魅力的な花だと言えますね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-22.jpg)
また花言葉は、
夕方になってから咲き始めるので
「秘密のひととき」。
けれども、
この花言葉から
日の光が苦手なのかと思えば、
クレオメ自体は
適度に日が当たる場所が好き。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-16.jpg)
当美術館では、
黄色やオレンジのマリーゴールドと共に、
円形花壇の中央で日を浴びながら
優雅な姿で咲いています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-19.jpg)
それでは次の順路、
背後に伸びる一本の小道へ
どうぞお進み下さい。
道端に咲く花
この小道を歩きながら、
道端にも目を向けてみませんか。
そこには「イヌタデ」、
別名「アカマンマ」が咲いていますよ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-11.jpg)
アカマンマを前に、
子供の頃のようにしゃがんで見ていると、
懐かしいおままごとの情景が
浮かんでくるかもしれません。
あの頃、この花を「お赤飯」に見立てて
一体どんなおしゃまな会話をしていたのやら。
またアカマンマは
決して目立つ花とは言えませんが、
その分布範囲は
北方領土から沖縄までと広く、
元気いっぱい。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/10/Blog-18-12.jpg)
そして
この小さな桃色をした粒々。
花弁のような、実のような……。
いえいえ、これは萼(がく)でしたよね。
開花時期は6月から10月までですが、
10月も後半になると、葉の一枚一枚も
紅葉の色見本のように変化し、
萼の色と調和してそれはまた見事。
ご覧のアカマンマは、
ちょうど光がまわった状態で、
美しい日本的な色合いとなっています。
並木道の風景
さて...。
今、歩かれている小道ですが、
実は桜の並木道になっています。
頭上をご覧頂けますか。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-15.jpg)
桜の木を仰いでみると、
葉は虫に食べられ穴は開き、
また風に呼ばれて
時折一枚、もう一枚と
旅立っていくので、
枝の様子も寂しくなるばかり。
でもご心配は無用です。
桜の木は来春にむけて
花芽(はなめ)の準備は怠っていませんから。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/TEMIKPHOTO-17542.jpg)
思えば半年前。
桜の木は私達人間にも
花を楽しませてくれましたが、
あの満開の風景はすでに遠く、
心の中ではほんの淡い思い出に….。
「時の流れ」をつくづく感じますね。
落葉広葉樹「スズランの木」
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-47.jpg)
歩いている
この並木道は短くて、
まもなく視界がぱっと開けると、
前方の広場の一角に
「スズランの木」が見えてきます。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-14.jpg)
この木が他より
群を抜いて目を引くのは、
透過光によって、
まだ夏の緑色や
燃えるように紅く染まり始めた葉が、
溢れんばかりの光を
周囲に放っているからなのです。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-17.jpg)
またその明るく輝いている
スズランの木の下で、
腕のように気持ちよく伸びた枝には
可憐な山杜鵑草(ヤマホトトギス)の花が、
蕾をつけています。
虫媒花であるこの花は、
お洒落にも気を遣います。
鳥のホトトギスの
胸からお腹までの柄に似せて、
「白地に紫色の斑模様」なのも
虫を引き寄せるためなのですね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-23.jpg)
では、
里山の花であるヤマホトトギスを
ご覧になったところで、
そろそろ次の場所へ
移動して頂きましょうか。
*** *** *** *** *** *** ***
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-21.jpg)
花壇や並木道の花は
いかがでしたでしょうか。
当美術館は展示室を移動する毎に
次のご案内をさせて頂きます。
この先、引き続きご覧になる方、
また一旦時間を置いてからご覧になる方、
どちらの方も目安として
このような案内板をお役立て下さい。
これから先は
谷戸(やと)の風景が始まります。
森の斜面近くで見られる植物や昆虫、
また柵の杭の風景をお楽しみ下さいね。
*** *** *** *** *** *** ***
谷戸で見かける花々
木漏れ日が
諸処に深く差し込む森。
その中を丸太で抑えただけの
山道の階段を数分で下りていくと、
目の前の平地には
水田や湿原地帯、
またその近くには小川が流れると言った
緑の谷戸の風景が広がっています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-21.jpg)
緑の平地と
森の斜面の境には
小道が延びています。
この辺りは少し薄暗く、
また落ち葉の上を歩くと
靴底が沈んで
じめっとするような場所ですから
お足下に気をつけながら歩いてくださいね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-20.jpg)
最初の植物は
木の柵から出たり入ったりと、
のびのびと咲く
水引草(ミズヒキソウ)です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-24.jpg)
ミズヒキと
隣り合わせに群生しているのが
溝蕎麦(ミゾソバ)。
読んで字の如く、
溝や小川の縁に生える蕎麦に似た花です。
ところで
誰が命名したのでしょうね。
木の葉の形が「牛の額」だなんて。
それを知った後で再度眺めれば、
「牛の額に花かんざし」の題名が
浮かんできました。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-25.jpg)
続いてこちらは
日本固有種のタイアザミの花。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-28.jpg)
赤紫色をしたアザミの花のもとへは
蜜を吸いに
頻繁に蝶や蛾が訪れています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-26.jpg)
もう一つのタイアザミは、
一足早く受粉のお手伝いをした
昆虫のお陰で、
綿毛のついた実となって
旅立とうとしています。
しかし虫には優しくとも、
棘(トゲ)を持っているので
いざ掴もうとする者にとっては
アザミは厄介な植物です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-27.jpg)
もっと厄介と言えば
洋種山牛蒡
(ヨウシュヤマゴボウ)で、
こちらは北アメリカ原産で、
草丈が2メートルにもなります。
もちろん木の柵の向こう側に
生えているのですが、
もしこの植物に出会ったら
あなたもその姿に
「ただならぬ妖気」を
感じるかもしれませんよね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-38.jpg)
それもそのはずでご覧の通り、
蛍光塗料を思わせる緑や赤紫色の葉、
そして葡萄の房のような実や
牛蒡に似た根まで毒があります。
どうぞご注意なさって下さいね。
特設展示室「木の杭」
さて
柵のついた小道を歩きながら
幾つかの花々をご覧頂きましたが、
実はこの柵にも
作品が展示されています。
構成している木の杭は
小さな特設展示室となっていますから、
まだの方は
覗かれると意外と面白い世界ですよ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-29.jpg)
杭の上の光景は、
ミニチュアの世界そのもの。
またその他にも
偶然目の前の森から
風に吹かれて舞い降ちた
植物もみられます。
例えば、こんな風にです……。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-30.jpg)
「ぽとん!ころころ」。
枝から上手い具合に
落ちた木の実は、
小さな秋の風景の一コマ。
ところで
小さな秋の余韻に浸る暇もなく
申し訳ないのですが、
急いで隣の杭を見て頂けますか。
実は「よいしょ、よいしょ」と、
呑気に崖っぷちを歩いている
カマキリがいます。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-31.jpg)
あなたと目が合ったのは、
段差のある低い手すりへと
移動中のハバヒロカマキリ。
「何かご用でも?」と、
言わんばかりの顔でしょ。
カマキリはどうも苦手という方でも、
もしかしてこのハラビロカマキリに出会ったら
アンテナ付きロボットのような顔つきに
たじろぐことなくつい、
「いやぁ、どうも!」と盆の窪に手を当てながら
挨拶してしまいそうですね……。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-33.jpg)
さて特設展示室では
あと二つほど作品が展示されています。
こちらは萎れた臭木(クサギ)の果実。
花は白く可憐で、
何とも言えない良い香りがしますが、
それとは逆に葉が臭うばかりに
ついた名が臭木(クサギ)。
ちょと気の毒だと思いつつも、
やはりこのように命名されるほど
臭いは強烈なのでしょう。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-34.jpg)
締めくくりは、
コブシの実と朴葉です。
今までご覧頂いた木の杭の情景は
一切手を加えず自然の状態を
撮影したものですが、
こちらのコブシの実と葉だけは
足下から自分で拾い上げ、
最後の作品として相応しいように
杭の上に飾り付けをしたものです。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-60.jpg)
コブシは、
春にモクレンに似た
真っ白な品の良い花を咲かせますが、
しかし実の形状を見ると、
この花のイメージとはかけ離れ、
まさに「あの花が?」と疑うほど
独特の形になります。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-37.jpg)
更に大地に落ちた
実を眺めていますと、
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-35.jpg)
それはまるで
ケーキ用の真っ赤なドレンチェリーと、
チョコナッツの組み合わせ。
そんな風にも見えてしまいますけれど……。
美味しそうなお話をしていましたら、
虫も寄ってきてしまいましたね。
*** *** *** *** *** *** ***
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-52.jpg)
里山の小道を歩きながら
作品鑑賞は楽しんで
頂けましたでしょうか。
この先、
池までは短い距離ですが、
その間に出会う植物や
昆虫をご覧下さい。
*** *** *** *** *** *** ***
池へと通じる道で
順路に従がって小道を途中で外れ、
湿原地帯を通過して
池の畔へ向かいます。
また撮影した日の事でしたが、
途中の湿原地帯で
子供達に出会いました。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-52.jpg)
ここの湿原地帯は恰好の遊び場で、
その日、彼らを少し遠巻きに
眺めていたところ、
どうやらお目当ては
ザリガニだったようです。
友達同士で身近にある葦を、
簡単な釣り具として
工夫しながら楽しんでいました。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-39.jpg)
そんな彼等の姿を
懐かしい眼差しで眺めていたものの
ふと顧みれば大人も
やっていることは同じ。
他でもなく私自身にとっても、
「自然が作品に対する発想の
お手伝い」には変わりはありません。
人との交流により得るものも非常に大切ですが、
自然に対して何よりも
素直な心で向き合える事がよいですね…..。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-40.jpg)
今度は歩いてきた
湿原地帯から池へ向かう道で、
ススキの穂が目に入ってきました。
でも、この穂の形を見ると
少し不自然ではありませんか。
一部が直角に曲がり、
日の光の中できらきらと言うよりも、
ぴかぴかと妙な輝きをしているのです。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-41.jpg)
その原因が何かと言えば、
産卵期の女郎蜘蛛(ジョロウグモ)が
張った糸にありました。
それはもう、いたる場所で。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-48.jpg)
ススキが生える場所には、
当然のごとく
外来種のセイタカアワダチソウも
生えていますが、
その多くが糸でぐるぐるに
巻き付いてしまっています。
そして
このセイタカアワダチソウに
潜んでいるのがオオカマキリ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-49.jpg)
しかし、
このオオカマキリは
ここにいて大丈夫なのでしょうか。
例の蜘蛛の糸に触れ、
その振動を感づかれたら、
「産卵期の雌同士の決闘」になりかねません。
言うまでもなく
一触即発の世界で生きている例ですね。
カルガモと木の実
ここで気分を変えて
次のようなお話はいかがでしょう。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-43.jpg)
足下の大地は今、
木の実も混ざって秋模様そのものですが…..。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-44.jpg)
今年の春、
この池の畔にある道で
カルガモに出会いました。
春になっても、
まだまだ道端には
昨秋のどんぐりは残っており、
よく食べる姿を見かけました。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-45.jpg)
水中の食べ物だけでなく
木の実も好きな雑食のカルガモ。
先端が丸い形のくちばしで
上手く割って食べます。
また、カルガモの食事の最中に
気の毒だと思ったのですが、
近寄って「写真を撮らせてね」と、
声をかけますと時々食べるのを止めて、
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-46.jpg)
「こんな風で良いのかしら?」とポーズまでとり、
何枚かのポートレートを撮らせてくれました。
撮影が終了し、
「どうもありがとう♪」とお礼を言うと、
了解したように池へ戻っていきましたが、
この秋、水辺で
彼等をまだ見かけませんが
一体何処にいるのでしょうか。
*** *** *** *** *** *** ***
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-56.jpg)
光の野外美術館には
幾つかの池がありますが、
特に美しい水辺の風景が
見られるのがこの池です。
まずは主に
ウッド・デッキが設置された
周辺の植物をお楽しみ下さい。
*** *** *** *** *** *** ***
池の畔にて
最後の展示室である
池の畔に到着しましたね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-56.jpg)
早速ですが、デッキの端に
並んで茂っている木々が見えますね。
あそこには蔓を巻いた
カラスウリの実がなっていますが、
近づいてみてみませんか。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-42.jpg)
ご覧になれますか。
ぶら下がっている
朱色の熟した実と、
縞模様のウリボウと言われる
未熟な実が一つずつです。
まさに秋の風情ですね。
それから、
ここではその他にも
蔓性植物が幾つか見られますよ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-57.jpg)
こちらは
枝豆ではありません。
すでにご紹介したヤブマメの実、です♪
じっくり観察すればするほど
蔓の先は右へと静かに延びて、
やがては作品の枠外へ
飛び出していきそうな
植物の力を感じますね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-58.jpg)
もう一つ、
こちらはヤマノイモによく似た
オニドコロ(鬼野老)。
一見ヤマノイモにも見えますが、
大きさもより小ぶりで、葉の様子や付き方、
蔓の巻き方なども異なります。
蔓性植物は枯れると
他の草木に
バネのように巻き付いていた蔓や、
また葉もカリカリになって、
気の毒な姿をになりますが、
このオニドコロの果実は冬場になると、
とてもエレガントに変身します。
では、その姿をどうぞ♪
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-59.jpg)
ご覧になっている方が女性なら、
「綺麗ね。花のコサージュのようだわ」と、
的確なる表現が返ってくることでしょう。
その美しさの秘密は
この「さく果」と呼ばれる果実にあります。
花の形に見えるのは
種子が入っているカプセル。
乾燥すると上に向かって
こうして弾けるのですね。
枯れた植物を観る
オニドコロの他にも、
枯れた植物を見ることが出来ます。
普段は季節の彩りも美しいお花を
楽しまれると思いますが、
折角ですからこの機会に
枯れた植物の姿も
少しご覧になってみませんか。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-61.jpg)
「おーい! まだここにいるよ、ここ!」
葦の葉にぶら下がる一枚の枯葉が、
そう囁いているように見えます。
蜘蛛の糸や
他の植物に引っかかり、
舞って落ち葉になれぬのか、
一陣の風が吹いても
そこで風に揺られてひらひら、
そしてまたひら・ひら...。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-66.jpg)
デッキ横のエゴの木。
野ブドウの実のように
色が変化するのでしょうか。
実はすでに乾燥していて、
その大きさは6、7ミリほど。
その実の中にある種子は
ヤマガラ(山雀)の大好物。
でも食べ損なった実は
まだいくつも枝に残っている様子です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-63.jpg)
葉が枯れ、
実を結んでいるこの植物の名前は、
ワルナスビ(悪茄子)。
実が熟すとチェリートマトのようになるけれど、
このかわいさに決して騙されてはいけません。
では、一体どんな奴なのでしょう。
アメリカ南東部原産のワルナスビは
葉や茎は茨のような棘で武装はするし、
どんどん張る地下茎では数を増やしていく。
また薬剤で退治しにくい強い生命力、
おまけに植物全体が有毒。
その悪さゆえ、
英名でつけられた名前は
「ソドムの林檎」、そして「悪魔のトマト」。
悪漢は本当にどんな世界でも存在するのですねぇ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-64.jpg)
枯れた楓の葉に
「冬枯れ」と言う題名を
あえてつけなかったのは、
「冬の寒さ」や「風景の寂しさ」よりも、
むしろ楓の葉を人間に例え、
過酷な世の中にもめげずに立ち向う、
言わば「挑む」姿にも見えるからでした。
じっと眺めていますと、
勇気さえ湧いてくるから不思議です。
ご覧になっているあなたでしたら
どのような見方をされるのでしょうか...。
湧き水の風景
さてもう一カ所、
水上の舞台横で見つけた
湧き水をご案内致しましょう。
湧き水近くの草には
アカスジキンカメムシの幼虫がいたり、
また水中を覗かれると
秋の賑わいを感じる事が出来ますよ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-72.jpg)
この湧き水には
童謡「どんぐりころころ」に登場する
泥鰌はいませんが、
スイスイと水上を歩く
アメンボが丸い波紋を作っています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-68.jpg)
ところで...。
晩秋の林や並木道は
吹く風に黄葉が一気に舞い落ちて、
うっとりする絵画的な光景が見られます。
けれども、ことどんぐりの実がなるこの場所では、
可笑しいことに
風と共にバラバラッと落下する際に、
どんぐりが頭を直撃するんですね。
そして、
水に飛び込むどんぐりはもっと音楽的で、
「ぼちゃ、ぼちゃん、ぼちゃんー♪」と立て続けに、
それもリズミカルに音を立ててその賑やかなこと。
その落下速度ですか?うーん、そうですね・・・。
音楽のテンポでしたら”Allegro Vivace”
(アレグロ・ビバーチェ)と、かなり早い速度です。
また
水中のどんぐりの数ですが、
もう満員御礼の状態ですから
歌詞のようにどんぐりが
「泣いて、困らせる」はなさそうなので、
遊び相手のアメンボも一安心のはず。
*** *** *** *** *** ***
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-73.jpg)
デッキを一回りした後は、
当美術館の最後の展示室となる
水辺の風景をご覧頂きます。
一方、
快適だった館内のお散歩も
急に雨模様のお天気に
変わっていきますが、
そこには晴天の日とはまた異なった
美しい景色が目前に広がっていきます。
それでは、池の眺めを
たっぷりとお楽しみ下さい。
*** *** *** *** *** ***
水辺の風景
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-67.jpg)
赤とんぼのとまる
デッキの縁に立っています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-73.jpg)
覗き込んでいる場所には
藻と落ち葉が二枚。
川の源流であるこの池は
ゆったりとした水の流れがあって、
水に浮かぶ二枚の落ち葉は、
つかず離れずを繰り返すかと思えば
また遠ざかる…..と、
その動きは勝手気まま。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-69.jpg)
水の流れに
池の上を通過する雲が姿を現すと、
その流れはご覧のような作画、
それも「自然にお任せ」を
描いてくれるのです。
秋の雨
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-70.jpg)
おや?
お話の途中ですみませんが、
空をご覧下さい。
どうやら風が出てきて
雲行きが怪しくなってきましたね。
見れば黒い雲が、
急ぎ足で
流れるように向かってきます。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-77.jpg)
池の様子も
光の変化に伴い、
藻の緑に天空の色が重なり
藤色に変化していきます。
また、
水面に鮮やかに映していた
紅葉の色もすでに淡く、
その姿も頼りなげ。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-76.jpg)
空の色からこれはもう、
待ったなしで降ってくるでしょうね。
野外美術館の良さは
自然の中で作品を鑑賞出来る事ですが、
その一方で、弱点は雨です。
でもご安心下さい。
本日は傘を持ってきていますから。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-74.jpg)
水辺から小魚の群れは隠れ、
いつしか鳥の鳴き声も消えて
辺りはとても静かです。
木陰になっているこの池の淵では、
水鏡に映し出された葦や森の草木の姿と、
水面に浮かぶ藻や落ち葉がない交ぜとなって、
思いもよらぬ深みのある
情景になっています。
またこの光景も、
光の加減により
次々に変化していく事でしょう。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-79.jpg)
ぽちゃん。ぽちゃん、!!!
聞こえてきましたか、雨の音が。
この降り出した雨の中を、
傘をさしたご夫婦が
こちらへ向かってきます。
今日も毎日の日課で
歩いていたのかもしれませんね。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-82.jpg)
池のデッキに立つお二人。
眺めて一呼吸した後、
「ああ、美しいねぇ。モネの絵のようだ」と、
ぽつんと呟くご主人。
確かにその通りです。
雨の池も素敵だと思われたのでしょう。
こちらのご夫婦も
もう少し優しい雨でしたら
幻想的な池の光景を
もうしばらく味わっていたでしょうに。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-81.jpg)
ところでこの雨、
残念ですが
止みそうにありませんね。
入口まで戻った方が良さそうです。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-83.jpg)
やれやれ…..。
入り口に到着しましたね。
でも、最後に雨となりましたが、
不便さは兎も角も
意外にも普段と違った池の佇まいを
楽しんで頂けたかもしれません。
それからこちらへ戻る時、
池で見かけた葉っぱですが、
雨脚がだいぶ強くなっていたので
途方に暮れた様子でした…..。
本日ラストの写真
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-93.jpg)
さて今回、
当美術館を一巡りして頂きました。
またお散歩は楽しまれましたか。
ところで、案内役として
心の残りが一つあります。
それは晴れた日の池です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-89.jpg)
お天気がよければ、
水中で模様を描く藻には
日中の暖かな日の光が当たり、
またその間を縫うように
小魚の黒い群れが泳ぎ、
奥の蘆間から
小魚を狙う翡翠(カワセミ)の姿に
出会えたかもしれません。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-85.jpg)
しかし池の水藻も、
そろそろ姿を消し、
また池の水も澄み渡った
冬の色に変わる事でしょう…..。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/Blog-18-92.jpg)
それでは、これをもって
本日の光の野外美術館は
閉館となります。
最後までお付き合い頂きまして
誠にありがとうございました。
またのご来館をお待ちしております♪
*** *** *** *** *** ***
ブログ後記
今回の野外美術館「秋」の
簡単な解説になりますが、
全体的に悠々とした「時の流れ」を
意識したお話になっています。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/TEMIKPHOTO-24968-Edit.jpg)
具体的には、
展示する作品は旬の花や
実りの秋らしく果実だけではなく、
花が開花し、結実した後の
未だ残る植物の姿、
加えて枯れた別の美しさも
同時に味わって頂こうと考えました。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/TEMIKPHOTO-24954-Edit.jpg)
また最後の展示室では、
様々な水辺の風景が登場しましたが、
こういった幻想的な作品も含めまして
日頃の写真作品は、
レタッチ(カメラやレンズ、画像に付着したゴミ等
見苦しいものを除去する事)する以外は
基本的には「ストレートフォト」です。
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/TEMIKPHOTO-25039-Edit.jpg)
なお、毎回お届けする
ブログ内容に関してですが、
スペイン・シリーズは
ある程度連続してUPが望ましいと考えますが、
その一方で、他の写真作品は
スペインのお話の切れのよい場所に
数枚程度しかご覧いただけないため、
今回のように時々美しい日本の季節の話題を
ご紹介させて頂くのも良いかな….と考えています。
どうぞあらかじめご了承下さい♪
![](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/TEMIKPHOTO-25043-Edit.jpg)
今年もあと残すこと
一月余りとなりました。
次回ブログは来年の予定です。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
初稿公開日:2015年11月29日
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