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第22話 懐かしいお話はいかが? その3

アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る

初稿公開日:2017年7月27日

第4話「撮りたいスペインとは何?」

パエジャ(パエリア):スペインの米所バレンシア地方の炊き込みご飯  1044
パエジャ(パエリア):スペインの米所バレンシア地方の炊き込みご飯  1044

一杯のコーヒーから始まった
ブログ「アラベスク文様の手帳から」は、

いよいよこの第4話で、
具体的に
スペインで取りたい対象は何なのかを
絞り込んでいく事になります。

二基の風車(ラ・マンチャ地方)  961
二基の風車(ラ・マンチャ地方)  961

その候補となったのは、
闘牛やフラメンコ、

日没の風車(ラ・マンチャ地方)  965
日没の風車(ラ・マンチャ地方)  965

またスペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道や、建築家ガウディによる建造物…..。

花の小道(アンダルシア地方・コルドバ)  85
花の小道(アンダルシア地方・コルドバ)  85

それは自分にとって、
「一番スペインらしさを感じる物は何なのか」を
追求することに他なりませんでした。

さて…..。

丘に沈む夕日(アンダルシア地方・コルドバ)  715
丘に沈む夕日(アンダルシア地方・コルドバ)  715

候補に挙げたそれぞれの詳細を、
ここでさらにご説明するのも
意味がない事ですから、

いかがでしょう?
これから第4話を
まずはご覧になってみませんか?

スペイン広場(アンダルシア地方・セビージャ)  10324
スペイン広場(アンダルシア地方・セビージャ)  10324

また、この先ちょっとしたお話も
ご用意しておりますので、
お時間がある時にこちら第22話へお戻り下さいね。
お待ちしております♪

第4話はこちらから

***   ***   ***   ***   ***   ***

春の海岸(バレンシア地方)  4052
春の海岸(バレンシア地方)  4052

さて、
第22話も終盤にさしかかりました。

それでは、
これより始めましょうか。

***   ***   ***   ***   ***   ***

旅での予期せぬ出会いもまた楽し

第4話で取り上げた「撮りたいスペイン」。

祭りに集まる人々(アンダルシア地方・ウエルバ県)  11412
祭りに集まる人々(アンダルシア地方・ウエルバ県)  11412

そのテーマが決まると、
気持ちも新たに作品制作の旅へ
出かけていくことになりました。

村から村へ(アンダルシア地方)  11389
村から村へ(アンダルシア地方)  11389

スペインでの
取材の旅は楽しく、

撮影する著者(カスティージャ・イ・レオン地方)  28951
撮影する著者(カスティージャ・イ・レオン地方)  28951

資料や地図からでは得ることの出来ない
現地の人々との
予期せぬ出会いがありました。

中世祭りの役者達(ラ・マンチャ地方)  48
中世祭りの役者達(ラ・マンチャ地方)  48

そしてまた、
作品の幅をさらに豊かにしてくれたのも、
彼等からの
貴重な情報が大きかったと言っても
過言ではありません。

ミニ・ハリウッド(ウエスタン村)  3820
ミニ・ハリウッド(ウエスタン村)  3820

ところで予期せぬ出会いと言えば、

お祭り会場にて(バレンシア地方)  21143
お祭り会場にて(バレンシア地方)  21143

本来の旅の撮影目的とは
直接関係はないものの、
お世話になって人々の他に

騎士姿の少年  11413
騎士姿の少年  11413

たまたま通りすがりに見つけた風景も、
旅の楽しさを
倍増してくれた一つでもあったのです。

新鮮野菜のガレージ販売  12844
新鮮野菜のガレージ販売  12844

ですから、
第22話の最後には
普段のブログでは
主役として決して登場しないような風景を、
お話のラストにご紹介させていただこうと考えました。

それではどうぞ♪

マドリード・マドリード・マドリード

ラマレス広場(マドリード)  18071
ラマレス広場(マドリード)  18071

まずは、
ほんの少しややこしい説明になりますが、
マドリードの表記からお話を致しましょう。

製菓材料店のショウウインドウ(マドリード)  18065
製菓材料店のショウウインドウ(マドリード)  18065

スペインの
首都マドリードがある州とは、
イベリア半島のほぼ中心に位置する
三角形をした「マドリード州」です。

このマドリード州には、
県はマドリード県、
一県しか存在しません。

夕暮れの裏通り(マドリード)  18082
夕暮れの裏通り(マドリード)  18082

ですから、
仮にマドリード市まで
住所を公式に書こうとすれば、

「マドリード州マドリード県マドリード市」と、
このようになるのでしょうか。

宣伝ポスター(マドリード)  18160
宣伝ポスター(マドリード)  18160

とは言え、
例えば日本からマドリード市へ
国際郵便を送る場合でさえ
郵便番号があるおかげで、

州も県名も記載することなく
スペイン国の後は、
マドリード市○○通りxx番地で、
問題なく着いてしまいますけれどね。

古い酒屋で一杯(マドリード)  9548
古い酒屋で一杯(マドリード)  9548

つまり、
マドリード市は国の首都であって、
かつ州都、
県都でもあるわけですね。

おわかり頂けましたでしょうか?

広場前でポートレート撮影(マドリード)  16326
広場前でポートレート撮影(マドリード)  16326

さて、
このマドリード州を呑み込むように
東西南北に大きく広がっているのが
「カスティージャ・ラ・マンチャ州」です。

風車  973
村々の風車 (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド)  973

この州には有名な風車や、
歴史的建造物が多く保存されている
古都トレドを始めとして、

廃墟になった古城(ラ・マンチャ地方・クエンカ)  9860
廃墟になった古城(ラ・マンチャ地方・クエンカ)  9860

中世の城塞等が
広く存在していますから、
作品作りには
本当によく出かけていきました。

春の大地(ラ・マンチャ地方)  792
春の大地(ラ・マンチャ地方 グアダラハーラ)  792

ラ・マンチャ地方の小村へ

風車  9738
丘の上の風車 (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド)  9738

あの風車に出会ったのは、
新緑の美しいある週末の午後でした。

丘に残る古城を見ようと
マドリードから北東へ90㎞離れた山間の小さな村へ
訪ねて行ったのです。

古い道標のある道(ラ・マンチャ地方)  28961

往路では
通過するダム湖を眺めながらも、
古都トレドを流れるタホ川の上流や小村、
それに古城に夢をふくらませながら
ワクワク気分でおりました。

ダム湖(ラ・マンチャ地方・グアダラハーラ)  20
ダム湖(ラ・マンチャ地方・グアダラハーラ)  20

ところが到着してみれば
すぐに村はずれで、
そのあっけなさに拍子抜け、
期待はずれの心を抱いたまま
仕方がなく村を出た私でした。

石橋のある川:水力発電所付近(ラ・マンチャ地方)  28957
石橋のある川:水力発電所付近(ラ・マンチャ地方 グアダラハーラ)  28957

川土手に一本の田舎道が
延びているのを目にすると、
道からタホ川を眺めてみたくなり
「この先へ行ってみようかな」という
気持ちに駆られたのです。

タホ川(ラ・マンチャ地方)  28967
タホ川(ラ・マンチャ地方)  28967

進んでいくとその道は、
どうやら土手の草地を挟んだ右手の川に
ずっと沿うように続いているようでした。

それからまもなくのことです。
岸辺の林の中から
手頃な広さの草地を見つけると、

「あら、あそこならランチにぴったり!」と、
穏やかな傾斜の着いた土手を降りて車を停め、
テールゲートに腰掛けたのでした。

レストランの店頭人形(マドリード)  16278
レストランの店頭人形(マドリード)  16278

早速、街道筋のBAR(バル)で
作ってもらった軽食を取り出します。

スペインの内陸部は乾燥しているので、
しっとりとしたおむすびを
持参するのが多いのですが
その日は時間もなくボカディージョ。

では、そのボカディージョとやらをご覧下さい。

スペイン風サンドウイッチ「ボカディージョ」  23937
スペイン風サンドウイッチ「ボカディージョ」  23937

ご存じの方もいらっしゃるでしょう?
バゲットに具を挟んだ
スペイン風のサンドウィッチのことなのです。
二人分はありそうなボリュームですね。

スペイン生活も長くなってきますと、
知らぬ間にスペイン人のように
自分の好きな具を組み合わせて、
メニューには載らないアラカルトを
頼みたくなってきます。
もちろん単純にチーズまたは生ハムのみ、
それに烏賊のリングフライなどもありでしょう

Bar(バル)の軽食メニュー  10764
Bar(バル)の軽食メニュー  10764

さて、BARで注文した中身の具は、
鉄板焼きのポークの肩ロース肉が2~3枚と
山羊のチーズでしたが、
「パンの内側両面には
完熟トマトをたっぷり擦りつけ、
オリーブ油もかけてください値♪」と頼みました。

こうすると
外側が堅いスペインのバゲットも、
時間の経過と共に程よくしっとり。
また味に奥行きも出るのですよ…..。

午睡は牧羊道の木陰で

ところで…..。
食事中に腰掛けた場所からは
週末らしくゼッケンをつけた子供達が、
すーっ、すーっとカヌーで軽やかに川下りする姿が、
木々の幹の間から見え隠れしていました。

こんなのどかな光景を眺め、
食後となれば快適な気温の上に、
程よい暗さの木陰もある。
そして聞こえてくる愛らしい小鳥の声。
ああ、なんて良い気持ちなのでしょう!

食後に車の座席に戻っていた私は、
案じていた通り睡魔には勝てず、
やはりうとうと。

水の流れ  13780
水の流れ  13780

眠り始めてから
10分、いや15分程度経過した頃でしょうか。
岸辺に茂る木々の下で、
羊の群れに出会ったのはこの時でした。

つい今し方まで川風に乗ってきた
子供達の明るい声に代わって
聞こえてきたのは、
「カラン、カラン、カラン…カラ」と、
素朴で金属的なベルの響き。

夢の中での出来事なのかと
頭の中でその判断を思い迷いつつも、
いよいよベルの音が大きくなり
確実に現実のものだと悟った瞬間、

はっと目が覚め
車のバックミラーを覗けば、
そこには背後から近づいてくる
羊の群れがありました。

林  24531
林  24531

その時の眺めは、
それはとても印象的なものでした。

束の間の午睡を楽しんだ岸辺の木の葉は、
翡翠色のタホ川を背に
午後の斜光で光り輝き、

萌える(タホ川上流)  28966
萌える(タホ川上流)  28966

目の前を僅かに土埃を立ち上げながら
羊の群れが草を食べつつ
ただ、ただ、蹄の音を立てて移動していく姿。

「岸辺の羊の群れ」  98 《IPA(国際写真賞) 2010年 受賞作品》
「岸辺の羊の群れ」  98 《IPA(国際写真賞) 2010年 受賞作品》

その情景とは
今も昔も変わらぬ時を超えた
「一枚の絵」のようだったのです。

***   ***    ***   ***   ***   ***

今回も最後までご覧下さいまして
ありがとうございました。
2話を通してご紹介した
ブログの成り立ちでしたが、
いかがでしたでしょうか。

第1話から第4話まで
私自身も加筆訂正をしながら
何度か読み返し、
懐かしさもひとしおでした。

さて最後の第4話では、
夏の巡礼路への旅をビバルディの「四季」から
夏の詩の一編をご紹介したのですが、
思い出したようにブログに合わせて
ビバルディを聴きながら、
「日本の夏もより年々酷暑に
なっていくなぁ」と感じました。
どうぞ読者の皆様もご自愛下さい。

***   ***    ***   ***    ***   ***

初稿公開日:2017年7月27日

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