アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る
初稿公開日:2013年6月17日
季節は春から夏へ
3月下旬から5月にかけて、
日本列島を明るく染めて行った桜の花。
その「桜色の風景」も、
振り向けばだいぶ遠ざかった記憶に
なった頃ではないでしょうか。
あれから季節は春から夏へと移ろうとしています。
![窓(マドリード) 2373](https://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/TEMIKPHOTO-2373-Edit.jpg)
花束にしおりを挟んで
4月~5月にかけて、
身近な公園や庭園へ出かけ、
目にとまった花々を撮って参りました。
それに身近な庭先の花も加えました。
これらの花々の間に
本の「しおり」のように、
幾つか小さなお話を挟んで
「春と初夏の花束」に仕立ててみました。
どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。
![花壇(東京) 2374](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-2.jpg)
春を告げる歌
春になると気持ちが軽やかになって、
つい、くちずさみたくなる歌はありませんか。
随分前のことです。
住んでおりましたマドリードの家で、
そんな春を感じさせる歌に出会いました。
![オープンカフェテリア(マドリード) 2375](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-3.jpg)
一息入れようと飲み物を手に、
ふとテレビをつけた時でした。
セピア色のスペインを
感じさせるような歌が、
コマーシャルと共に流れてきたのです。
作曲された時代は、
日本では大正時代の初めでしょうか。
マドリードの街角を舞台にした粋な歌詞。
![アパート(マドリード) 2376](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-4.jpg)
愛らしいメロディのフレーズとフレーズとの間に、
程よい「間合い」があって、
聴いているといかにも古い時代の
ゆったりとした時の流れを感じます。
後に曲名と同じ、同名映画が
制作されています。
「すみれの花売り娘」の歌
その曲名は ”La Violetera”(ラ・ビオレテ-ラ)。
作曲は、スペイン南東部・アルメリア出身のJosé Padilla Sánchez(ホセ・パディージャ・サンチェス)。
日本語では「すみれの花売り娘」。
この歌、ご存じの方も結構いるかも知れませんね。
![ビオラ(東京) 2377](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-5.jpg)
それでは歌の前半までの、
情景を歌詞も交えてご紹介致します。
![パンジー(東京) 2378](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-6.jpg)
マドリードの街角。
すみれの花売り娘が表れる頃を
「春を告げるツバメ」に例え、
彼女の花売りの声が、
ツバメが繰り返し
さえずるように聞こえてきます。
![ツバメ(アンダルシア地方・モハカール) 2379](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-7.jpg)
手には花かごに並べられた「すみれの花束」。
すみれの花売り娘は、
若い男性に声をかけます。
「若旦那さん、たった1レアルですから、お持ちなさい。
この花束を私から買っていって下さいな。
ボタン・ホールを
すみれの花束で飾るために...」。
![ビオラ(東京) 2380](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-8.jpg)
上着の下えり(ラペル)のボタン・ホールは、
花や小さな花束を挿す為のもの。
花売りの娘さんは、
すみれを勧めるのがとても上手ですね。
![ビオラ(東京) 2381](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-9.jpg)
ロシアの3つの花の小話
所変わって、お話はロシアへ。
1990年代にモスクワへ行っていた事があります。
その頃の花の思い出です。
花束を持った少女
モスクワ郊外にある
シェレメチェボ国際空港。
ここの到着ロビーで
印象的な少女を見かけました。
![ぼたん(東京) 2382](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-10.jpg)
薄暗いロビーの電灯(あかり)の下で見渡すと、
ぽつん、ぽつんと浮かび上がる色とりどりのもの。
何とそれらは、到着客に贈るための、
出迎えの人々が手に持っていた花束でした。
![ぼたん(東京) 2383](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-11.jpg)
モスクワは、9月末から4月頃まで雪に覆われます。
長い冬を過ごす人々にとって
色鮮やかな生花は、
特別に嬉しい贈り物に違いありません。
ロビーの出入り口付近には、
数人の大人に混じって
髪を赤いリボンで結んだ
少女が立っていました。
![ゼラニウム(東京) 2384](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-12.jpg)
外に出ようと歩いていた私が
すれ違いざまに見たのは、
一瞬はにかんだような少女の横顔。
彼女が見つめていた
その華やかな花束は、
どなたに差し上げたのでしょうか。
草原の春
![野草(東京) 2385](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-13.jpg)
空港を出ると市内へ向かうまっすぐな道が
しばらく続きます。
左手すぐには白樺林。
右手には雪景色から開放されると、
緑の草原に変わる大地が広がっていました。
![野草(東京) 2386](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-14.jpg)
ここは、飛行機から降り立った旅人にとって、
最初にモスクワの春を
知ることが出来る場所。
![雲(カスティージャ・ラ・マンチャ地方・グアダラハーラ) 2387](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-15.jpg)
空と雲。
草原一面には、
見渡す限りの「たんぽぽ」。
繁殖力の強いたんぽぽは、
緑を埋め尽くさんばかりです。
![タンポポ(カスティージャ・ラ・マンチャ地方・クエンカ) 2388](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-16.jpg)
春風が吹く日。
球状になった綿毛の花束からは、
次々と銀色に輝く種子が
静かに飛び立って行きます。
![タンポポ (東京) 2389](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-17.jpg)
道端でタンポポを見つけると、
今でもこの空港近くの
草原を思い出します。
そして、
ロシアの偉大な作曲家
チャイコフスキーや、
ラフマニノフのことも。
ロシアの広大な大地を感じさせる曲は、
このような景色から生まれたのでしょうか。
街角で春を受けとめた花束
もう1つ、モスクワでのお話。
市内の滞在先ホテルから歩いて15分程に
確か地下鉄の駅がありました。
いつもなら散歩や食事は
通りにある駅の降り口より少し手前で
済ませておりました。
その日は、
比較的暖かかったのでしょうか。
地下鉄の降り口まで
歩きたくなりました。
![すずらん(東京) 2390](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-18.jpg)
地下鉄駅のある通りは人通りも多く、
ネッカチーフを被った年配の女性が
「鈴蘭の花束」を小さな台の上に
置いて売っていました。
思わず1束欲しくなったのは、
私も知らぬ間にこの町の人々のように、
ずっと春を待ちわびていた
1人だったのかもしれません。
![すずらん (東京) 2391](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-19.jpg)
買い求めた白く清楚な鈴蘭の花束。
そっと左右に揺すって見ると
ロシアの春の音が、1つ1つの花から
ポロン♪ポロン♪と出てきそうでした。
スペインの旅先で出会った「懐かしい花」
ある年の6月初旬に、スペイン北西部を訪れました。
![湖畔の教会 (カスティージャ・イ・レオン地方・サモラ) 2392](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-20.jpg)
ちょうど昼食時でお腹もすきましたので、
街道からサンティアゴ巡礼の道沿いにある町へ
入りました。
視界いっぱいに見えてきたのは、
時計の付いた鐘楼や、路の両側の古い家並み。
![塔のある風景 (カスティージャ・イ・レオン地方・ポンフェラーダ) 2393](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-21.jpg)
ところで、
塔を潜ってこの道を歩いていた時には、
この先の広場で
外壁を飾る藤の木に出会えるなんて
思っても見ませんでした。
程よい大きさの広場には
立派な石造りの建物があって、
庭師の方が藤の木を
とても素敵に壁を這わせていました。
後ほど別の写真でご紹介しますが、
木と同系色の金属製チューブを
何本も使用して
目立たぬように藤を支えた方法は見事でした。
![藤と建物 (カスティージャ・イ・レオン地方・ポンフェラーダ) 2394](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-22.jpg)
でも残念なことに、訪れた時には
すでに花の季節は終わっていました。
そこで今年の春、日本で撮影しました
藤の花をご覧になりながら、
お話を続けたいと思います。
![藤 (東京) 2395](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-23.jpg)
ところで藤を眺めていて、
『この木の祖先は、日本から来たのかしら?』と、
ふと疑問に感じました。
調べてみますと
1816年に東インド会社のキャプテンが、
「シナ藤」を広東からイングランドへ苗木を持ち込み、
その後ヨーロッパ大陸へかなり速い速度で
広まっていったようです。
一方日本の藤は、
幕末に、長崎出島のオランダ商館医であった
ドイツ人医師フォン・シーボルトが
1830年にヨーッロッパへ持って帰っています。
米国にも自生の藤がありますが、
日本の藤を
1861年に米国人Dr.George Rogers Hall が、
日本から米国北東部のニュー・イングランドへ
船便で送っていました。
![霧の中の船 (アンダルシア地方・アルメリア) 608](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-24.jpg)
彼は、冒険的な人で
東洋で幸運を手で掴もうとしたようです。
最初は、出身地ロード・アイランド州から
上海へ小さな病院を開設する為、
医師として渡りましたが、
その後、商人へ転身しています。
ところでこの時代、
船便で生きた植物を輸送するのは
「水やり」の問題もあり、
とても困難を極めました。
![ロンドン・ブリッジ (ロンドン) 2397](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-25.jpg)
当時、数十年前にロンドンで
他の航海で実証実験済みだった
生花輸送用の「ウォードの箱」がありました。
![王宮前にて (ロンドン) 2398](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-26.jpg)
彼は、このガラス製のミニ温室を活用して、
日本から初めて、生きた植物を
米国へ輸送した人として知られています。
![じょうろ (マドリード) 2399](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-27.jpg)
さて、この「ウォードの箱」。
その水の循環方法等を知ってみると、
確かに日数のかかる
船便にはぴったりでした。
![馬具の店 (ロンドン) 2400](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-28.jpg)
ただ、スペインのこの町の藤が、
東インド会社のキャプテンが持ち込んだものなのか、
それともフォン・シーボルトが持ってきた日本の原種の藤なのか、
残念ながらわかりませんでした。
![藤と建物 (カスティージャ・イ・レオン地方・ポンフェラーダ) 2401](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-29.jpg)
いずれにしても、
この木を眺めながら
藤の花咲く「日本の風景」を
思い浮かべていたことに違いありません。
さて、最近の新聞記事で
横浜の園芸会社が、
明治20年代半ばに欧米へ送っていた
「ヤマユリ」など
日本固有種の球根などを再現する試みが
始まったという記事を読みました。
品の良い日本固有種だそうで
また復活させたいとの事。
当時の日本から旅立っていった花達。
私達も是非見てみたいですね。
![藤 (東京) 2402](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-30.jpg)
藤の花の魅力とは、
下がる藤の花序。
花の色。
甘い香り。
全体の葉の茂った雰囲気や、
葉の形も欠かせません。
![藤 (東京) 2403](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-31.jpg)
これら1つ1つの要素が相まって
「ロマンチック」と感じるのですね。
![藤 (東京) 2404](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-32.jpg)
欧米では藤棚にする他、
蔓の特性を生かして
建物の入り口やファザード、
アーチの付いた窓枠の周りを覆う。
また藤棚の柱や、
庭の石柱に巻き付けて
花を咲かせる...。
![藤と建物 (カスティージャ・イ・レオン地方・ポンフェラーダ) 2405](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-33.jpg)
建造物周辺を、
藤色や葉の緑で色を満たした様子は、
人々を夢心地にさせるのかもしれません。
装飾には理想的な花なのですね。
さて、ここからは気分を変えて
日本でのお話を致します。
5月の連休中のある日の午後。
![藤 (東京) 2406](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-34.jpg)
藤棚の下に腰掛けますと、
ちょうど良い具合に
鯉のぼりが見えました。
鯉のぼりは、風待ちなのでしょうか。
みんな「しょぼーん」。
何と、小鰺の干物状態になっていました。
風が吹いても、そよそよ...。
なので、今ひとつ上手く泳げません。
![藤と鯉のぼり (東京) 2407](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-35.jpg)
中々強く吹いてこないので
鯉の口から勢いよく吹き込まず、
彼等も困った様子。
それを見て、何だか気の毒やら、
可笑しくなってしまいました。
そして心の中で、こう叫びます。
『小鰺の干物よ、元気な鯉のぼりになぁれ!』と。
するとどうでしょう。
ちょうど良く、
威勢の良い風が駆けつけてくれました。
「遅くなりましてすみません。この季節は、忙しいもので!」
![藤と鯉のぼり (東京) 2408](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-36.jpg)
あら、
つい鯉のぼりのお話に
夢中になってしまいました。
頭上を見上げますと
幾重にも重なり合った花が
下がっています。
![藤 (東京) 2409](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-37.jpg)
時折吹く、爽やかな5月の風に、
一斉に「花の振り子」が
揺れ出しました。
その振り子は、緑の軸に、紫、白、黄色の花の粒。
![藤 (東京) 2410](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-38.jpg)
風に合わせて揺れる花の動きは、
とても夢幻的でした。
目の前の光景も、
ストップ・モーションのように1
枚、1枚、「風に舞う藤の花」として
心に刻まれることでしょう。
![藤 (東京) 2411](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-39.jpg)
藤棚から鯉のぼりや、庭園を眺める。
当たり前の景色の取り合わせですが、
案外、贅沢なことかも知れませんね。
さて藤のお話の最後は、
つぼみの写真をお届けいたします。
![藤 (東京) 2412](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-40.jpg)
美しい姿を、今年も見せてくれましたね。
しおりはつけずに...
![ばら (東京) 2413](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-41.jpg)
さてこれより先、しばらくの間、
お話のしおりは挟まずに、
色々な花をご覧頂きたいと思います。
![ゼラニウム (東京) 2414](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-42.jpg)
「花も、こんな見方があるんだなぁ!」と、
感じていただけたら、とても嬉しく思います。
![クレマチス (東京) 2415](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-43.jpg)
舞踏会の華達
![ぼたん (東京) 2416](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-44.jpg)
春本番。
牡丹や芍薬が咲き誇る場所に
一歩足を踏み入れますと...。
一瞬にして華やかな「舞踏会」に
訪れたような気分になりました。
では、そのつもりになって頂いて、
会場の扉を気づかれぬよう
開けてみましょうか。
![ぼたん (東京) 2417](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-45.jpg)
皆さん、優雅に踊られていますね。
![ぼたん (東京) 2418](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-46.jpg)
そうそう、気がつかれましたでしょうか。
ここには、楽器の奏者は存在しません。
![ぼたん (東京) 2419](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-47.jpg)
「風」でリズムや強弱を取りながら
踊っているのです。
![ぼたん (東京) 2420](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-48.jpg)
白に赤紫の色が華やか。
それでいて、優しさが伝わって来る方ですね。
こちらは、お若い方でしょうか。
![ぼたん (東京) 2421](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-49.jpg)
光沢のある、赤のシルクサテン地のドレスは、
チューリップをイメージさせるデザインです。
どなたも、まさに「舞踏会の華」。
個性的で、
趣向を凝らしたドレスで踊られる姿は
うっとりする美しさです。
さあ、他にどんな方がいらっしゃるのか
もっと見てみましょう。
![ぼたん (東京) 2422](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-50.jpg)
白い段々のフリルに、
黄色とピンクの装飾用モールが素敵です。
踊る度、
フリルが上下に優しく揺れるシルエット。
こちらは、明るめのローズ色のドレスを着た
爽やかな感じの、若いご婦人が踊っています。
![ぼたん (東京) 2423](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-51.jpg)
ボリュームのある、
ギャザーたっぷりのスタイルですね。
如何でしょうか。
お楽しみ頂いていますか。
それでは、ここからは特に個性的な方々を
ご覧下さいね。
![ぼたん (東京) 2424](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-52.jpg)
こちらは、艶やかな深紅の
大胆なデザインのドレスを纏った貴婦人。
「燃えるような赤」を感じませんか。
![ぼたん (東京) 2425](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-53.jpg)
そして今度は、
繊細で優雅なイメージの白い貴婦人。
鳥の羽のようなドレスがぴったりです。
![ぼたん (東京) 2426](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-54.jpg)
シルクタフタのドレスは、
風が吹くと「衣ずれの音」が聞こえて来る
かもしれません。
![ぼたん (東京) 2427](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-55.jpg)
代わって、
ローズ色から白のグラデーションのドレス。
奥行きのある色や、デザイン共に見事ですね。
![ぼたん (東京) 2428](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-56.jpg)
お二方は姉妹なのでしょうか。
踊らずに、終始こんな状態でした。
ひょっとして、舞踏会は初めてかしら?
さぁ、勇気を出して踊り出して下さいね!
さて、この方はどなたでしょう。
踊りが苦手なのかしら?
![ぼたん (東京) 2429](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-57.jpg)
赤いドレスの向こうに隠れているのは、
よくよく見れば、若いキリギリスでした。
それから、
先程から気になっている方がいます。
舞踏会でひときわ目を引いた
「ジャーマン・アイリス」です。
![花菖蒲 (東京) 2430](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-58.jpg)
背中の開いた「バックレス・ドレス」。
うすぎぬを纏っているような、
エメラルド色の「クサカゲロウ」のよう...。
このドレスは踊る際に、反り返った時の背中のラインが
とても美しいのです。
そして最後に表れたのは、アヤメ。
青の地に白や、金茶の糸などで
刺繍を施こしたドレス。
![アヤメ (東京) 2431](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-59.jpg)
この青の色の深さを眺めていますと、
その美しさに引き込まれそうになりませんか。
舞踏会もたけなわ。
まだまだ続くようなのですが...。
そーっと、外に出てみませんか。
さて、華やかな花々を堪能した後は、
小道や池の周りの
お散歩は如何でしょう。
![野道 (東京) 2432](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-60.jpg)
気持ちよく森林浴が出来そうでしょう。
![もみじ (東京) 2433](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-61.jpg)
足下には春の草に混じって
昨秋の落ち葉や、どんぐりもまだ残っています。
一歩、一歩踏み出す度に
さくっ、さくっとする音。
歩くのが楽しいですね。
![若葉と苔 (東京) 2434](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-62.jpg)
ご覧になれますか。
今は使われていない「木の杭」。
でも知らぬ間にとても小さな
「春の劇場」にリニューアルしていました。
丸い舞台の上で、木の葉と一緒にコケ達が
演技をしています。
さらに風が吹いてくると、中々これも良い演技。
照明さんも、ライトを当てるのがとても上手ですよね。
![しだ (東京) 2435](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-63.jpg)
シダの形。
そして緑の美しさ。
![バラとヨコバイ (東京) 2436](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-64.jpg)
何でしょう?
撮影していますと、
上から何か液体が降って来ます。
犯人は黄色の「ツマグロヨコバイ」でした。
![カルガモ (東京) 2437](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-65.jpg)
今度は、池の方へ行ってみましょうか。
カルガモのカップルです。
![藻 (東京) 2438](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-66.jpg)
池の藻の色。
独特な緑の濃淡。
![カルガモ (東京) 2439](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-67.jpg)
別の池のカルガモです。
ほんの一瞬広げた羽の美しさは、息をのむほど。
でも、ちょっと...。
先程から迷っていた一言があります。
やはり言わせていただこうかしら...。
「足、しびれちゃったのかしらねぇ」。
花と蔓のカリグラフィ
その日は野山を一日中、
気持ちよく歩いた日でした。
時間は、そろそろ日没近くだったでしょうか。
![スイートピー (東京) 2440](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-68.jpg)
道沿いにある畑の一角に、
スイートピーとチューリップ中心の
花壇がありました。
わざわざその場所を歩く人々のために
あつらえた花壇のようです。
![スイートピー (東京) 2441](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-69.jpg)
ハイキング帰りの方々も
必ず皆さん「きれい...!」と
しばし足を止め、眺めていきます。
![スイートピー (東京) 2442](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-70.jpg)
スイートピーの花は軽やかで、
色とりどりの蝶が
その場所でずっと羽ばたいているようです。
![スイートピー (東京) 2443](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-71.jpg)
そして蔓は、
「何か先につかまる物がないかな?」と、
支柱になる物を探して
先端を伸ばしていきます。
まるで美しく文字を飾る
「カリグラフィー」ですね。
![スイートピー (東京) 2444](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-72.jpg)
絵画仕立てにした
「花と蔓のカリグラフィー」は、
お好きでしょうか...。
![チューリップ (東京) 2445](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-73.jpg)
まぁ、いけません!
日の光が、もうすぐなくなりそうです。
花壇の主役、チューリップを
随分待たせてしまいました。
スイートピーを背景に、
スタイルの良い
深みのあるローズや
オレンジ色のチューリップは、
上手にポーズを決めてくれました。
最後のしおり
随分たくさんの花が出揃いましたね。
気がつきますと、お話を挟むしおりが
手の中に一枚だけとなりました。
![えびね (東京) 2446](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-74.jpg)
花束の最後のお話は庭先に咲く花、
「えびね」「紫蘭」「オダマキ」を
ご紹介しながらのお話です。
![えびね (東京) 2447](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-75.jpg)
ラン科「えびね」の花です。
花の形は、どんな風に見えますか。
宙に浮かんだ、つばの広い帽子を
被った人でしょうか。
![えびね (東京) 2448](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-76.jpg)
あるいは、
14~16世紀、西ヨーロッパの
人々の服装でしょうか。
![祭り (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・グアダラハーラ) 2449](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-77.jpg)
風変わりな帽子や、ろばの耳が付いた道化師の頭巾、
大きめの袖やたっぷりした衣...。
![祭り (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・グアダラハーラ) 2450](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-78.jpg)
彼等の服を、色々混ぜ合わせたような
不思議な服...。
あれこれ考えると楽しそうです。
![えびね (東京) 2451](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-79.jpg)
花の持つ生命力
もう1つ、「紫蘭」をご紹介します。
ラン科でも取り扱い安い花で、
あちこちのお庭で見かけました。
![シラン (東京) 2452](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-80.jpg)
カメラの特性を生かし、
ぐっと近くに寄って
「花の世界」を見てみます。
![シラン (東京) 2453](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-81.jpg)
花は人の形を
想像させてくれるだけでなく、
同時に
自然の摂理を教えてくれました。
例えば、虫と共生する花。
それから、
害虫に襲われる花。
![シランとヨコバイ (東京) 2454](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-82.jpg)
病気に感染することもあります。
![シラン (東京) 2455](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-83.jpg)
また花の近くで、
虫同士の生死を分ける戦いも
繰り広げられていました。
![シラン (東京) 2456](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-84.jpg)
春から初夏にかけて
ファインダー越しに見てきた花々。
![シラン (東京) 2457](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-85.jpg)
結果、
私達人間同様、どの花も
「生きること」に懸命でした。
![シラン (東京) 2458](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-86.jpg)
このように花の優しさだけでなく、
「生きる力強さ」も写真を通して
ご覧になって頂けたら...と、思います。
![シラン (東京) 2459](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-87.jpg)
「オダマキ」と「西洋オダマキ」
![オダマキ (東京) 2460](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-88.jpg)
花の魅力は、
すでに「藤の花」のお話で申し上げた通り
簡単に言うならば、
姿形、色や香りですね。
![オダマキ (東京) 2461](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-89.jpg)
そして人々の生活の中には、
花をモチーフにした品々や
香りで溢れています。
![オダマキ (東京) 2462](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-90.jpg)
例えば、
花のイラストが入った「マグカップ」。
![オダマキ (東京) 2463](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-91.jpg)
紅茶の入った「陶製の花模様の容器」。
![オダマキ (東京) 2464](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-92.jpg)
それから「ビスケットの缶」や、
![オダマキ (東京) 2465](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-93.jpg)
花柄をあしらった「手帳」、
テーブルクロスもあります。
![オダマキ (東京) 2466](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-94.jpg)
香水類や
食品用の花のエッセンス...。
![オダマキ (東京) 2467](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-95.jpg)
羅列しましたら、もうきりがありませんよね。
![オダマキ (東京) 2468](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-96.jpg)
こうしてご自身の回りを、
ぐるーっと見回しただけでも
意外に多く、その数に驚くと思います。
![オダマキ (東京) 2469](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-97.jpg)
そして花は、
私達の心の中にも共生しています。
そう、今回お話ししてきたように...。
![オダマキ (東京) 2470](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-98.jpg)
歌の中で。
![オダマキ (東京) 2471](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-99.jpg)
特別な時の花束に。
![オダマキ (東京) 2472](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-100.jpg)
また、季節を告げる花として。
![オダマキ (東京) 2473](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-101.jpg)
旅先で出会った花。
![オダマキ (東京) 2474](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-102.jpg)
そしてまた、
日本から遠く旅立っていった花...。
![オダマキ (東京) 2475](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-103.jpg)
これらの花も、
心の中に生きている
「花の魅力」の1つだと思います。
![オダマキ (東京) 2476](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-104.jpg)
さて、花々の間に挟んだ
しおりの小話。
![オダマキ (東京) 2477](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-105.jpg)
「花としおり」で今、とても華やかになりましたね。
![オダマキ (東京) 2478](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-106.jpg)
この手からあふれそうな
「春と初夏の花束」に
![オダマキ (東京) 2479](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-107.jpg)
「人と花を結ぶリボン」を美しくかけて
![オダマキ (東京) 2480](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-108.jpg)
今、そちらへお渡ししましょうね。
![西洋おだまき (東京) 2481](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-109.jpg)
選んだ花々とお話を
お気に召していただけたでしょうか。
![西洋おだまき (東京) 2482](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-110.jpg)
本日ラストのお花
さて毎年4月~5月に
マドリードから郊外へ伸びる街道沿いには、
それは、それは見事な
真っ赤な”Amapola” 「アマポーラ」の花が咲きます。
日本では、ひなげしの花ですね。
![ポピーの野 : トレド ラ・マンチャ Toledo 2483](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-111.jpg)
特に思い出深いのは、
青麦畑にも群生している景色です。
アマポーラの咲く景色。
![ポピーの野 : トレド ラ・マンチャ Toledo 2484](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-112.jpg)
群生している花が、
真っ青な空の下で
そして雲の蔭の下で
風に呼応するかのように、ゆらゆら揺れる姿。
私にとって、スペイン生活に於ける
代表的な春の風物詩と言えます。
一方、スペイン人にとっては
「野草」扱いなので、
「わざわざ撮りに行ったの?」と、
冗談交じりで笑われた事もありました。
でも、本当は彼等の心の中に
しっかり根付いている花なのだと思います。
この花もすみれ同様、”Amapola”の歌として
良く歌われているのですから。
![ポピーの野 : トレド ラ・マンチャ Toledo 2485](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2013/06/Blog-9-113.jpg)
そして今年の春。
アマポーラに代わって
日本で咲く美しい花々を、
街角で、そして公園や庭先で
気軽に鑑賞出来、
こうして写真に収める事が出来ましたのも
日本の素晴らしさの1つと
感じています。
この度も、最後までお付き合い下さり
どうもありがとうございました。
次回はスペインのお話を予定しています。
またお越し下さいね。お待ちしております。
初稿公開日:2013年6月17日
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