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初稿公開日:2014年6月6日
再びソコドベール広場から
スペイン・古都トレド。
![Blog-13-228
ソコドベール広場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9196](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-228.jpg)
商業地区入り口に接している
「ソコドベール広場」。
![Blog-13-227
ソコドベール広場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7141](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-227.jpg)
ここは週末になると、
ほら、ご覧の通り...。
![Blog-13-1
休日の広場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5976](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-1.jpg)
地元の人々に混じって
外国人や、近隣から遊びに来た
スペイン人達で賑やか。
午後には観光疲れもあって
広場のテラスやベンチも人で埋まります。
現代の街角の表情 旅人のトレド
さて、
第11話「道(I )秋景色からトレドへ」では、
トレドがどのような町なのかを、
中世の歴史話を添えて全景や街並みを
ご覧になって頂きました。
![Blog-13-3
住宅街 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7167](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-3.jpg)
そして今回は、
長い歴史の中でトレドの人々が
つくり上げてきた「都市」という器に於いて、
現在を生きる普段着姿の住人や
その暮らしぶり、
![Blog-13-137
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5910](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-137.jpg)
また街を行く人々の姿を
フィルムで撮った白黒アルバムから、
![Blog-13-112
親子連れ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6842](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-1121.jpg)
その他、風景を時折アクセントとして
カラー・フォトでお楽しみ頂けたら...と、
思っています。
![Blog-13-120
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6881](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-120.jpg)
今回第13話では、
トレドをご一緒に自由に移動しながら
その都度、作品に関連した話をしていく
スタイルをとりました。
![Blog-13-4
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6841](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-4.jpg)
そのような訳で、
お話の切れの良い場所で
休憩時間を2度ご用意しました。
それ以外の小休止は、
どうぞお好きな時にとって下さいね。
![Blog-13-201
女の子 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6868](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-2011.jpg)
前置きがすでに
長くなってしまいました。
では、もう一度場面を広場に戻し...て、
...?
![Blog-13-5
記念写真 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6888](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-5.jpg)
あら?
...やっぱり、貴女ね!
実は、先程からお茶目な少女が
笑いながらついてきます。
まるで彼女が
「ねぇ、ねぇ、そろそろ始めようよ!」と、
私達を誘いに来た感じですよね。
そうですよね♪ では歩き始めましょうか。
題して「旅人のトレド」です。
帽子型のキオスコ
![Blog-13-6
キオスコ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6717](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-6.jpg)
丸屋根に日よけ雨よけがついた
帽子の形がお洒落な「キオスコ」。
古都の広場によく似合いますね。
キオスコと言えば、こんな事を思い出しました。
ご存じかもしれませんが、スペインでは
「雑誌はキオスコ、本は書店で」が基本です。
以前、仕事で東京へ行くスペイン人に
うっかりして「書店で」と言葉を添えず、
専門雑誌を依頼した事がありました。
後で尋ねると、やはり彼女は書店に行く発想がなく、
先に駅のキオスコを何カ所か廻ったとか。
何だか気の毒なことをしてしまいました
お互い「ボタンの掛け違い」には、注意が必要ですね。
![Blog-13-202
ソコドベール広場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5974](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-202.jpg)
ベンチの背もたれに座って
熱心に読んでいるのは、
購入したばかりのガイドブックかもしれません。
![Blog-13-11
親子 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6719](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-11.jpg)
男性が座っているすぐ後ろのベンチです。
ここでは母と子がお喋り。
2人の和やかな雰囲気が、
こちらにも伝わってくるようです。
![Blog-13-32
親子連れ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6706](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-32.jpg)
ところで、石造りのベンチに
気がつかれましたか。
この背もたれの絵タイルには、
トレドに縁のある小説
『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』の
挿絵が描かれています。
![Blog-13-220](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-220.jpg)
ドン・キホーテ(エル・キホーテ)とサンチョ。
乾燥した褐色の大地を進む2人。
そして、
巨人と思い込み風車に突撃する主人公は、
もうお馴染みの人物ですよね。
![Blog-13-182
風車 テンブレーケ (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9810](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-182.jpg)
文豪 セルバンテスの彫像
広場からアーチを潜り階段を降りた場所では、
ドン・キホーテの生みの親である
文豪ミゲル・デ・セルバンテスの像が
迎えてくれました。
ところでこのブロンズ像をご覧になって
どんな印象を持たれましたか。
![Blog-13-8
セルバンテスの彫像 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5977](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-8.jpg)
像を眺めた感想と言えば、まず
『ん...?』と思ってしまいました。
例えば、
首のひだ襟から頭部までの大きさに比べ、
首から下が縦に長く伸びているように
見えませんか。
独特な雰囲気を醸し出していたので、
何故なのか調べてみました。
すると、この疑問に答えてくれたのが、
2005年発行の地元新聞『ABC』でした。
記事では、小説『ドン・キホーテ』の
400周年出版記念行事に関連し、制作者である
彫刻家オスカー・アルバリーニョ氏が
以下のコメントを出していました。
「トレドを考える時、グレコを考えます。
ですから頭部を小さくし、長く伸びるグレコの手法で
一体のセルバンテスを考えたのです。
彫像はグレコへのロマティックな暗示です...」。
![Blog-13-9
土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7137](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-9.jpg)
なるほど作風は、トレドで生涯を終えた
ギリシャ人画家エル・グレコですね。
確かに、上の写真の土産物店前にも
グレコが描いた複製が見られるように、
彼はトレドを象徴する一人と言えます。
![Blog-13-10
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6702](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-10.jpg)
それから作品表現に関して
次のようにも続いて述べていました。
質問「像は、物語の中で同行するサンチョと比べて、
より主人公エル・キホーテ似なのですか?」に対し、
![従者サンチョと少年 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6722](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-25.jpg)
アルバリーニョ氏「むしろドン・キホーテ、セルバンテスと
エル・グレコのミックスです」
![ホテル前に置かれた槍を持つドン・キホーテ像 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6542](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-204.jpg)
セルバンテスは、
小説にも劣らぬ数奇な人生を送り、
また何度も転居を繰り返した人ですから、
彫刻家アルバリーニョ氏は、
他にも存在するセルバンテス像よりも、
「トレドの特色=グレコ」を醸し出すような
試みをしたわけですね。
![Blog-13-185
セルバンテスの彫像 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7123](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-185.jpg)
像が立つ場所は、
ソコドベール広場に通じる
「アルコ・デ・ラ・サングレ門」を降りた場所。
ここは今も昔もトレドの人々や、
旅行者などが頻繁に通る所でもあります。
![Blog-13-12
記念写真 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6839](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-12.jpg)
男性がちょうど立っているのは、その名も
「ミゲル・デ・セルバンテス」通り。
にこやかに笑う女性が
セルバンテスに寄り添って記念撮影。
こんな風にセルバンテス像が地上に置かれ、
人々に愛着をもって触れられたり、
共に写真に収まって欲しいという願いが、
彫刻家にはあったそうです。
思惑通りになって、本当に良かったですね!
![Blog-13-17
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5927](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-17.jpg)
さて、作家セルバンテスと画家グレコ。
スペイン文芸の「黄金の世紀」に相当する
16世紀後半~17世紀初頭に生きた2人に、
ドン・キホーテが加わった像の目線を辿ると、
セルバンテス通りのさらに向こう、
眼下に流れるタホ川に向けられて
いるのでしょうか。
三人のアルト笛
撮影場所にしばらく留まっていますと、
声をかけてくる人や、記念撮影を頼まれたり、
また「小さな出来事」に出会う場合があります。
![Blog-13-13
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5894](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-13.jpg)
これからお話するその小さな出来事とは、
街行く人の流れが不思議と
ふと途絶える時がありますが、
その一瞬をついてシャッター・ボタンを切った時、
一人の少年が発する切ない声が
聞こえて来た事から始まります。
その声の主は、すぐ横手にある楽器店からでした。
『どうしたのかしらね...あの子達』。
![Blog-13-14
兄弟 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6893](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-14.jpg)
先程、兄弟でいそいそと
お店に入っていったものの、
出て来た時にはすでに
2人の雲行きは怪しげ。
新品のアルト笛を手にした兄に、
『僕にもかして!』と訴える弟。
結果はこの通り、弟はしょぼーん。
どうやら楽器店前で待っていたのは、
父親と待ち合わせだったようです。
![Blog-13-205
週末の子供「路地裏の会話」 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 333](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-205.jpg)
でも、3人が例の彫像辺りへ来ると
父親は急に立ち止まって「かしてごらん!」と
上の息子に笛を自分に手渡すよう促します。
最初は父親も息子達の前で
お手本のつもりで始めたのでしょうが、
いかんせん中々吹き終わりません。
![Blog-13-15
縦笛 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6837](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-15.jpg)
今度は上の息子が
『あー、パパ!僕のなのに...』と、
自分より父親に先に吹かれてしまい、
買ってもらった喜びから一転して失望へ。
![Blog-13-206
縦笛 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6838](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-206.jpg)
つまりは、
上の息子は父親に『僕の笛!』、
下の息子は兄に『僕も笛!』
これ以上自分の気持ちを
こらえきれなくなった弟。
対して、互いに少し気まずい雰囲気とは言え、
父親と上の息子は2人して坂を下りていきます。
![Blog-13-16
弟 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6896](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-16.jpg)
彼等の姿もだいぶ小さくなる頃、
『どうしたかな…』と、案じておりますと
やはり親子なのですね...。
下の子の姿はすでにそこにはなく、
後を追いかけて行ったようです。
3人のいなくなった街角を眺め、
こちらもほっとした気分になりました。
商店街を歩く
![Blog-13-18
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5905](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-18.jpg)
どうやらだいぶ彫像付近で
時間を過ごしたようですね。
それでは気分と場所を変えて、
町の中心にある商店街に入りましょうか。
狭い通りに面した2,3階には、
鉄の枠組みにガラスを嵌め込んだ
バルコニーが見受けられます。
![Blog-13-20
窓辺 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7063](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-201.jpg)
もともと腰の位置までのバルコニーを、
鉄枠とガラスを
専門家に取り付けてもらいます。
共同住宅でも、個人の好みが
出るところです。
![Blog-13-19
大聖堂 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6010](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-19.jpg)
正面奥に、荘厳なる
カテドラルの尖塔が見えてきました。
少し曲がりくねった「石畳の道」は、
古都らしく風情があります。
歩く人は一瞬見上げて、
「わぁ...」と、驚きの声が上がります。
それでは、
お店を何軒か見てみましょうか。
街のショウウィンドゥ
旅先の商店街を歩く楽しみは、
どんな商品があるのかや、
「店構え」もありますね。
こちらは照明器具店、”Alvarez”(アルバレス)さんのお店。
つい立ち止まってしまうのは、
どこか懐かしさが感じられる
店構えだからでしょうか。
![Blog-13-21
照明器具店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6019](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-21.jpg)
看板の文字は、
蔦が絡まる様な動的リズムに、
幾何学的模様のシャッターとの組み合わせ。
さらに時の流れが加わって、
お店の風格が出ていますね。
![Blog-13-23
親子三代 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6705](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-23.jpg)
そして...。
観光地らしくインテリア・雑貨に
土産物を扱ったお店。
ちょうど外へ出て来た女性は
少女のお母さん。親子3代で
お散歩を兼ねたお買い物の様子。
![Blog-13-223
通り トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6861](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-223.jpg)
夫婦共働きが多いスペインでは、
朝夕の学校の送り迎えや、
週末のちょっとした買い物の間、
時間に余裕のある祖母・祖父が
良く孫の面倒を見る姿を見かけました。
![Blog-13-24
アンティークと玩具店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5992](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-24.jpg)
大人の女性や少女にも
一緒に覗いて楽しめる
ショウウィンドゥ。
それと...。少女のお目当ては、
間違いなくお人形さんでしょうね。
![Blog-13-129
通り トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6912](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-129.jpg)
カテドラル方面へ、
商店街の奥へと進んで行きましょう。
おや、
BARの前で追い越していく2人がいます。
![Blog-13-188
カップル トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6778](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-188.jpg)
化粧品店前で香水を眺めるカップル。
![Blog-13-28
ショーウインドウ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6996](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-28.jpg)
商店街には、
外壁のスペースを上手に利用した
小さなサイズのショウウィンドゥがありました。
![Blog-13-26
ショーウインドウ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6998](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-26.jpg)
こちらもです。
ぬいぐるみと小さな紙袋の組み合わせ。
![Blog-13-27
ショーウインドウ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6987](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-27.jpg)
トレドの工芸品、刃物を飾る土産店。
![Blog-13-90
帽子店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5982](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-901.jpg)
マフラーや帽子の並んだ、
こんな20世紀の懐かさが溢れる
ショウウィンドウを見つけました。
多分、お店に入ってみますと、
店内は高い天井、それに薄暗い照明。
木製の時代がかったカウンターがあって、
勧め上手な女性店主が迎えてくれるはずです。
![Blog-13-104
ユニフォーム店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6698](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-104.jpg)
こちらはユニフォームのセット。
花柄のリバティ・プリントに
襟や袖口は、清潔感溢れる
帽子の色に合わせて白に。
笑顔の爽やかな
スペイン人女性にとても似合うでしょうね。
「では、どんなお店のユニフォームなの?」と、
聞かれそうです。
![Blog-13-92
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7010](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-92.jpg)
そうですね。
例えば、パンやケーキを製造・販売する
ベーカリーでよく見かけます。ここでちょうど
ベーカリーの話題がでましたので、
トレドの伝統的なお菓子をご紹介致します。
“Mazapán” 「マサパン」(前列中央と左側)です。
アーモンド・プードルにお砂糖や卵白が入った
クリスマスの甘いお菓子として知られています。
このお菓子の起源は13世紀初頭、
「イスラーム教徒によってトレドが包囲された際、
人々は餓えに苦しみましたが、
サン・クレメンテ修道院の尼僧が、食料倉庫にあった
アーモンドと砂糖で作った...」という伝説があります。
マサパンの甘い味とは裏腹に、伝説では
生きるか死ぬかの瀬戸際で生まれたお菓子だったとは...。
刺繍のお店のショウウィンドウから
美しい刺繍のお店を見つけました。
さて...。
お店のミシンには縫いかけの布地。
時間を遡ってみると、
ミシンを踏む人の手を止めたのは、
小さな訪問者かも知れませんね。
今は、「母と娘の小さな物語」が展開中ですね。
![刺繍を扱ったお店にいる母と娘 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6860](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-22.jpg)
スペイン刺繍は地方色や刺し方が豊富で、
中でも16世紀以降、より力を入れてきた
「トレド県の刺繍」は特に有名です。
![トレド県ラガルテーラ村の刺繍(紙ナプキン入れ・刺繍部分) 10181](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-207.jpg)
トレドの刺繍は
ステッチや様式が特徴的で、
布地の縦糸や横糸を抜いて空間を作り、
刺繍をする「ドロンワーク」又は、
ヨーロッパ各地で見られる
「ハーダンガー」の技法が見られます。
![ドイツや北欧のハーダンガー刺繍 10185](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-208.jpg)
刺繍やボビンレースなど装飾された手作り品は、
手間暇かかるので、それは「贅沢品」なのです。
ですから各家庭では大事に保管されていて、
家族が集まる特別のお食事の際に登場します。
![Blog-13-209
レース 10179](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-209.jpg)
商店街から路地へ
![Blog-13-148
散歩 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6812](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-148.jpg)
商店街を行く人の数が増えてきました。
ところで
日本でも、スペインでも街を歩いていますと、
どういう訳か犬に好かれて「ねぇ、遊ぼうよ!」と、
寄ってきてしまいます。
いつも飼い主の方が、予期せぬ事態にあわてて
「すみませ~ん♪」
別に犬に何もサインは送っていないのですが、
何故でしょうね。
![Blog-13-107
大聖堂 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6730](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-107.jpg)
トレドの商店街の雰囲気は、
何となく掴めましたか。
それでは
一旦ここでお別れして、
路地に入って見ましょうか。
狭い路地裏での1枚
だいぶ前になりますが、
ある国際アワードに
「少子化時代の子供達」という題で
組写真を出品した事があります。
![Blog-13-214
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7085](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-214.jpg)
後ほどご覧頂きますが、
その中の1枚をここで撮影をしています。
![Blog-13-210
男の子 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6770](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-210.jpg)
休息のためテーブルで一息つくと、
間もなく背後から少年の声が
明るくすり抜けて行きました。
![Blog-13-211
おじさん、妹と トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6769](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-211.jpg)
彼はここで小さな妹と遊び始めると、
顔なじみの近所のおじさんが、
少年を見つけ噛んで含めるように
話し始めたのでした。
![Blog-13-212
おじさんと兄妹 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6768](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-212.jpg)
おじさんのお話を聞きながら、
相づちを打つ少年の様子は
本当に「天真爛漫」そのもの...。
![Blog-13-215
男の子 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6775](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-215.jpg)
何よりも、熱心に手振りを添えて話す大人、
そして耳を傾ける子供の態度を
久しぶりに見た気がしました。
![Blog-13-213
週末の子供 「路地裏の会話」 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 326](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-213.jpg)
上の写真が組写真の1枚です。
ところで、
帰国前にここを通りましたら
お店は別の経営者に代わったのか、
目の前のテーブルや黒板、
アイスクリームのポスターもなくなり
時の移ろいを感じたものです。
姉妹が遊ぶ広場から
さて、
最初の休憩前の締めくくりは、
組写真の中からもう1枚と、
広場の様子をご覧下さいね。
![Blog-13-34
週末の子供 「路地裏の会話」 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 327](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-34.jpg)
子供は自分の食事が済んだら、
大人達の難しい会話を聞くよりも
お遊びをする方が楽しいのは当然です。
早速姉妹の見つけた話し相手は、
若いウェイターのお兄さん。
彼は、何枚ものお皿を腕に載せ、
猫の手も借りたいぐらい忙しい...。
でも2人の前を通る度に
楽しそうに相手をしていました。
![Blog-13-189
出会い トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6790](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-189.jpg)
スペイン人は
美男美女が多いと定評がありますが、
実際の所、男女共に好まれるタイプとなると
「好感が持てる人=性格美人」の方が
むしろ人気があります。
小さな姉妹のように、
幼い時から比較的物怖じせずに
明るく、誰とでも触れ合える事も
その要素の1つであり、ラテン系の
スペイン人ならでは...かもしれませんね。
![Blog-13-51
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5906](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-51.jpg)
昼下がりの広場では、まだまだ楽しい会話が
聞こえて来そうですよ...。
休憩場所「花のテラス」へようこそ
さて、
第一部が終了致しました。
ご覧頂きましてありがとうございました。
このまま続けてご覧になる方、
この先のお話を時間を置いて
改めてご覧になる方、
両方いらっしゃるかと思いますが、
ここで一旦「休憩時間」のご案内を
させて頂きます。
![Blog-13-196
さくら (東京) 8850](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-196.jpg)
こちら「花のテラス」で、
気分転換をなさって下さいね。
最初にお知らせしたように
この後もボリュームがありますので、
テラスは後ほど、もう一度設けてあります。
![Blog-13-195
ジャーマン・アイリス 5789](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-195.jpg)
尚、恐れ入りますがいつものように
「休憩時間」の長さに関しましては、
ご自分で設定して頂きますよう
お願い致します♪
*** *** *** *** *** *** ***
これよりお話を再開致します。
またどうぞごゆっくりお楽しみ下さいね。
網目状の街 トレド
トレドの地図を見てみると、
マスクメロンの外皮のように
網目状の道が不規則に広がっています。
![Blog-13-36
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9264](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-36.jpg)
ご覧のように町のちょうど中心部、
丘の高い場所には
カテドラル(大聖堂)やその尖塔、それから
丸屋根の寺院が集中しています。
![Blog-13-37
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5942](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-37.jpg)
坂道の多い旧市街は、歩くのも大変。
それでも一息ついた小さな路地から、
絵はがき風に切り取られた
「中世の風景」が急に目の前に現れると、
一気に疲れも忘れ
その景色に引き込まれてしまいます。
歩いていて路地からひょいと顔を出す
アルカサール(王宮)や、寺院の眺めも、
古都トレドの魅力の1つです。
![Blog-13-38
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5926](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-38.jpg)
例えばこんな場所からです。
ここは、町の東に建つアルカサールから
ほど遠くない小さな広場。
ホテルの看板越しに見えたのは、
中心部に建つ寺院の1つ、
「サン・イルデフォンソ教会」。
看板の後ろ、対になった塔や
丸い黒屋根をご覧になれますか。
あれは、スペインでも重要な
イエズス会教会の1つです。
それでは、もう少し近くに寄ってみましょうか。
サン・イルデフォンソ教会
![Blog-13-39
ファザード トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5963](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-39.jpg)
ご覧になっている
サン・イルデフォンソ教会は、
立派なファサード(正面)ですね。
建立には16世紀後半から18世紀まで
およそ150年費やしています。
この教会名になっている
サン・イルデフォンソとは、
7世紀後半のトレドの大司教の名で、
またこの町の守護聖人でもあります。
![Blog-13-40
教会のファザード トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6024](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-40.jpg)
また
ファサードですが、装飾に凝っており、
典型的なバロック様式のイエズス会教会で、
特徴的な大きな窓、
柱頭に装飾のある石柱、聖人達や
背後のニッチ(窪み)が配置されています。
カテドラル付近を歩く
次にご案内するのはトレドのシンボルの1つ、
カテドラルの尖塔ですが、
先に市街の路地から眺めて見ませんか。
![Blog-13-96
大聖堂 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5984](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-96.jpg)
この一際高く聳える風景を眺めると、
260年以上建設に費やしたカテドラルが
15世紀末に完成した際、町にすでに存在していた
イスラームのモスクや、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)など
町のその他の寺院を凌駕し、その姿に
いかに人々が驚嘆したか想像できますね。
![Blog-13-193
観光トレイン トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6543](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-193.jpg)
そしてこちらは、
ソコドベール広場から発車した
観光用の汽車型乗り物「ソコトレン」。
町やタホ川の向こうを一巡りして、
最後の見所「カテドラル」の塀に沿って
入って来ました。
路上をソコトレンが走ると、
通りの土産店を覗いていた観光客も
「おっ、何だ?!」と振り向くやいなや、
観光用の車と認めた途端、
相好を崩して乗客に手を振るなど、
急に周囲が和やかな雰囲気に変わります。
![Blog-13-194
観光トレイン トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6544](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-194.jpg)
このような乗り物は、
訪れた町で時間があれば
乗車すると楽しいですね。
地元のお勧めルートで見所も余すことなく、
何よりも効率的に「土地勘」を得るには
意外と良い方法なのです。
ちょうど目の前を通っていくソコトレン。
運転手さんは慣れたもので
狭い石畳を上手く通り抜けて行きます。
そして楽しげな乗客を見送り、
道の角を曲がりますと...。
![Blog-13-49
アパート トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7054](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-49.jpg)
見えて来ましたね、カテドラル。
目の前の通りがちょうど正面にあたります。
![Blog-13-42
カテドラル(大聖堂) トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6710](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-42.jpg)
ところでトレドでは、
とても有名なお祭りが催されるのを
ご存じでしょうか。
毎年5月から6月に行われる
「コルプス・クリスティ」(キリストの聖体祭)です。
この聖体祭りでは、上の写真の様にミサの後、
行進する順路の上に日よけが掛けられ、
また街は美しい花や織物で飾られます。
重要なお祭りですので、
スペインのテレビでも毎年その様子を
中継していた記憶があります。
門の名前あれこれ
カテドラルには西側に位置する
立派な正面の門があります。
でも北側の小さな通りの奥にも
古い門がありますので、
そちらを廻ってみませんか。
この門をご案内したかったのは、
幾つもの名前がつけられているからですが、
最初にどの名前からご紹介したらよいのか
実は迷ってしまいました。
![Blog-13-41
針一本の時計 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6985](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-41.jpg)
まずは「時計の門」からです。
この時計は、およそ200年ほど
前に設置されたものですが、
文字盤に目を凝らして見ますと、
実は針は1本だけ。
世界的にも数少ない1つなのだとか。
2番目の名は、
昔、”Feria” (お祭り) の際に、行列が
ここから出発した事から「お祭りの門」。
まだまだあります。
実は門の前の通り名から、
“Chapinería” 「チャピネリアの門」。
「チャピネリア」とは
“Chapín” 「チャピン」と呼ばれる靴を
製造販売するお店のことなのです。
![Blog-13-48
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6737](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-48.jpg)
このチャピン、かわいい名だと思っていましたら、
16世紀に流行した女性靴でした。
この奥の坂道には製造販売店が
並んでいたのですね。
ところでその靴の形、気になりませんか。
そうですね。ご説明すると、
上げ底部分がコルクで、
その上にサンダルが載った形をしています。
「西洋ぽっくり」の表現で良いのかしら...。
当時の女性はこの靴で背を高く見せたり、また
歩く際の「泥はねや汚れ」対策に履いたようです。
さて、幾つもの名がつけられた北側の門。
現在でもトレドの人々からそれぞれ
愛着を持って呼ばれている事でしょう。
サント・トメ教会
「寺院の最後は、
サント・トメ教会をご紹介...」と、
言いかけて先にBARの前の
赤いお人形に目がいってしまいました。
少しお話が脱線しますが、
スペイン・ビールのお話を少しだけ...。
この人形は、
ビール・メーカー”Cruzcampo”
「クルスカンポ」のマスコット
“Gambrinus”(ガンブリヌス)。
ヨーロッパでは伝説的英雄で、
ビールの肖像として使われます。
![Blog-13-45
ビールメーカの人形 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7116](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-45.jpg)
このビール・メーカーはもともと
南部アンダルシア地方にあって、
セビージャ(セビリア)の町辺りでは、
「ビールと言えば、クルスカンポ」と、
BARの看板にはクルスカンポの文字や、
人形の絵が目に入り、旅情を感じたものです。
しかしこのクルスカンポも、
その後´90年代にはギネス、
2000年にはハイネッケンの傘下となり、
スペインのビール市場も様変わりし、
現在に至っています。
さてお味の方はと申しますと、暑い地方には似合う、
喉越しが爽やかなビールです。
![Blog-13-50
ビールの看板 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7151](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-50.jpg)
調子に乗って、
もう1つのビールをご紹介しますね。
トレドのBARには、マドリードのビール
“Mahou” 「マオウ」を扱う看板も掛かっています。
クルスカンポと比べて
香りも味もしっかりしている
「マドリードっ子の愛するビール」と言えます。
以上、2つのスペインでの
代表的ビールを挙げましたが、
嗜好品ですから味に好みはあるものの、
その土地の気候や、お料理に合った伝統的な味は、
残していって欲しいですよね。
![Blog-13-47
サント・トメ教会 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6699](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-47.jpg)
すっかりBARの前で立ち話をしてしまいました。
上の写真の中で、サント・トメ教会が何処にあるか、
もう見当がつきますよね。
そうです、道の左手奥に見える高い塔です。
装飾的なイスラームの芸術と、キリスト教建築が融合した
「ムデハル様式」のトレドらしい建造物の1つです。
この教会は独特な建築様式の他、
画家エル・グレコによる世界的な名画
『オルガス伯の埋葬』を所蔵しており、
世界的に有名な教会でもあります。
さてここから先のお話ですが、
この絵画について
ご存じの方も多いでしょうから、
その解説は割愛させて頂いて、
オルガス伯に関連するお話を
進める事に致しました。
![Blog-13-46
サント・トメ教会 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7147](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-46.jpg)
この絵画の題名になった
オルガス伯(爵位の授与は16世紀になってから)とは、
ドン・ゴンサロ・ルイス・デ・トレドのことで、
“Orgaz” 「オルガスの町」の4代目領主でした。
この4代目領主が亡くなられたのは、
エル・グレコが絵画を制作した
1580年代後半よりもずっと以前、
それよりも250年以上も前の
1323年(一説には1312年)だったのです。
彼の人物像については、
13世紀後半、
カスティージャ王の宮廷に於ける
大きな国家行事の公証人や、
またトレドの代官を務める傍ら、
![Blog-13-163
土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7021](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-163.jpg)
老朽化したこの教区教会の
再建費用の拠出、
教会や修道院の創設をするなど
宗教心と政治的大志が結びついた
「中世の騎士」として生きた人でした。
慈善家として知られている
彼の遺言書の中には、
領主であったオルガスの町から毎年、
この教会の祭事を祝う為に
ワインや薪、家畜や貨幣などを、
聖職者や貧しき人々へ寄付をする指示が残され、
彼の死後250年もの間ずっと
続けられたと伝えられています...。
オルガスの町
では、領主であったオルガスの町が
どんな町なのか、古都を抜け出して
お散歩に出かけてみませんか。
オルガスは、
トレドから南へ30㎞程離れています。
まずは周辺の景色をご覧下さい。
![Blog-13-230
沃野と雲 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9769](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-230.jpg)
辺りには牧草地や畑が広がり、
初夏であれば
美しい緑の風景が見られます。
東西には「トレド山地」があって、
町はちょうど麓の辺りに位置しています。
下の写真では、V字状の道の奥に
収まっているのがオルガスの町です。
町の主な建物には、お城や闘牛場、
中心にはスペイン・バロック様式の教会、
礼拝堂や18世紀の小さな病院があります。
かつてイスラーム教徒が統治していた
アル・アンダルースの領域であった頃、
周囲には城壁が巡らされていましたが、
現在では2つの門だけがその名残を
とどめているのみです。
![Blog-13-55
オルガス村 (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9764](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-55.jpg)
またこの町は、
「オルガス伯」縁の地の他に、
歴史映画で有名なある人物に
関係する町としても知られています。
誰かと申しますと...。
「´60年代の歴史映画」、「スペインの英雄」、
「中世」と言えば、映画好きな方なら
“El Cid”「エル・シド」と、来ますよね。
確か映画でのキャストは、
ソフィア・ローレンが、妻のドーニャ・ヒメーナ役を、
チャールトン・ヘストンが、エル・シド役を演じていましたね。
![Blog-13-54
オルガス村 (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9771](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-54.jpg)
では、このお二人と町の関係とは、
町の歴史に関する「稀覯書」(きこうしょ)等によると、
ドーニャ・ヒメーナはこの町で誕生し、
またエル・シドは、アルフォンソ6世によって
1085年にトレドを奪還後、オルガス最初の城塞主として
称号を授与されたと伝えられています。
お話している間に町に近づき、
ようやく入り口にある門の前に到着致しました。
アーチ越しに見える教会の周囲には、
ラ・マンチャ地方の典型的な家並み
「2階建て、漆喰壁、鉄格子付きのバルコニーや窓」
が続きます。
一見通りからは、シンプルで質素に見える外観ですが、
内側には、トレド風の柱で支えられた
回廊付きパティオ(中庭)が備わっています。
![Blog-13-56
アルコ・デ・ベレン オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9796](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-56.jpg)
また、奥に見える教会は、17,8世紀の
スペインの装飾的な「チュリゲラ様式」を創出した
建築家・祭壇彫刻家の1人、
アルベルト・デ・チュリゲラの設計です。
マドリード生まれの彼が、スペイン最古の大学都市
「サラマンカ」のマジョール広場などを手がけた後、
この町に落ち着きますが、完成を見届けずに
この地で生涯を終えています。
この教会近くに佇んでおりますと、
建設の為に見知らぬ地に長期間逗留し、
また次の地へ赴くという当時の建築家の
人生を垣間見た思いでした。
![Blog-13-197
オルガス村 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7029](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-197.jpg)
さて...。
チュリゲラ氏によるこの教会を撮影しようと、
町の目抜き通りに立ちました。
『数百年間、家並みも教会もほぼ変化する事のない佇まい...』と、
真摯にカメラを構えファインダーを覗くのですが
どうも今一つ「ぴたっ」と景色が収まりません。
『どうしてかしらね。うーん...』と、首を傾げます。
その原因を考えている間、納得いかない私の姿を
目撃していた人がいたのです。近所のおじさんです。
先程から家から出たり入ったりしていましたが、
意を決してこちらへ近づいて来たのでした。
町のおじさん 「やぁ!何撮っているの?」
私はその質問に直接答えずに、
私 「こんにちはー♪ 今、迷っていると・こ・ろなんですよ。
教会に垂直を合わせると、道路が斜めになる。
で、逆に道路に合わせると今度は教会がねぇ...」
町のおじさん 「あはは...。じゃぁ、君が斜めになってみれば?」
...ですって!可笑しいですね。
これは一本取られてしまいました。
ユーモアたっぷりのこのおじさんは、教会方向へ
明るく一瞬手をさっと挙げ、歩き去っていきました。
どうやら町の人は温かく迎えてくれたようです。
ところで上の写真、
「オルガス版ピサの斜塔」には、なっていませんよね。
![Blog-13-57
オルガスの畑 (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9743](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-57.jpg)
今度は町や周辺を一望できる
峠にやって来ました。
あらら、だいぶ町が遠くなってしまいましたね。
とは言え、
「トレドはどの辺り?」と、どうぞ探さないで下さいね。
残念ながら、
左奥の山並みを超えた更に向こうですので
ここからは眺めることが出来ないのです。
![Blog-13-200
コンスエグラ村の眺望 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9788](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-200.jpg)
次に、今立っている場所を振り返って
峠の反対側を眺めてみましょう。
すると向かって左手、南東へ25㎞先の丘の中央には
褐色の古城とその両脇に
点々と白い風車が数基並んでいますね。
実は、現在あの丘の向こう側には
スペインの首都マドリードから
南部地方へ延びるアンダルシア街道、
(又は高速道路「A-4号線」)が左右に走っています。
マドリード~アンダルシアを車やバスで
旅行の際は、必ず利用する道です。
ところが昔、南部へ旅するには、
現在の高速道路よりも西よりのルート、
つまり古都トレドからこのオルガスを
通っていた時代が何世紀も続きました。
古くは中世のイスラームの遠征軍が
戦いの為に南部から、
またキリスト教徒の騎士団がその逆に...
と言う風にです。
![Blog-13-162
風車のある峠 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6223](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-162.jpg)
その後16,7世紀に生きた
作家セルバンテスの人生に於いて、
スペイン南部や中央部都市へと
何度も転居していることから、
この風景を眺めながら馬、又は馬車、
時には下馬して旅を続けたのではないでしょうか。
南部都市セビージャまでトレドから450㎞。
道中何も起こらなければの話ですが、10日の行程です。
上のような人里を離れ、悪路で人気のない場所を歩くのは
さぞ大変な旅だったに違いありません...。
![Blog-13-58
風車 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9746](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-58.jpg)
4月から5月。
風車の建つこの峠からの景色は、
大地が一面二色の世界となります。
葡萄の苗木が植えられた赤い大地では
居とまなくトラクターが往復し、
![Blog-13-60
麦畑とオリーブ畑 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9778](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-601.jpg)
また勢いのある雲の群れが
大地に強い陰影を作り上げ、
![Blog-13-161
畑 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9843](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-161.jpg)
時折吹く風は、麦の穂を揺れ動かし、
麦畑を青いさざ波に変えていきます。
![Blog-13-217
麦畑 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 10009](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-217.jpg)
ところで...。
一昨年に日本へ帰国後、
お店で何のきなしに手に取った
オリーブ油のボトルを見ておりましたら、
![Blog-13-61
オリーブオイルのラベル 9733](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-611.jpg)
産地がオルガスのちょうど隣の町である事に気づき、
懐かしさで胸が一杯になりました。
峠の風車や、
そこから眺めた隣町のオリーブ畑、
町外れの岩山に建つ小さな礼拝堂の景色が、
このラベルの上で広がっていくようでした。
![Blog-13-160
庵とオリーブ畑 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9852](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-160.jpg)
スペインのオリーブ油は、
アンダルシア地方のハエン県産が
定評がありますが、このラ・マンチャ地方
トレド県産もとても好きなオイルの1つです。
またこのお話を書いている最中に、
伝統的保存食「チーズのオリーブ油漬け」が
ぱっと頭に浮かびましたのでご紹介します。
![Blog-13-60
オリーブ畑 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9783](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-60.jpg)
このレシピは、スペインでは
「頂き物や購入したチーズが重なって!」と言う時、
ラ・マンチャ地方の羊のチーズ
“Queso Manchego” 「ケソ・マンチェーゴ」で作ります。
![トレド県のチーズ販売店。その他、油漬けのチーズやワイン、生ハムも販売。 10195](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-225.jpg)
作り方は、
半熟成したチーズ外側の堅い部分を取り去り、
やや大きめのサイコロ型に切ります。
ジャムなどのガラスの広口瓶に入れ、
オリーブ油を口まで注ぐだけ。お好みで
漬ける際に香り付けに、
生の枝付きローズマリーを入れても...。
![Blog-13-159
オリーブ畑 オルガス (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9858](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-159.jpg)
分量は、チーズ100gに対して油は100ccの割合。
冷暗所や冷蔵庫に入れて保存し、
2ヶ月過ぎた頃から召し上がることが出来ます。
オリーブ油のしっとり感と香りが、
チーズと相まって、また違った雰囲気が楽しめます。
コツは共に、上等なチーズとオリーブ油を使用することです。
![Blog-13-65
オリーブ畑 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 9748](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-65.jpg)
でも考えてみますと日本では、
中々輸入物のチーズやオリーブ油で
大量に漬け込む勇気は、
やっぱり出来ませんよね...。
![Blog-13-226
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 10194](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-226.jpg)
では、
オルガスのお話はこの辺で
トレドへ戻ることに致しましょう。
休憩場所は「花のテラス」で
第二部が終了致しました。
ご覧頂きましてありがとうございました。
ここで再び「休憩時間」の
ご案内をさせて頂きます。
![Blog-13-190
こぶし (東京) 8979](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-190.jpg)
古都トレドを少し離れて、
郊外の町オルガスや峠での
気分転換は出来ましたでしょうか。
![Blog-13-192
つつじ (東京) 9152](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-192.jpg)
この後は街で働く人々や、旅人の姿、
ちょっと気になる街角の風景や
トレドの工芸品について
お話していく予定です。
*** *** *** *** *** *** ***
トレドに戻って
再びトレドの古都らしい街並みから
ご覧下さいね。
![Blog-13-71
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6677](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-71.jpg)
そして下の写真は、
小道から眺めたアルカサール(王宮)の塔です。
広場や路地から
たまに顔を出す町の風景は、すでにお馴染み...。
「トレド名物」と言っても、過言ではありませんね。
![Blog-13-66
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5922](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-66.jpg)
「左右には段差のついた軒下。
その僅かな空間を縫うように、
空に向かい尖塔が聳えている」。
こんな眺めも一瞬、
ここを見上げて歩いた人への
ちょっとした古都からの贈・り・物です。
![Blog-13-72
アパート トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7088](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-72.jpg)
さて、トレドの街並みに
再び慣れて頂いたところで、
ここからは第一部と同様、
街で出会った人々の姿や風景を
様々な視点でお楽しみ下さい。
まずは、
小さな姉妹とBARの青年がいた広場からです。
![Blog-13-73
配達 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5979](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-73.jpg)
ボンベを配達する男性。
ブタン・ガスを運ぶ際は、
カートで運ぶだけでなく、
片方の肩の上にひょいと1つ載せ、
もう1つは反対側の手で運ぶ
強者も良く見かけます。
![Blog-13-74
工事現場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6009](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-74.jpg)
廃材用バケツの中で、
真剣な眼差しで作業をする男性。
広場は、
BAR& レストランのテラスや
土産店などが建ち並んでおり、
日中は人通りが多い場所です。
![Blog-13-69
修理中のアパート トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6703](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-69.jpg)
見回しましたら、一角にある建物が
ネットに覆われて修繕中でした。
![Blog-13-67
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5986](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-67.jpg)
ところで、
トレドは旧市街全体がユネスコの
「世界遺産」に登録されています。
![Blog-13-68
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5989](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-68.jpg)
古い都を歩いて、
あちこちで建物の修復工事が
行われているのを見かけます。
![Blog-13-123
リフォーム中のアパート トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7145](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-123.jpg)
例えばこちらの家は、只今改装中。
3階のバルコニーから見る景色は、
どんなでしょうね。
![Blog-13-98
リフォームの終わったアパート トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5998](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-98.jpg)
一方、こちらは袋小路にある伝統的な家。
数年前に修繕工事が終わった感じを受けました。
漆喰壁。バルコニー。鉄格子...。
何処かで出た言葉と思いましたら、
オルガスの町の様子と同じ。
![Blog-13-146
扉の蝶番 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6977](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-146.jpg)
他にも、
両脇の装飾された古い石柱に合わせて、
扉を造った例です。
アレンジ方法にもパターンが
幾つかあるのでしょうけれど、
通行人が見ても楽しい風景でした。
![Blog-13-147
扉 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6978](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-147.jpg)
アーチがそのまま保存された玄関。
こちらは扉の四隅には模様入り。
旅の「奥行きが広がる」楽しみ方
それから、
時代がかったこんなお店も見つけました。
でも、昼休み時間のせいかは不明ですが、
ひっそりとしていて、扉が閉まっておりました。
ベージュ色に上塗りされた外壁に、
1930年代を彷彿させる
古い電話用ケーブルに数個の碍子...。
もう一度、見上げてゆっくりと眺めてみます。
![Blog-13-77
古い建物 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6952](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-77.jpg)
残念なことに街中では、
時代と共に忘れ去られる古い建物の前を
気も付かず、通り過ぎてしまいがち。
けれども、このお店の看板のように
もう一歩踏み込んで興味を持つと、
「旅人のトレド」も、ぐんと奥行きも広がり
印象が変わってきます。では手始めに、
看板の文字を読んでみましょうか。
ええと...。
「ワインとビール 革袋職人の支店 」と、
書かれていますよ。どんな革袋かご存じでしょうか。
![Blog-13-218
箱入りワインのパッケージ](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-218.jpg)
ちょうど手元に
ワインの紙箱の挿絵がありますので
ご覧下さい。これが”Bota”(ボタ)、
又は”Pellejo”(ペジェホ)で、
ワインや油などを入れる革袋です。
一般的に素材は山羊を使用し、大きさも
山羊の首から下を縫い合わせ、
防水加工した大容量のものや
上の絵のような携帯用サイズがあります。
ですから、
この古い看板のお店は、
皮をなめし、袋に仕立て、
販売するお店なのですね。
![Blog-13-219
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6013](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-219.jpg)
携帯用のボタはお祭りの際、
家族や友人達が
革袋の口元から離して互いに回して
呑む姿が見られます。
![Blog-13-222
牧羊移動祭にて (マドリード) 10188](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-222.jpg)
実際お祭りの取材現場で、
ボタに入った赤ワインを
何度かスペイン人から、「振る舞い酒」の如く
勧められ困ったことがありました。
口元から10~30㎝も離して呑む芸当に、
「こればっかりは勘弁!」と言うと、大抵
周囲の人達に大笑いされてしまいます。
![Blog-13-221
牧羊移動祭にて (マドリード) 10189](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-221.jpg)
今度は革袋のワインに関連して、
美味しそうな食材が並ぶ
レストランのショウウィンドゥを眺めながら、
この地方の郷土料理のメニューに良く載る
“Migas Manchega”
「ラ・マンチャ風ミガス」についての
説明を聞いて下さいね。
![Blog-13-81
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7009](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-81.jpg)
ミガスとは、
堅くなったパンの再利用した料理です。
細かくした後塩水で戻し、
それにガーリック、チョリソ(腸詰め)、
バラ肉、ピーマン類を、オリーブ油でフライにした、
それはとても腹持ちの良い料理です。
さて革袋入りワインと、ミガスの説明が済んだ所で、
今度は農家の人から直接聞いたお話を始めますね。
夏も冬も、共に厳しい気候で知られる
ラ・マンチャ地方は、
特に冬の時期は凍てつく寒さになります。
![Blog-13-199
明け方のトラクタ トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 10095](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-199.jpg)
暗い中から畑へ出て、
日の出の時刻になるとようやく朝食。
過酷な環境下で寒さに打ち勝つ為には
畑で食べるのは朝からミガス、そして
飲み物は革袋入りのワインだったそうです。
そして現在のラ・マンチャ。
ある冬の午前6時前に車を走らせると、
ライトの光りが目に入って来たのです。
それは、まだ夜の暗さが残る空の下、
畑で稼働するトラクターのライトでした。
外気温を見ると氷点下6度、農家の人のお話が
思い起こされた一瞬でした。
街の一枚の古看板...。
そこから広がったお話によって、
「旅人のトレド」は、
更に印象が深くなったでしょうか。
日常のお買い物
さて、次に行きましょう。
ソコドベール広場は言わば
旧市街の玄関口のような場所。
そしてこのマジョール広場は、
カテドラル(大聖堂)のすぐ隣にあり、
奥に見える市場や、その周辺の通りからは
庶民的な香りが漂ってきます。
![Blog-13-86
劇場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6782](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-86.jpg)
“Teatro” 「劇場」前に座って
談笑するトレドの青年達。
![Blog-13-83
商店街通り トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6016](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-83.jpg)
午前中の爽やかな光が差し込むのは、
市場へと通じる通り。
市場はちょうど突き当たりです。
おや、左側の魚屋さんのご主人、
お店の外に出て来ましたね。
昼食がメインですから、
買い出しは午前中が賑わいますが、
ちょうど一息ついたところなのでしょう。
![Blog-13-93
男の子 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6848](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-93.jpg)
通りの反対側、手芸品店へ入る母と子。
開けたドアからは、お店の人の声と共に、
2人の歩く靴音が聞こえてきませんか。
![Blog-13-94
商店街通り トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7127](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-94.jpg)
こちらのお店は「漬け物屋さん」。
店頭で働く青年の足下には、おねだりする猫。
ピックルスなどを扱うお店は、
漬け込む香辛料の香りと相まって
独特の香りがします。
![Blog-13-224
オリーブのみの漬け物を売る店 (カスティージャ・イ・レオン地方 アビラ) 10190](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-224.jpg)
種付きの黒いオリーブの実、
緑、紫色、種を抜いた中にアンチョビや
赤ピーマンが入るなど様々。
![Blog-13-115
商店街通り トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7128](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-115.jpg)
市場までの細長い通りには、べーカリー、靴店、
インテリア&雑貨、衣料品、宝石店...が建ち並び、
一通り何でも購入する事が出来ます。
![Blog-13-141
掲示板を見る人達 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6020](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-141.jpg)
市場前の掲示板を眺める人々。
![Blog-13-155
掲示板 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6918](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-155.jpg)
日本でしたら町会の掲示板に相当し、
中には訃報も。
![Blog-13-154
立ち話 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6917](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-154.jpg)
階段前の2人。
婦人達はひとしきりお互いの近況報告でしょうか。
![Blog-13-231
スーパーのカート トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 10255](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-231.jpg)
入り口に置かれた
ロッカーとショッピング・カート。
![Blog-13-136
市場の親方 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6919](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-136.jpg)
市場のお店の経営者達。
![Blog-13-232
市場 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 10256](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-232.jpg)
市場では、
陳列された色鮮やかな旬の物を
見るのは楽しいものです。
でも、お買い物をする場合は、
特に午前中はお客が集中するので、
「比較的余裕のある時」に限ります。
売る側も買う側もマイ・ペースですし、
また「少量を多種類買っていく人」も多いので、
辛抱強く順番を待たなくてはなりません。でも、
「お互い様」が暗黙の了解となっています。
特に下ろす、さばく作業のある肉、魚屋さんは、
上手にお店を廻らないと、半日があっという間に
終わってしまいますけれどね。
町の南東側 タホ川を望む地区
市場周辺を見学をした後は、
町の南東側に位置するタホ川を望む
展望台がある地区へ行ってみませんか。
![Blog-13-157
土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6891](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-157.jpg)
旧ユダヤ人街であるこの辺りは、
エル・グレコ美術館があるせいか、
土産店のある細い道には、
時折土産物に目をやりながら
賑やかに会話をする声が響きます。
![Blog-13-158
水道工事 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6694](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-158.jpg)
この通りではちょうど新しく水道管を埋設し、
敷石を元に戻す作業をしていました。
働く姿と一緒に背後の石造りの家にも
目がいきました。
昔はどんな人達がこの家に住んでいたのでしょうか。
タホ川を眺める
長い街歩きとなってしまいました。
だいぶお疲れになった事でしょうね。
![Blog-13-101
展望台 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6548](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-101.jpg)
でも、やっとタホ川の展望台に到着しました。
この展望台は町の対岸から見てみると、
右手の街並みの先辺り...。
![Blog-13-178
タホ川 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5928](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-178.jpg)
今日ずっと辿ってきた
中世の佇まいや寺院群の風景、
また賑わいのある商店街の人波に
興奮冷めやらぬ気持ちが、
タホ川が流れる雄大なパノラマを前にすると
頭の中がすっきりとして、清々しい気分に変わります。
![Blog-13-102
タホ川の礼拝堂 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6700](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-102.jpg)
対岸に見える19世紀半ばの礼拝堂が、
午後の光に覆われる頃、少し腰を掛けていると
心地良い疲労感もあって、微睡みそうになりますね。
さて、タホ川を見下ろしてみます。
![Blog-13-103
タホ川 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6704](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-103.jpg)
悠々と流れる眼下の川から、
今度は逆にその目線を
斜面の岩山の上に立つ自分の足下に
ゆっくりと戻していくと、
確かに「自然の要塞」、「難攻不落」の場所に
トレドの町はある...と、
改めて納得するはずです。
トレドの工芸品 刀剣と甲冑
![Blog-13-186
土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6545](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-186.jpg)
川の眺めは如何でしたでしょうか。
![Blog-13-139
刃物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 5925](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-139.jpg)
さて、お話もだいぶ長くなりましたので
先を続けるのを迷うところなのですが、
やはりトレドの有名な伝統工芸品について
お話をせずに第13話を終えてしまうのは忍びなく、
もう少しお話を聞いて頂こうと思いました。
![Blog-13-229
土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6550](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-229.jpg)
トレドの伝統的工芸品にはタラベラ陶器の他、
「刀剣」、「刃物」、「甲冑」、
「象嵌細工」の専門店や土産店が
町のあちらこちらに点在しています。
![Blog-13-142
土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6491](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-1421.jpg)
その中から、
ここでは「トレドの刀剣」と
「象嵌細工」に的を絞ってお話を致します。
まず刀剣についてですが、
例えば古代ローマ帝国、
初代皇帝アウグストゥスの治世に生きた
詩人Grazio Faliscoは作品の中で
「トレドの本物の短刀を腰につける...」と、
書かれているほど、
非常に歴史が古いのはご存じでしたか。
またトレドの刀剣の名声は、
刃の堅さや刀のしなやかさだけでなく、
美装が施された芸術品としても知られています。
![Blog-13-85
刀剣の土産物店 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6756](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-85.jpg)
現在お店で販売されているのは
主に観光客用の複製ですが、
その中にはアーサー王伝説のエクスカリバー、
グラナダ王国最後の王ボアブディルの剣、
エル・シドのラ・ティソーナの名刀などの剣や
その他サーブルが飾られています。
トレドの象嵌細工「ダマスキナード」
もう1つ、街のお店で刀剣と共に
必ず目にはいるのが”Damasquinado”
象嵌細工「ダマスキナード」です。
もともと刀剣や甲冑などを
装飾する目的で始まりました。
この工芸品の制作について
ごく簡単に幾つかの行程をご説明すれば、
「金属製の板などに丹念に溝を作って、
そこに金や銀糸を嵌め込み、
隙間を槌で閉ざしていく。
次に黒い色調にする為、
火にくべた容器に入れ酸化皮膜で覆い、...」と、
実に根気のいる仕事であり、また
スペインの重要な伝統工芸です。
![Blog-13-166
6119](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-166.jpg)
訪れた工房は、タホ川の展望台近くですが、
あいにく昼休みでどなたもいないようです。
でも折角ですから、道具類を
是非拝見させて頂きましょうか。
まずは、三角形の木の台座の上です。
鋳鉄のどっしりとした丸いボールと、
上の台には、制作中の細工物が
載せられているのでしょうね。
他には、長年使用されてきたコンパス、
定規やビュラン(彫刻刀)...。
金糸か銀糸の糸巻きも見えますね。
![Blog-13-91
ダマスキナード(象眼細工)の工房 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6017](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-91.jpg)
お昼休みが終われば眼鏡の主人である、
ダマスキナードのマエストロが叩く、
槌の音が再び響いて来る事でしょうね。
眼鏡や手前のメモと道具以外、
全く余分な物が置かれていない仕事机は、
トレドの何世紀も変わらぬ工房の風景を
見た思いでした。
![Blog-13-106
ダマスキナード(象眼細工を売る店) トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6707](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-106.jpg)
ところで、
ダマスキナードの起源が、
「かつてシリアのダマスカスから
イスラーム教徒によって
伝わったとされる工芸技術」という事は
広く知られていますが、
残念なことに現在、
スペインのダマスキナードの
存続に関する問題が発生している事は
まだ余り知られていません。
![Blog-13-105
ダマスキナード(象眼細工を売る店) トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6708](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-1051.jpg)
存続に関する問題は2つありますが、
1つは売り上げが大幅に減少した事です。
対策としてインターネットを通じて
販路を拡大する試みもされています。
もう1つは、深刻な後継者不足の問題です。
ダマスキナードは、次世代から次世代へと
伝えられていくスペインの誇る伝統工芸です。
しかし制作に当たっては、
伝統的技術の習得に長い月日もかかり、
その作業は非常に緻密な為、
強い忍耐力も要求されます。
芸術学校もあるのですが、
まだまだ後継者としての人数が不足し、
また中々「育ちにくい」と言うのが現状のようです。
![Blog-13-167
6122](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-167.jpg)
上のバレッタ(髪留め)は以前、
たまたま仕事の打ち合わせで利用した
マドリードのホテルで購入したものです。
ラウンジから玄関へ出る途中のお店に
飾られていた美しいアラベスク風模様に
ふと引き寄せられてしまいました。
また装飾以外にも惹かれた理由として、
黒髪の、そして金髪のどちらの女性にも
似合う色調はもちろんの事、
何よりもこのバレッタを通して
制作に携わった工芸家の気持ちが
心に伝わったからだと思っています。
今回、トレドをテーマにして、
バレッタを撮影するにあたり感じたことは、
制作の仕上げの時のマエストロの言葉、
「模様に命を与える」でした。
これからもトレドの各工房から、
槌の音が聞こえ続ける事を願っています。
坂道での2つの世界
旧市街の道は石畳が多く、
その為足裏からでこぼこ感が伝わり、
長い時間歩いているとつらくなります。
「旅人のトレド」の終わりは、
ソコドベール広場から下り坂を降りた
「太陽の門」迄お付き合い下さいね。
![Blog-13-82
石畳 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6549](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-82.jpg)
この旧市街から下界を結ぶ坂道は、
眺めもよいことから、
誰でも一休みしたくなる場所です。
![Blog-13-173
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 7142](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-173.jpg)
降りていく途中、スペイン人の若者と
年配の2組に遭遇しました。下の作品は、
ちょっと不思議な思いで撮影した1枚なのです。
そこには
「時も、場所も同じ」という以外は、
それぞれのグループが全く別の世界で
生きている事が如実に表われていました。
![Blog-13-111
世代(Generation) トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6833](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-111.jpg)
「説明不足で何の事だか...」と言う声が
聞こえそうです。そうですね...。
では、次のように情景を2つに分けて
ご覧になって見て下さい。
まず1枚目です。若者だけの写真にする為、
貴方(貴女)の手を使って
手前のご年配の方々に一時的に隠れてもらいましょう。
トレド観光の帰り道、楽しそうに記念撮影をする
現代の若者達が見えます。如何でしょうか。
そしてもう1枚は、逆を行えばよいわけですね。
![Blog-13-171
スペイン人 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6832](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-171.jpg)
ご年配のグループの写真を、
あえてセピア色に調色をしたのには
理由があります。それは20世紀前後の
「スペインの写真集」から抜け出だしたような
生きる厳しい眼差しや、
きちんとした服装を見たからです。
1枚の写真で、
「2つの写真が重なり合って見える」。
スペインの人々の変遷が感じられたのも、
昔の景観が良く保存されている
古都トレドだからではないでしょうか。
トレドの思い出
![Blog-13-75
トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6517](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-75.jpg)
外灯が灯る頃。
歩く歩道の横を走り抜ける車の数も、
まばらになりました。
今回は街角のトレドでお話をしながら
様々な見方でご一緒に廻りましたが、
「トレドの一日」を、この父娘のように
満足して頂けましたでしょうか。
そして「旅人のトレド」、
どんな印象を持たれたでしょうか。
![Blog-13-113
坂道 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6846](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-113.jpg)
実際トレドを廻った旅人としては、
古都の全景が見える場所からは
もちろんのこと、街中を歩いた後、
現代的な物に対する印象が、
心の中で綺麗に掻き消されてしまう程の
長い歴史の重みを感じました。
![Blog-13-114
女の子 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 6845](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-114.jpg)
そして
歴史という名の地層の上に、
日々新たに積み上げていくトレドの人々。
未来のトレドがどんな姿を見せてくれるのか、
また訪れてみたい気持ちにさせる
魅力ある古都でした。
本日ラストの写真
本日ラストの写真は、
この父娘がちょうど歩いてきた場所、
13世紀に建造された
ムデハル様式の「太陽の門」を
ご覧になりながらここで
お別れしたいと思います。
![Blog-13-180
太陽門 トレド (カスティージャ・ラ・マンチャ地方・トレド) 263](http://temikphoto.com/wordpress/wp-content/uploads/2014/04/Blog-13-180.jpg)
古代ローマ帝国の時代から、
重要な都市であり、
また首都であったトレド。
この「トレド」があるからこそ
重要な場所になったあの都市へ
「道」は延びているのです...。
この度も、最後までご覧下さり
どうもありがとうございました。
どうぞまたお待ちしております♪
初稿公開日:2014年6月6日
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