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初稿公開日:2013年6月17日
季節は春から夏へ
3月下旬から5月にかけて、
日本列島を明るく染めて行った桜の花。
その「桜色の風景」も、
振り向けばだいぶ遠ざかった記憶に
なった頃ではないでしょうか。
あれから季節は春から夏へと移ろうとしています。
花束にしおりを挟んで
4月~5月にかけて、
身近な公園や庭園へ出かけ、
目にとまった花々を撮って参りました。
それに身近な庭先の花も加えました。
これらの花々の間に
本の「しおり」のように、
幾つか小さなお話を挟んで
「春と初夏の花束」に仕立ててみました。
どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。
春を告げる歌
春になると気持ちが軽やかになって、
つい、くちずさみたくなる歌はありませんか。
随分前のことです。
住んでおりましたマドリードの家で、
そんな春を感じさせる歌に出会いました。
一息入れようと飲み物を手に、
ふとテレビをつけた時でした。
セピア色のスペインを
感じさせるような歌が、
コマーシャルと共に流れてきたのです。
作曲された時代は、
日本では大正時代の初めでしょうか。
マドリードの街角を舞台にした粋な歌詞。
愛らしいメロディのフレーズとフレーズとの間に、
程よい「間合い」があって、
聴いているといかにも古い時代の
ゆったりとした時の流れを感じます。
後に曲名と同じ、同名映画が
制作されています。
「すみれの花売り娘」の歌
その曲名は ”La Violetera”(ラ・ビオレテ-ラ)。
作曲は、スペイン南東部・アルメリア出身のJosé Padilla Sánchez(ホセ・パディージャ・サンチェス)。
日本語では「すみれの花売り娘」。
この歌、ご存じの方も結構いるかも知れませんね。
それでは歌の前半までの、
情景を歌詞も交えてご紹介致します。
マドリードの街角。
すみれの花売り娘が表れる頃を
「春を告げるツバメ」に例え、
彼女の花売りの声が、
ツバメが繰り返し
さえずるように聞こえてきます。
手には花かごに並べられた「すみれの花束」。
すみれの花売り娘は、
若い男性に声をかけます。
「若旦那さん、たった1レアルですから、お持ちなさい。
この花束を私から買っていって下さいな。
ボタン・ホールを
すみれの花束で飾るために...」。
上着の下えり(ラペル)のボタン・ホールは、
花や小さな花束を挿す為のもの。
花売りの娘さんは、
すみれを勧めるのがとても上手ですね。
ロシアの3つの花の小話
所変わって、お話はロシアへ。
1990年代にモスクワへ行っていた事があります。
その頃の花の思い出です。
花束を持った少女
モスクワ郊外にある
シェレメチェボ国際空港。
ここの到着ロビーで
印象的な少女を見かけました。
薄暗いロビーの電灯(あかり)の下で見渡すと、
ぽつん、ぽつんと浮かび上がる色とりどりのもの。
何とそれらは、到着客に贈るための、
出迎えの人々が手に持っていた花束でした。
モスクワは、9月末から4月頃まで雪に覆われます。
長い冬を過ごす人々にとって
色鮮やかな生花は、
特別に嬉しい贈り物に違いありません。
ロビーの出入り口付近には、
数人の大人に混じって
髪を赤いリボンで結んだ
少女が立っていました。
外に出ようと歩いていた私が
すれ違いざまに見たのは、
一瞬はにかんだような少女の横顔。
彼女が見つめていた
その華やかな花束は、
どなたに差し上げたのでしょうか。
草原の春
空港を出ると市内へ向かうまっすぐな道が
しばらく続きます。
左手すぐには白樺林。
右手には雪景色から開放されると、
緑の草原に変わる大地が広がっていました。
ここは、飛行機から降り立った旅人にとって、
最初にモスクワの春を
知ることが出来る場所。
空と雲。
草原一面には、
見渡す限りの「たんぽぽ」。
繁殖力の強いたんぽぽは、
緑を埋め尽くさんばかりです。
春風が吹く日。
球状になった綿毛の花束からは、
次々と銀色に輝く種子が
静かに飛び立って行きます。
道端でタンポポを見つけると、
今でもこの空港近くの
草原を思い出します。
そして、
ロシアの偉大な作曲家
チャイコフスキーや、
ラフマニノフのことも。
ロシアの広大な大地を感じさせる曲は、
このような景色から生まれたのでしょうか。
街角で春を受けとめた花束
もう1つ、モスクワでのお話。
市内の滞在先ホテルから歩いて15分程に
確か地下鉄の駅がありました。
いつもなら散歩や食事は
通りにある駅の降り口より少し手前で
済ませておりました。
その日は、
比較的暖かかったのでしょうか。
地下鉄の降り口まで
歩きたくなりました。
地下鉄駅のある通りは人通りも多く、
ネッカチーフを被った年配の女性が
「鈴蘭の花束」を小さな台の上に
置いて売っていました。
思わず1束欲しくなったのは、
私も知らぬ間にこの町の人々のように、
ずっと春を待ちわびていた
1人だったのかもしれません。
買い求めた白く清楚な鈴蘭の花束。
そっと左右に揺すって見ると
ロシアの春の音が、1つ1つの花から
ポロン♪ポロン♪と出てきそうでした。
スペインの旅先で出会った「懐かしい花」
ある年の6月初旬に、スペイン北西部を訪れました。
ちょうど昼食時でお腹もすきましたので、
街道からサンティアゴ巡礼の道沿いにある町へ
入りました。
視界いっぱいに見えてきたのは、
時計の付いた鐘楼や、路の両側の古い家並み。
ところで、
塔を潜ってこの道を歩いていた時には、
この先の広場で
外壁を飾る藤の木に出会えるなんて
思っても見ませんでした。
程よい大きさの広場には
立派な石造りの建物があって、
庭師の方が藤の木を
とても素敵に壁を這わせていました。
後ほど別の写真でご紹介しますが、
木と同系色の金属製チューブを
何本も使用して
目立たぬように藤を支えた方法は見事でした。
でも残念なことに、訪れた時には
すでに花の季節は終わっていました。
そこで今年の春、日本で撮影しました
藤の花をご覧になりながら、
お話を続けたいと思います。
ところで藤を眺めていて、
『この木の祖先は、日本から来たのかしら?』と、
ふと疑問に感じました。
調べてみますと
1816年に東インド会社のキャプテンが、
「シナ藤」を広東からイングランドへ苗木を持ち込み、
その後ヨーロッパ大陸へかなり速い速度で
広まっていったようです。
一方日本の藤は、
幕末に、長崎出島のオランダ商館医であった
ドイツ人医師フォン・シーボルトが
1830年にヨーッロッパへ持って帰っています。
米国にも自生の藤がありますが、
日本の藤を
1861年に米国人Dr.George Rogers Hall が、
日本から米国北東部のニュー・イングランドへ
船便で送っていました。
彼は、冒険的な人で
東洋で幸運を手で掴もうとしたようです。
最初は、出身地ロード・アイランド州から
上海へ小さな病院を開設する為、
医師として渡りましたが、
その後、商人へ転身しています。
ところでこの時代、
船便で生きた植物を輸送するのは
「水やり」の問題もあり、
とても困難を極めました。
当時、数十年前にロンドンで
他の航海で実証実験済みだった
生花輸送用の「ウォードの箱」がありました。
彼は、このガラス製のミニ温室を活用して、
日本から初めて、生きた植物を
米国へ輸送した人として知られています。
さて、この「ウォードの箱」。
その水の循環方法等を知ってみると、
確かに日数のかかる
船便にはぴったりでした。
ただ、スペインのこの町の藤が、
東インド会社のキャプテンが持ち込んだものなのか、
それともフォン・シーボルトが持ってきた日本の原種の藤なのか、
残念ながらわかりませんでした。
いずれにしても、
この木を眺めながら
藤の花咲く「日本の風景」を
思い浮かべていたことに違いありません。
さて、最近の新聞記事で
横浜の園芸会社が、
明治20年代半ばに欧米へ送っていた
「ヤマユリ」など
日本固有種の球根などを再現する試みが
始まったという記事を読みました。
品の良い日本固有種だそうで
また復活させたいとの事。
当時の日本から旅立っていった花達。
私達も是非見てみたいですね。
藤の花の魅力とは、
下がる藤の花序。
花の色。
甘い香り。
全体の葉の茂った雰囲気や、
葉の形も欠かせません。
これら1つ1つの要素が相まって
「ロマンチック」と感じるのですね。
欧米では藤棚にする他、
蔓の特性を生かして
建物の入り口やファザード、
アーチの付いた窓枠の周りを覆う。
また藤棚の柱や、
庭の石柱に巻き付けて
花を咲かせる...。
建造物周辺を、
藤色や葉の緑で色を満たした様子は、
人々を夢心地にさせるのかもしれません。
装飾には理想的な花なのですね。
さて、ここからは気分を変えて
日本でのお話を致します。
5月の連休中のある日の午後。
藤棚の下に腰掛けますと、
ちょうど良い具合に
鯉のぼりが見えました。
鯉のぼりは、風待ちなのでしょうか。
みんな「しょぼーん」。
何と、小鰺の干物状態になっていました。
風が吹いても、そよそよ...。
なので、今ひとつ上手く泳げません。
中々強く吹いてこないので
鯉の口から勢いよく吹き込まず、
彼等も困った様子。
それを見て、何だか気の毒やら、
可笑しくなってしまいました。
そして心の中で、こう叫びます。
『小鰺の干物よ、元気な鯉のぼりになぁれ!』と。
するとどうでしょう。
ちょうど良く、
威勢の良い風が駆けつけてくれました。
「遅くなりましてすみません。この季節は、忙しいもので!」
あら、
つい鯉のぼりのお話に
夢中になってしまいました。
頭上を見上げますと
幾重にも重なり合った花が
下がっています。
時折吹く、爽やかな5月の風に、
一斉に「花の振り子」が
揺れ出しました。
その振り子は、緑の軸に、紫、白、黄色の花の粒。
風に合わせて揺れる花の動きは、
とても夢幻的でした。
目の前の光景も、
ストップ・モーションのように1
枚、1枚、「風に舞う藤の花」として
心に刻まれることでしょう。
藤棚から鯉のぼりや、庭園を眺める。
当たり前の景色の取り合わせですが、
案外、贅沢なことかも知れませんね。
さて藤のお話の最後は、
つぼみの写真をお届けいたします。
美しい姿を、今年も見せてくれましたね。
しおりはつけずに...
さてこれより先、しばらくの間、
お話のしおりは挟まずに、
色々な花をご覧頂きたいと思います。
「花も、こんな見方があるんだなぁ!」と、
感じていただけたら、とても嬉しく思います。
舞踏会の華達
春本番。
牡丹や芍薬が咲き誇る場所に
一歩足を踏み入れますと...。
一瞬にして華やかな「舞踏会」に
訪れたような気分になりました。
では、そのつもりになって頂いて、
会場の扉を気づかれぬよう
開けてみましょうか。
皆さん、優雅に踊られていますね。
そうそう、気がつかれましたでしょうか。
ここには、楽器の奏者は存在しません。
「風」でリズムや強弱を取りながら
踊っているのです。
白に赤紫の色が華やか。
それでいて、優しさが伝わって来る方ですね。
こちらは、お若い方でしょうか。
光沢のある、赤のシルクサテン地のドレスは、
チューリップをイメージさせるデザインです。
どなたも、まさに「舞踏会の華」。
個性的で、
趣向を凝らしたドレスで踊られる姿は
うっとりする美しさです。
さあ、他にどんな方がいらっしゃるのか
もっと見てみましょう。
白い段々のフリルに、
黄色とピンクの装飾用モールが素敵です。
踊る度、
フリルが上下に優しく揺れるシルエット。
こちらは、明るめのローズ色のドレスを着た
爽やかな感じの、若いご婦人が踊っています。
ボリュームのある、
ギャザーたっぷりのスタイルですね。
如何でしょうか。
お楽しみ頂いていますか。
それでは、ここからは特に個性的な方々を
ご覧下さいね。
こちらは、艶やかな深紅の
大胆なデザインのドレスを纏った貴婦人。
「燃えるような赤」を感じませんか。
そして今度は、
繊細で優雅なイメージの白い貴婦人。
鳥の羽のようなドレスがぴったりです。
シルクタフタのドレスは、
風が吹くと「衣ずれの音」が聞こえて来る
かもしれません。
代わって、
ローズ色から白のグラデーションのドレス。
奥行きのある色や、デザイン共に見事ですね。
お二方は姉妹なのでしょうか。
踊らずに、終始こんな状態でした。
ひょっとして、舞踏会は初めてかしら?
さぁ、勇気を出して踊り出して下さいね!
さて、この方はどなたでしょう。
踊りが苦手なのかしら?
赤いドレスの向こうに隠れているのは、
よくよく見れば、若いキリギリスでした。
それから、
先程から気になっている方がいます。
舞踏会でひときわ目を引いた
「ジャーマン・アイリス」です。
背中の開いた「バックレス・ドレス」。
うすぎぬを纏っているような、
エメラルド色の「クサカゲロウ」のよう...。
このドレスは踊る際に、反り返った時の背中のラインが
とても美しいのです。
そして最後に表れたのは、アヤメ。
青の地に白や、金茶の糸などで
刺繍を施こしたドレス。
この青の色の深さを眺めていますと、
その美しさに引き込まれそうになりませんか。
舞踏会もたけなわ。
まだまだ続くようなのですが...。
そーっと、外に出てみませんか。
さて、華やかな花々を堪能した後は、
小道や池の周りの
お散歩は如何でしょう。
気持ちよく森林浴が出来そうでしょう。
足下には春の草に混じって
昨秋の落ち葉や、どんぐりもまだ残っています。
一歩、一歩踏み出す度に
さくっ、さくっとする音。
歩くのが楽しいですね。
ご覧になれますか。
今は使われていない「木の杭」。
でも知らぬ間にとても小さな
「春の劇場」にリニューアルしていました。
丸い舞台の上で、木の葉と一緒にコケ達が
演技をしています。
さらに風が吹いてくると、中々これも良い演技。
照明さんも、ライトを当てるのがとても上手ですよね。
シダの形。
そして緑の美しさ。
何でしょう?
撮影していますと、
上から何か液体が降って来ます。
犯人は黄色の「ツマグロヨコバイ」でした。
今度は、池の方へ行ってみましょうか。
カルガモのカップルです。
池の藻の色。
独特な緑の濃淡。
別の池のカルガモです。
ほんの一瞬広げた羽の美しさは、息をのむほど。
でも、ちょっと...。
先程から迷っていた一言があります。
やはり言わせていただこうかしら...。
「足、しびれちゃったのかしらねぇ」。
花と蔓のカリグラフィ
その日は野山を一日中、
気持ちよく歩いた日でした。
時間は、そろそろ日没近くだったでしょうか。
道沿いにある畑の一角に、
スイートピーとチューリップ中心の
花壇がありました。
わざわざその場所を歩く人々のために
あつらえた花壇のようです。
ハイキング帰りの方々も
必ず皆さん「きれい...!」と
しばし足を止め、眺めていきます。
スイートピーの花は軽やかで、
色とりどりの蝶が
その場所でずっと羽ばたいているようです。
そして蔓は、
「何か先につかまる物がないかな?」と、
支柱になる物を探して
先端を伸ばしていきます。
まるで美しく文字を飾る
「カリグラフィー」ですね。
絵画仕立てにした
「花と蔓のカリグラフィー」は、
お好きでしょうか...。
まぁ、いけません!
日の光が、もうすぐなくなりそうです。
花壇の主役、チューリップを
随分待たせてしまいました。
スイートピーを背景に、
スタイルの良い
深みのあるローズや
オレンジ色のチューリップは、
上手にポーズを決めてくれました。
最後のしおり
随分たくさんの花が出揃いましたね。
気がつきますと、お話を挟むしおりが
手の中に一枚だけとなりました。
花束の最後のお話は庭先に咲く花、
「えびね」「紫蘭」「オダマキ」を
ご紹介しながらのお話です。
ラン科「えびね」の花です。
花の形は、どんな風に見えますか。
宙に浮かんだ、つばの広い帽子を
被った人でしょうか。
あるいは、
14~16世紀、西ヨーロッパの
人々の服装でしょうか。
風変わりな帽子や、ろばの耳が付いた道化師の頭巾、
大きめの袖やたっぷりした衣...。
彼等の服を、色々混ぜ合わせたような
不思議な服...。
あれこれ考えると楽しそうです。
花の持つ生命力
もう1つ、「紫蘭」をご紹介します。
ラン科でも取り扱い安い花で、
あちこちのお庭で見かけました。
カメラの特性を生かし、
ぐっと近くに寄って
「花の世界」を見てみます。
花は人の形を
想像させてくれるだけでなく、
同時に
自然の摂理を教えてくれました。
例えば、虫と共生する花。
それから、
害虫に襲われる花。
病気に感染することもあります。
また花の近くで、
虫同士の生死を分ける戦いも
繰り広げられていました。
春から初夏にかけて
ファインダー越しに見てきた花々。
結果、
私達人間同様、どの花も
「生きること」に懸命でした。
このように花の優しさだけでなく、
「生きる力強さ」も写真を通して
ご覧になって頂けたら...と、思います。
「オダマキ」と「西洋オダマキ」
花の魅力は、
すでに「藤の花」のお話で申し上げた通り
簡単に言うならば、
姿形、色や香りですね。
そして人々の生活の中には、
花をモチーフにした品々や
香りで溢れています。
例えば、
花のイラストが入った「マグカップ」。
紅茶の入った「陶製の花模様の容器」。
それから「ビスケットの缶」や、
花柄をあしらった「手帳」、
テーブルクロスもあります。
香水類や
食品用の花のエッセンス...。
羅列しましたら、もうきりがありませんよね。
こうしてご自身の回りを、
ぐるーっと見回しただけでも
意外に多く、その数に驚くと思います。
そして花は、
私達の心の中にも共生しています。
そう、今回お話ししてきたように...。
歌の中で。
特別な時の花束に。
また、季節を告げる花として。
旅先で出会った花。
そしてまた、
日本から遠く旅立っていった花...。
これらの花も、
心の中に生きている
「花の魅力」の1つだと思います。
さて、花々の間に挟んだ
しおりの小話。
「花としおり」で今、とても華やかになりましたね。
この手からあふれそうな
「春と初夏の花束」に
「人と花を結ぶリボン」を美しくかけて
今、そちらへお渡ししましょうね。
選んだ花々とお話を
お気に召していただけたでしょうか。
本日ラストのお花
さて毎年4月~5月に
マドリードから郊外へ伸びる街道沿いには、
それは、それは見事な
真っ赤な”Amapola” 「アマポーラ」の花が咲きます。
日本では、ひなげしの花ですね。
特に思い出深いのは、
青麦畑にも群生している景色です。
アマポーラの咲く景色。
群生している花が、
真っ青な空の下で
そして雲の蔭の下で
風に呼応するかのように、ゆらゆら揺れる姿。
私にとって、スペイン生活に於ける
代表的な春の風物詩と言えます。
一方、スペイン人にとっては
「野草」扱いなので、
「わざわざ撮りに行ったの?」と、
冗談交じりで笑われた事もありました。
でも、本当は彼等の心の中に
しっかり根付いている花なのだと思います。
この花もすみれ同様、”Amapola”の歌として
良く歌われているのですから。
そして今年の春。
アマポーラに代わって
日本で咲く美しい花々を、
街角で、そして公園や庭先で
気軽に鑑賞出来、
こうして写真に収める事が出来ましたのも
日本の素晴らしさの1つと
感じています。
この度も、最後までお付き合い下さり
どうもありがとうございました。
次回はスペインのお話を予定しています。
またお越し下さいね。お待ちしております。
初稿公開日:2013年6月17日
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