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第7話 懐かしき日本色の旅 ― 緑の憧憬―

アラベスク文様の手帳から・・・インデックスへ戻る

初稿公開日:2013年1月12日

日本帰国のご挨拶

大変ご無沙汰をしておりますが
お変わりございませんか?
日本に戻り、
はや半年が経過しようとしています。

昨年当ブログを開始した際にはしばらくの間、
スペインより発信する予定でおりましたが、
諸事情の為この度、
スペインから日本へ戻って参りました。

またこの半年に及ぶ準備期間中、
「次のブログアップはいつ頃ですか?」
「ゆっくり準備して下さい。待っています」等々、
暖かく見守って下さった方々に
まずは御礼申し上げます。
そして大変お待たせして申し訳なく思っております。

夕日(長野・野辺山高原)  1296
夕日(長野・野辺山高原)  1296

ところで、
帰国した頃の日本は暑い夏でした。

その夏も遠ざかり
紅葉の季節へと変化した頃、
美しい「日本色」に会いに
国内数カ所を廻ってきました。

そして各地を旅した後、
「ただいま 日本!」と言う気持ちを
作品を通してお伝えしたいと考えました。

そのような訳で
帰国後初めてのブログは、
そのご挨拶を兼ねて
日本の風景をお届け致します。

青葉(秋田・角館)  1195
青葉(秋田・角館)  1195

それからもう1つ、
お伝えしたいことがあります。

帰国のご挨拶の他に、
貴方(貴女)にとって
見慣れた日本の風景が、
「あら!こんな風に見えているの?」と、
新たな発見が見つかれば、
また大変嬉しく思います。

ガマズミ(秋田・角館)  1199
ガマズミ(秋田・角館)  1199

他方、
これからご紹介する日本の風景は、
むしろ私よりよくご存じの場所が
多いのではないでしょうか。
その為今回は、
歴史やその他の現地情報など
詳しい説明は、抜きに致しました。

また、
この度訪れた町の追加情報や
お住まいの町の情報等、
これから色々教えて下さいね。

さぁ、お話はこれくらいにして
まずは作品をどうぞ。

稲架(はさ)干しの風景

最初は「小海線」列車の車窓からの
景色をお届けいたします。

山梨・小淵沢と長野・小諸間の
二両編成の列車の旅をしました。
途中、座席を通して
心地良い列車の揺れを感じながら、
目に入って来たのは、
一面の田園風景でした。

稲穂の天日干しは、
波打つ稲穂の「長暖簾」。
その間の小道を
自転車に乗っていく少年を見かけました。
この少年が大きくなった時、
ここを駆け抜けた思い出が
彼の心に暖かく残ると良いですね。

ところで
この情景に関連した話題になりますが、
日本へ戻り感激した事が幾つかありました。
その1つに、やはり何と言っても
「おにぎり」の美味しさが挙げられます。

熱々のご飯を握った時、
手のひらに伝わってくる
一粒一粒の瑞々しさ、そしてしっとり感。
このように丹念に干したお米は、
きっと美味しいこと間違いなしです...。

さて、もう1枚、
この辺りの風景をご紹介しましょう。

稲穂と少年(長野・佐久市)  1281
稲穂と少年(長野・佐久市)  1281
かわいい家(長野・佐久市)  1282

車窓から見えてくる田畑の風景は、
一見何処も同じように見えます。

でもそんな事はありません。
日本の民話に登場するような、
とてもかわいい家を見つけました。
ご家族で農作業中でなのでしょうか。
お疲れ様です。

ところで...。
乗車した列車内の様子ですが、
とても長閑な雰囲気で、
乗降客は、学校帰りの生徒達や
地元の女性達です。
他に私のような旅人が、
ちらほら。

また日差しが暖かでしたので、
窓越しに山々や田畑の風景を
しばらく眺めておりましたら、
とても良い気持ちになってうとうと...。
次の下車する駅まで
お昼寝をしてしまいました。

野辺山高原から見た八ヶ岳連峰

午後3時過ぎ。
標高が高いことで有名な
野辺山駅に降り立ちました。

ホームで写真を何枚か撮り、
自分の乗ってきた列車を見送ります。
小さな駅舎内に入ってみますと
ここで降りた人々の姿はすでになく、
辺りはすっかり静まりかえっていました。

『さて、次の小淵沢行きは何時発かしら?』
出発時刻を調べますと、
どうやらだいぶ乗車するまで
時間があるようでした。

それならばと、少しお散歩することに...。

八ヶ岳と雲(長野・野辺山高原)  1291
八ヶ岳と雲(長野・野辺山高原)  1291

駅を背に
周辺の沿道をしばらく歩いておりますと、
突然茂みから「けーん、けーん」。

たまたま向こうから歩いてきた
地元のおじさんも気がついたのか、
すれ違いざまに指をさし、
「雉がいるよ!ほら、そこ!」
その声にオスの雉は驚いて、
あっという間に美しい羽を広げて
飛び立っていきました。

見上げれば、
山に当たっては
次々に姿を変えていく雲が、
夕日の中を雄大に移動して行きます。

こうしてしばらく野辺山高原から
八ヶ岳連峰にかかる
雲の流れを眺めているうちに、
気温もぐんと下がり、
思わず両手で腕をさすりながら、
急ぎ足で駅へと向かったのでした。

秋田・角館

日本には小京都と呼ばれる町が
たくさん存在します。
みちのくの小京都と呼ばれる、
秋田の角館へ足を運びました。

駅から旧市街へ向かいます。
しばらくして遠くから
「何かしら?」と思って近づいて行きますと、
それは倉の前に吊された
「ふたいろの傘」でした。

とても良いお天気でしたので
白壁が藍色に見えるのは、
たぶん屋根瓦が作る影のせいですね。

傘(秋田・角館)  1179
傘(秋田・角館)  1179

そして影が作るこの「藍色」。
日本の伝統的な街並みに
それはとても良く似合います。
今更ながら、
私も再認識してしまいました。

ところでこの旅の途中、
町の人達と楽しくお話をする機会がありました。
角館の人々はとても気さくな方が多いのですね。

皆さんのお話を纏めると、
旧市街の春は桜色に、
秋は紅葉に染まる角館は
とても美しいのだそうです。
でも雪の角館も格別なのだとか...。

訪れた時は、
「燃えるような紅葉」にはまだ少し早く、
その代わり緑の風景をたっぷりと
堪能する事が出来ました。

それでは武家屋敷の内外や、
周辺を数枚ご覧下さい。

 武家屋敷

武家屋敷(秋田・角館)  1181
武家屋敷(秋田・角館)  1181

この季節の角館は、
緑と茶の色が
互いに引き立て合うような景色です。

例えば、
こちらの家の前を通りかかりますと、
家の中に電灯がついていて、
外の簾には木漏れ日があたっていました。

また垣根越しに
「こんにちは♪」と、
気さくについ声をかけたくなるような、
そして郷愁を感じさせるお屋敷でした。

武家屋敷街の風景

武家屋敷街(秋田・角館)  1237
武家屋敷街(秋田・角館)  1237

次に、別の武家屋敷を訪ねてみました。

電灯とオイルランプ

人に暖かみを与える電球の光。
その中で浮かび上がるオイル・ランプ。
電灯が普及した間もない頃は、
ランプとどちらが明るいかという時代もあったようですね。

オイルランプと電灯(秋田・角館)  1205
オイルランプと電灯(秋田・角館)  1205

眺めていますと、
古い絵画を見えているような
とても懐かしい気持ちになりませんか。

 武家屋敷の庭園で出会った栗

いがぐり(秋田・角館)  1222
いがぐり(秋田・角館)  1222

栗の実は、
まるでイガから這い出てきた
「カブトムシ」。
そう考えて見つめていると、
なんだかちょっと不思議な空想をしたくなります。

ここでちょっと小さくて、
楽しそうな童話を創るのはいかがでしょうか。

こうして栗を包む
何とも丸みを帯びた光を眺めている中、
ふと我に返りました。
だいぶ長い間、角館に滞在したようです。
そろそろ屋敷街を出て、
駅に向かわなければなりません。

やがて山の稜線が
空と見分けがつかなくなる頃、
帰路の列車内にいた私は、
窓に顔を近づけながら
『栗カブトムシは、あれから歩を進めたのだろうか...』と、
その後を知りたくなってしまいました。

栃木・日光

日光へ出かけた日は、
雲の流れがとても速い一日でした。
そのため、
ぱーっと晴れたかと思うと急に日が陰ります。
気づかぬうちに空には灰色の雲が
白い雲に追いつくようにやって来ました。

日光二荒山神社の神橋(しんきょう)

神橋(栃木・日光)  1309
神橋(栃木・日光)  1309

神橋の前にいます。
この橋の前では、
誰もがここで必ず立ち止まります。

かく言う私も
初めて日光を訪れた小学生の時、
てくてくと歩いていた私の足も、
突然目の前に現れた橋の前で
停止した覚えがあります。

その緩やかなカーブのついた、
朱色の欄干の美しさに
思わず見とれてしまったからです。

そして
川のせせらぎを聴きながら眺める
大谷川(だいやがわ)や
男体山のある風景は、
昔も今も変わらないままでした。

階段(栃木・日光)  1301
階段(栃木・日光)  1301

さて先程まで薄暗かった場所に、
雲の切れ間から光がさしはじめました。
急に辺りが明るくなって
石段のコケが華やかに浮かび上がります。

階段を一段一段上る度に目に入る落ち葉。

紅葉の四姉妹達

ラピスラズリ色の石段の上に、
自然の模様を描くのはビロードのコケ。
そして主役は誰なのでしょうか。

苔の上の紅葉(栃木・日光)  1313
苔の上の紅葉(栃木・日光)  1313

それは舞い落りた紅葉の四姉妹たち。
それにポーズがそれぞれ個性的。
皆さん仲良く上手に
ファインダー内に収まってくれました。

そうそう、
後からこの石段を上ってくる他の方達にも
その美しい紅葉を見せてあげて下さいね。
私は貴女たちをそーっとよけて...上っていきますから。

輪王寺境内にある力強い龍の像

龍のある水盤(栃木・日光)  1321
龍のある水盤(栃木・日光)  1321

水盤の縁に爪を立てながら、
口から水を吹き出している龍。
想像上の生き物とは言え、
まるで本物を知っているような見事な作品です。

『龍がこちらを見るかしら?』、
『ひょっとして爪がずるっと滑って動き出すかも!』などと、
密かな期待をついしていまいそうですが...。

 木々に囲まれた東照宮表門の瓦屋根

東照宮表門の瓦屋根(栃木・日光)  1318
東照宮表門の瓦屋根(栃木・日光)  1318

東照宮の境内「緑笠の石灯籠」

先程の石段の住人のように、
「ここにしよっと!」と言う訳ではないでしょうが、
こちらにもコケは居を構えています。
石の上や倒木の上と、
いつも住みづらい場所に住んでいるのですね。

苔と石灯籠(栃木・日光)  1317
苔と石灯籠(栃木・日光)  1317

さて、
こちらは石灯籠の笠の上。
色鮮やかな五重塔を背景に、
緑の絨毯で覆われた
石灯籠の存在感は見事です。

これから先は、
東照宮境内からゆっくりと市内へと
移動しようと思います。
ここ日光では、
石垣や道端など随所で紅葉、
黄葉を見ることが出来ました。

落ち葉(栃木・日光)  1330
落ち葉(栃木・日光)  1330

それから
道端で見つけた紅と黄色の葉をカメラに納め、
持参してきた手帳に
記念にそっと挟んで帰ってきました。

手帳を開けた時の、
今日一日歩いた
「日光の秋」の余韻を楽しむために...。

京都・南禅寺周辺

久しぶりに京都の南禅寺辺りを歩いてみました。

躍動感ある、いぶし瓦の波。
太さの違う竹材を、
それぞれ縦横に使用した整然とした美しさ。
縦に並んだ竹の節が全体に与えるリズム感。
そしてまぁるい形の外灯は...
人のいる気配を優しく伝えてくれますね。

竹の壁(京都)  1260
竹の壁(京都)  1260

素敵な乗り物

道に覆い被さるように茂る木々が、
自然の日よけテントを作り出しています。

「ん?」

横目でちらっと素早く見ますと、
穏やかなカーブのついた道の向こうから、
ちょっと素敵な乗り物がやって来ました。

人力車(京都)  1261
人力車(京都)  1261

お客さんを乗せた人力車です。
お乗りになった事はありますか。
黒い幌に赤い膝掛け。
それによく手入れの行き届いた銀色の輪の泥よけは、
ぴかぴかに光っています。
車夫の方が、
時々後ろを振り返り観光案内をしているようです。

二人との距離はもう目と鼻の先。

「まぁ、速い!」

思いの外、
彼の引く車はスピードも速く
あっという間に目の前を過ぎ去ってしまいました。

人力車に乗ってみると目線が高くなり、
ひと味違った風景が期待出来そうです。
何よりもとても快適そうなので、
今度乗せて下さいね。

竹垣や板塀の続く道に
動きのある人力車の風景...。
それは昔懐かし「セピア色の時代」に
自分が入り込んだ一瞬、でした。

南禅寺近くの寺院の楓

モミジ(京都)  1258
モミジ(京都)  1258

緑・黄・赤の葉が創る
「万華鏡の世界」はいかがでしょう。
日が経つごとに、
万華鏡の世界もやがて紅一色に。

南禅寺境内

和服姿の女性(京都)  1257
和服姿の女性(京都)  1257

京都では、
和服姿の女性を
何人もお見かけしました。

南禅寺三門

なんと立派な三門の柱でしょう。
さすが歌舞伎「楼門五三桐」
(さんもんごさんのきり)の中で、
盗賊である石川五右衛門に、
「絶景かな、絶景かな。春の眺めは~」と、
言わしめた三門ですね。

南禅寺 三門(京都)  1256
南禅寺 三門(京都)  1256

さて、ここを訪れる皆さんはこの門が大好き。

この周辺に静かに一人で腰を下ろし、
ただずーっと眺めている人。
また柱の間から顔を覗かせたり、
記念撮影をするお二人。
そしてグループで
お互いに写真を撮り合っているのか、
交互に自分のカメラを友人に
手渡す時の顔が嬉しそうです。

そして私は、
この門の傍に立って木々の緑と立派な柱を、
心ゆくまでしばし眺めておりました。

空に広がる色とりどりの楓

さらに葉が重なり合い、楓の影を作り出します。

モミジ(京都)  1247
モミジ(京都)  1247

昼下がり。
時間も忘れて撮っていました。
時刻を見ましたら昼食時間はとうに過ぎ、
おやつの時間になってしまいました。
『これでは、スペインでのランチタイムと同じね』と、
遅めの昼ご飯を半分懐かしみながら、
あわてて近くの公園でお弁当を広げる始末。

打ち水(京都)  1419
打ち水(京都)  1419

食後、少し休憩をとっているうちに
だいぶ日が陰って来ました。
急いで身支度をしてまた歩きます。

南禅寺から
さほど離れていない場所に料亭があり、
ちょうどその前を通りました。
辺りには、すでに夕方のしっとりした雰囲気が
醸し出されていました。

お店の名の入った房付きの掛け物が、
軒に吊されています。
また、障子の前の花瓶に
生けられた季節の草花。
そして打ち水をする女性の足下。
下駄の鼻緒の桃色がとてもお似合いです。

さて、
これから時間を見ながら
もう一カ所寄って
京都駅方面に向かいます。

この日は土曜日でした。
先程、「この辺にお弁当を広げる場所はないですか?」と、
近所の交番で訪ねた時、
次のように週末の渋滞に関する
アドバイスをして頂きました。

「週末はバスが交通渋滞に巻き込まれます。
早め早めに駅の方へ向かって下さいね。
駅が目の前に見えているのに、
バスが動かず列車に乗り遅れる方もいるのですよ」との事でした。
交番で思いもかけず渋滞に対するお話までして下さり、
そのお心遣いにとても嬉しくなりました。

京都タワー

振り返れば早朝から良く歩いた一日でした。
興味深い素材を見つけると
つい立ち止まってしまうので、
いつもあっという間に時が過ぎてしまいます。

一日の最後は七条通沿いに歩き、
鴨川を渡った辺りで日没となりました。
地平線はまだ夕焼け色が残っていましたが、
カメラを持つ私の手元はどんどん暗くなっていきます。

交差点に集まる車のテール・ランプと
信号機の灯りがさらに鮮明となり、
ライトアップした京都タワーも
ビルの間から見えてきました。

京都タワー(京都)  1272
京都タワー(京都)  1272

京都駅到着です。
一日の行程を無事終えたのか安堵感が広がりました。
それではここで駅前の夜景を一枚。
ちょっと変わった姿の京都タワーは如何でしょうか。

さて、思いつくまま訪ねた
「日本色」に再会する旅も終わりに近づいてきました。

広島市内の川を行く遊覧船

日の丸の船(広島)  1356
日の丸の船(広島)  1356

最後にお届けする町の一枚目は、
広島市内の川を行く遊覧船です。

実はこの写真、
思わず嬉しくなって撮ったのには理由があります。
それは、船尾に掲げられている美しい
「日本国旗」を見つけたからです。
『あぁ、日本に帰って来たのだな...』と、
この時しみじみと感じました。

これは私の体験談なのですが、
外国生活を長く続けておりますと
何処かずっと「心は仮住まい」のまま。
たとえすっかり住み慣れた町を闊歩しても、
それは異国の町。
やはり何に付けても自国にいるような
心の安らぎがないまま、
生きているからなのだと思います。

広島城の城門と松

広島城 外堀(広島)  1359
広島城 外堀(広島)  1359

安芸の宮島の五重塔

広島駅から山陽本線に乗って宮島へ向かいます。

海岸近くから五重塔が見えました。
檜皮葺の屋根と
その下から覗く朱色との組み合わせは、
着物の重ね衿のようです。

五重塔(広島・宮島)  1340
五重塔(広島・厳島)  1340

参拝客で賑わう宮島

予想していた通り宮島は、
大勢の人々で賑わっていました。

お昼を少しまわったところでしょうか。
活気があって歩いていて本当に楽しくなります。

参道の店(広島・宮島)  1400
参道の店(広島・宮島)  1400

厳島神社の方角へ歩いておりますと、
色々な店先からとても良い香りが漂って
きました。

そう言えば帰国後感動した事に、
遊覧船の「日本国旗」、
小海線の旅で「おにぎり」の例を挙げましたね。
ここでもほぼ感動に近い驚きがあったのは、
参道や海岸近くの通りに軒を連ねるお店から溢れる情報量の多さでした。

まず、店員さん達の店先で行う
食品の調理販売が目立ちました。
それに幟やポスター、
店内のたくさん並べられたお土産。
兎に角、目に入ってくる情報量が多いですね。
そして香ばしい臭いもたまりません...。

様々な情報が360度、
同時に入って来るような感覚。
知らぬ間に、ついつい寄って楽しく食べて、
買ってしまいます。
これでは中々先に進めそうもありません♪

日本でも
スペイン料理のBARのTAPAS(小皿料理)が
流行っているようですが、考えてみますと
「BARのはしご」の楽しみ方と全く同じ。
皆さんあちこちへ寄って楽しんで、
お食事の最後は歩きながら
ソフトクリームが定番のようでした。

お店の看板

立派な木の看板と、
大八車の車輪の組み合わせに足を止めました。
「ひらがな」と「漢字」が並んだ看板が、
それぞれ一枚ずつ。

看板(広島・宮島)  1398
看板(広島・宮島)  1398

左の「ゆずこしょう」と、
ひらがなで書かれた看板。
「島」の字の上を、
赤いもみじの枝が上で交差している図柄。
そして少し左右にずらして書かれた
「ゆずこしょう」の文字。
互いの文字が少しずつ譲り合ってとても優しげ。

一方、
右の「広島菜漬」の看板は
漢字4文字で力強く、
色は青い海の色。
こちらも目を引きますね。 

そう言えばこの看板の文字を見て、
スペインの旅先での事を思い出しました。

レストランの人が紙片を持ってきて
「我が子の名を日本語で書いて欲しい」と言うのです。
確かその他にも「妻の名を」、「恋人の名を」と、
リクエストをする方もいたはずです。
同様の経験を外国でなさった方はいませんか。

その時、
「ひらがなとカタカナ、漢字のどれで名前を書いてあげようかしら?」と、
日本語表記の豊かさを改めて感じたのでした。

 安芸宮島・日没の大鳥居

夕焼け(広島・厳島神社・大鳥居)  1273
夕焼け(広島・厳島神社・大鳥居)  1273

先程まで潮が引いていましたので、
大鳥居の辺りを歩いていました。
小一時間ほど歩き、
鳥居の少し外側に立っておりましたら、
少しずつ背後から潮騒が聞こえてきました。

そして今...。
それまでぬかるみに散乱していた
無数の人の足跡も消されて、
空からの光で小刻みに輝く
さざ波が覆っています。

日没後の大鳥居と頬紅色の水面

マジックアワー(広島・厳島神社・大鳥居)  1276
マジックアワー(広島・厳島神社・大鳥居)  1276

山の向こう側へと沈んでいった太陽。
日没後には、
少しの間「マジック・アワー」と言う
美しい時間があります。

この間、今度はお色直しをした
別の美しい姿を見せてくれました。
水面の色は、
まるで文金高島田を結った
花嫁の頬紅の色のよう。

大鳥居を前に岸辺に立っておりますと
「光のオーケストラ」が、
素晴らしい最終楽章を奏でる
荘厳なる響きが聴こえて来るようです。

本日ラストの写真

再び「小海線」の風景から
野辺山駅付近の踏切をお届けします。

山の稜線から放つ柔らかい琥珀色の光が
レールを照らしています。
あとわずかで太陽も
「では、また明日!」と、言わんばかりに
山の向こう側へと隠れてしまいます。

この目前の反射しているレールの光も
間もなくすーっと消えて、
それに変わって夜の闇を走る
気動車のランプに変わることでしょう。

そして、
沿道で出会ったあの雉も、
何処か近場のねぐらで休んでいるはず...です。

小海線・野辺山駅周辺(長野・野辺山高原)  1299
小海線・野辺山駅周辺(長野・野辺山高原)  1299

さて「日本色」の旅、
如何でしたでしょうか。
何か新たな発見はありましたか。
訪ね歩いた場所が、
ご自分のお住まい又はそのご近所だったり、
それから何度も好きで
訪ねられた事がある町かもしれませんね。

ところで住んでおりました
「スペインの首都マドリードや周辺の景色」について
終わりに少しお話をしたいと思います。

マドリードは、
住むには程よい大きさの町で
地下鉄とバスが充実していますが、
時間があるとついつい
景色を眺めながら歩いてしまう町です。

歴史的建造物や広場も多く、
また下町や旧市街ではBAR、
レストランの看板や外壁の装飾が
とても個性的で美しくもあり、
カメラを手に持って歩くのが
大好きな町でした。

そのマドリードから
郊外へ一歩外に出ますと、
打って変わって内陸地の典型的な、
乾燥した灌木の多い景色が
一気に広がっています。
殺風景とも言える
この大地を見慣れていた私にとって、
今回訪れた先々は
オアシスで出会った様な
緑溢れる景色で一杯でした。

言い換えれば
「日本の緑ある風景は憧憬」でもあったのです。

さて次回からは、
またスペインの景色をお届けする予定です。
そしてこの度、また当ブログを通して
お目にかかれた事を大変嬉しく思っております。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。

初稿公開日:2013年1月12日

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