「スペインらしさを求めて」

人や物の特徴を表現する場合に使う言葉には、「らしさ」があります。この言葉について考える機会を私に与えてくれたのが、小学校の社会科の教科書です。載っていた「唐草文様」の図案を見つけるや、デザインの面白さに夢中になってしまいました。この文様は、遙かヨーロッパからシルクロードを経て日本へ伝わったものですが、図案の素晴らしさもさることながら『唐草文様が、地域の変化によって何故違ってくるのか?」と言った疑問が心に残りました。このような興味に対する問いかけはスペインで生活を送るようになってからも変わらず、 スペインらしさとは何か?の問いに繋がっていきました。具体的に歴史の中でも特に強く光を当てたのは、スペインを代表すると言っても過言ではない何処か「東洋の香りがするスペイン」であり、それは文化の融合が色濃く見られる遙か中世の時代でした。

8世紀初頭のイベリア半島では、北アフリカから侵攻したイスラーム軍によって、南スペイン・アンダルシア地方を中心にイスラームの領域「アル・アンダルース」が作られ、8世紀の間統治されました。そこにはイスラーム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒の3つの文化が融合する独特な文化が開花し、 今日でもスペインの遺産として、人々の生活の中で脈々と受け継がれているのです。現在は長年に及ぶスペイン生活を終え、日本へ帰国し早6年が経過しましたが、スペインの印象とは一貫して変わることなく、「ヨーロッパの中でもスペインは、他には見られない独自文化が随所に溢れている国」でした。スペインらしさを形成する一つ一つを、作品を通してご理解頂ければとても嬉しく存じます。