第13話 道(II) 旅人のトレド

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再びソコドベール広場から

スペイン・古都トレド。

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商業地区入り口に接している「ソコドベール広場」。

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ここは週末になると、ほら、ご覧の通り...。

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地元の人々に混じって外国人や、近隣から遊びに来たスペイン人達で賑やか。

午後には観光疲れもあって広場のテラスやベンチも人で埋まります。

現代の街角の表情 旅人のトレド

さて、第11話「道(I )秋景色からトレドへ」では、トレドがどのような町なのかを、中世の歴史話を添えて全景や街並みをご覧になって頂きました。

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旧市街の眺め

そして今回は、長い歴史の中でトレドの人々がつくり上げてきた「都市」という器に於いて、現在を生きる普段着姿の住人やその暮らしぶり、

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トレドの路地

また街を行く人々の姿をフィルムで撮った白黒アルバムから、

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その他、風景を時折アクセントとしてカラー・フォトでお楽しみ頂けたら...と、思っています。

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路地風景

今回第13話では、トレドをご一緒に自由に移動しながらその都度、作品に関連した話をしていくスタイルをとりました。

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バスの路線図を眺める女性

そのような訳で、お話の切れの良い場所で休憩時間を2度ご用意しました。

それ以外の小休止は、どうぞお好きな時にとって下さいね。

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前置きがすでに長くなってしまいました。では、もう一度場面を広場に戻し...て、...?

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あら?...やっぱり、貴女ね!

実は、先程からお茶目な少女が笑いながらついてきます。

まるで彼女が「ねぇ、ねぇ、そろそろ始めようよ!」と、私達を誘いに来た感じですよね。

そうですよね♪ では歩き始めましょうか。題して「旅人のトレド」です。

帽子型のキオスコ

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丸屋根に日よけ雨よけがついた帽子の形がお洒落な「キオスコ」。古都の広場によく似合いますね。キオスコと言えば、こんな事を思い出しました。

ご存じかもしれませんが、スペインでは「雑誌はキオスコ、本は書店で」が基本です。以前、仕事で東京へ行くスペイン人にうっかりして「書店で」と言葉を添えず、専門雑誌を依頼した事がありました。

後で尋ねると、やはり彼女は書店に行く発想がなく、先に駅のキオスコを何カ所か廻ったとか。何だか気の毒なことをしてしまいましたお互い「ボタンの掛け違い」には、注意が必要ですね。

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ベンチの背もたれに座って熱心に読んでいるのは、購入したばかりのガイドブックかもしれません。

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男性が座っているすぐ後ろのベンチです。

ここでは母と子がお喋り。2人の和やかな雰囲気が、こちらにも伝わってくるようです。

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ところで、石造りのベンチに気がつかれましたか。

この背もたれの絵タイルには、トレドに縁のある小説『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』の挿絵が描かれています。

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サフランの小箱 (ドン・キホーテと従者サンチョの挿絵)

ドン・キホーテ(エル・キホーテ)とサンチョ。乾燥した褐色の大地を進む2人。

そして、巨人と思い込み風車に突撃する主人公は、もうお馴染みの人物ですよね。

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文豪 セルバンテスの彫像

広場からアーチを潜り階段を降りた場所では、ドン・キホーテの生みの親である文豪ミゲル・デ・セルバンテスの像が迎えてくれました。

ところでこのブロンズ像をご覧になってどんな印象を持たれましたか。

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像を眺めた感想と言えば、まず『ん...?』と思ってしまいました。

例えば、首のひだ襟から頭部までの大きさに比べ、首から下が縦に長く伸びているように見えませんか。独特な雰囲気を醸し出していたので、何故なのか調べてみました。

すると、この疑問に答えてくれたのが、2005年発行の地元新聞『ABC』でした。記事では、小説『ドン・キホーテ』の400周年出版記念行事に関連し、制作者である彫刻家オスカー・アルバリーニョ氏が以下のコメントを出していました。

「トレドを考える時、グレコを考えます。 ですから頭部を小さくし、長く伸びるグレコの手法で 一体のセルバンテスを考えたのです。 彫像はグレコへのロマティックな暗示です...」

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なるほど作風は、トレドで生涯を終えたギリシャ人画家エル・グレコですね。

確かに、上の写真の土産物店前にもグレコが描いた複製が見られるように、彼はトレドを象徴する一人と言えます。

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木彫りのドン・キホーテと従者サンチョ 。間にあるのは、ワイン等を入れる 革袋「ボタ」。

それから作品表現に関して次のようにも続いて述べていました。

質問「像は、物語の中で同行するサンチョと比べてより主人公エル・キホーテ似なのですか?」に対し、

従者サンチョと少年

従者サンチョと少年

アルバリーニョ氏「むしろドン・キホーテ、セルバンテスと エル・グレコのミックスです」

ホテル前に置かれた槍を持つドン・キホーテ像

ホテル前の槍を持つドン・キホーテ像

セルバンテスは、小説にも劣らぬ数奇な人生を送り、また何度も転居を繰り返した人ですから、彫刻家アルバリーニョ氏は、他にも存在するセルバンテス像よりも、「トレドの特色=グレコ」を醸し出すような試みをしたわけですね。

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像が立つ場所は、ソコドベール広場に通じる「アルコ・デ・ラ・サングレ門」を降りた場所。

ここは今も昔もトレドの人々や、旅行者などが頻繁に通る所でもあります。

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男性がちょうど立っているのは、その名も「ミゲル・デ・セルバンテス」通り。にこやかに笑う女性がセルバンテスに寄り添って記念撮影。

こんな風にセルバンテス像が地上に置かれ、人々に愛着をもって触れられたり、共に写真に収まって欲しいという願いが、彫刻家にはあったそうです。

思惑通りになって、本当に良かったですね!

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トレド・タホ川の眺め

さて、作家セルバンテスと画家グレコ。スペイン文芸の「黄金の世紀」に相当する16世紀後半~17世紀初頭に生きた2人に、ドン・キホーテが加わった像の目線を辿ると、セルバンテス通りのさらに向こう、眼下に流れるタホ川に向けられているのでしょうか。

三人のアルト笛

撮影場所にしばらく留まっていますと、声をかけてくる人や、記念撮影を頼まれたり、また「小さな出来事」に出会う場合があります。

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「アルコ・デ・ラ・サングレ」門脇の通り

これからお話するその小さな出来事とは、街行く人の流れが不思議とふと途絶える時がありますが、その一瞬をついてシャッター・ボタンを切った時、一人の少年が発する切ない声が聞こえて来た事から始まります。

その声の主は、すぐ横手にある楽器店からでした。

『どうしたのかしらね...あの子達』。

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先程、兄弟でいそいそとお店に入っていったものの、出て来た時にはすでに2人の雲行きは怪しげ。

新品のアルト笛を手にした兄に、『僕にもかして!』と訴える弟。

結果はこの通り、弟はしょぼーん。

どうやら楽器店前で待っていたのは、父親と待ち合わせだったようです。

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組写真「少子化時代の子供達」より

でも、3人が例の彫像辺りへ来ると父親は急に立ち止まって「かしてごらん!」と上の息子に笛を自分に手渡すよう促します。

最初は父親も息子達の前でお手本のつもりで始めたのでしょうが、いかんせん中々吹き終わりません。

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今度は上の息子が『あー、パパ!僕のなのに...』と、自分より父親に先に吹かれてしまい、買ってもらった喜びから一転して失望へ。

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つまりは、上の息子は父親に『僕の笛!』、下の息子は兄に『僕も笛!』

これ以上自分の気持ちをこらえきれなくなった弟。対して、互いに少し気まずい雰囲気とは言え、父親と上の息子は2人して坂を下りていきます。

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彼等の姿もだいぶ小さくなる頃、『どうしたかな…』と、案じておりますとやはり親子なのですね...。下の子の姿はすでにそこにはなく、後を追いかけて行ったようです。

3人のいなくなった街角を眺め、こちらもほっとした気分になりました。

商店街を歩く

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どうやらだいぶ彫像付近で時間を過ごしたようですね。それでは気分と場所を変えて、町の中心にある商店街に入りましょうか。

狭い通りに面した2,3階には、鉄の枠組みにガラスを嵌め込んだバルコニーが見受けられます。

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バルコニーから通りを眺める女性

もともと腰の位置までのバルコニーを、鉄枠とガラスを専門家に取り付けてもらいます。

共同住宅でも、個人の好みが出るところです。

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正面奥に、荘厳なるカテドラルの尖塔が見えてきました。少し曲がりくねった「石畳の道」は、古都らしく風情があります。歩く人は一瞬見上げて、「わぁ...」と、驚きの声が上がります。

それでは、お店を何軒か見てみましょうか。

街のショウウィンドゥ

旅先の商店街を歩く楽しみは、どんな商品があるのかや、「店構え」もありますね。

こちらは照明器具店、”Alvarez”(アルバレス)さんのお店。つい立ち止まってしまうのは、どこか懐かしさが感じられる店構えだからでしょうか。

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看板の文字は、蔦が絡まる様な動的リズムに、幾何学的模様のシャッターとの組み合わせ。さらに時の流れが加わって、お店の風格が出ていますね。

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そして...。観光地らしくインテリア・雑貨に土産物を扱ったお店。

ちょうど外へ出て来た女性は少女のお母さん。親子3代でお散歩を兼ねたお買い物の様子。

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夫婦共働きが多いスペインでは、朝夕の学校の送り迎えや、週末のちょっとした買い物の間、時間に余裕のある祖母・祖父が良く孫の面倒を見る姿を見かけました。

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大人の女性や少女にも一緒に覗いて楽しめるショウウィンドゥ。

それと...。少女のお目当ては、間違いなくお人形さんでしょうね。

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カテドラル方面へ、商店街の奥へと進んで行きましょう。

おや、BARの前で追い越していく2人がいます。

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化粧品店前で香水を眺めるカップル。

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商店街には、外壁のスペースを上手に利用した小さなサイズのショウウィンドゥがありました。

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こちらもです。ぬいぐるみと小さな紙袋の組み合わせ。

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トレドの工芸品、刃物を飾る土産店。

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マフラーや帽子の並んだ、こんな20世紀の懐かさが溢れるショウウィンドウを見つけました。

多分、お店に入ってみますと、店内は高い天井、それに薄暗い照明。木製の時代がかったカウンターがあって、勧め上手な女性店主が迎えてくれるはずです。

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こちらはユニフォームのセット。花柄のリバティ・プリントに襟や袖口は、清潔感溢れる帽子の色に合わせて白に。

笑顔の爽やかなスペイン人女性にとても似合うでしょうね。

「では、どんなお店のユニフォームなの?」と、聞かれそうです。

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ベーカリーに並ぶマサパン、ペストリー類

そうですね。例えば、パンやケーキを製造・販売するベーカリーでよく見かけます。ここでちょうどベーカリーの話題がでましたので、トレドの伝統的なお菓子をご紹介致します。

“Mazapán” 「マサパン」(前列中央と左側)です。アーモンド・プードルにお砂糖や卵白が入ったクリスマスの甘いお菓子として知られています。

このお菓子の起源は13世紀初頭、「イスラーム教徒によってトレドが包囲された際、人々は餓えに苦しみましたが、サン・クレメンテ修道院の尼僧が、食料倉庫にあったアーモンドと砂糖で作った...」という伝説があります。

マサパンの甘い味とは裏腹に、伝説では生きるか死ぬかの瀬戸際で生まれたお菓子だったとは...。

刺繍のお店のショウウィンドウから

美しい刺繍のお店を見つけました。

さて...。お店のミシンには縫いかけの布地。時間を遡ってみると、ミシンを踏む人の手を止めたのは、小さな訪問者かも知れませんね。今は、「母と娘の小さな物語」が展開中ですね。

刺繍を扱ったお店にいる母と娘

刺繍を扱ったお店にいる母と娘

スペイン刺繍は地方色や刺し方が豊富で、中でも16世紀以降、より力を入れてきた「トレド県の刺繍」は特に有名です。

トレド県ラガルテーラ村の刺繍(紙ナプキン入れ・刺繍部分)

トレド県ラガルテーラ村の刺繍 (紙ナプキン入れ・刺繍部分)

トレドの刺繍はステッチや様式が特徴的で、布地の縦糸や横糸を抜いて空間を作り、刺繍をする「ドロンワーク」又は、ヨーロッパ各地で見られる「ハーダンガー」の技法が見られます。

ドイツや北欧のハーダンガー刺繍

ドイツや北欧のハーダンガー刺繍

刺繍やボビンレースなど装飾された手作り品は、手間暇かかるので、それは「贅沢品」なのです。ですから各家庭では大事に保管されていて、家族が集まる特別のお食事の際に登場します。

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商店街から路地へ

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商店街を行く人の数が増えてきました。

ところで日本でも、スペインでも街を歩いていますと、どういう訳か犬に好かれて「ねぇ、遊ぼうよ!」と、寄ってきてしまいます。

いつも飼い主の方が、予期せぬ事態にあわてて「すみませ~ん♪」

別に犬に何もサインは送っていないのですが、何故でしょうね。

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トレドの商店街の雰囲気は、何となく掴めましたか。

それでは一旦ここでお別れして、路地に入って見ましょうか。

狭い路地裏での1枚

だいぶ前になりますが、ある国際アワードに「少子化時代の子供達」という題で組写真を出品した事があります。

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路地裏の風景

後ほどご覧頂きますが、その中の1枚をここで撮影をしています。

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休息のためテーブルで一息つくと、間もなく背後から少年の声が明るくすり抜けて行きました。

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彼はここで小さな妹と遊び始めると、顔なじみの近所のおじさんが、少年を見つけ噛んで含めるように\話し始めたのでした。

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おじさんのお話を聞きながら、相づちを打つ少年の様子は本当に「天真爛漫」そのもの...。

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何よりも、熱心に手振りを添えて話す大人、そして耳を傾ける子供の態度を久しぶりに見た気がしました。

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組写真「少子化時代の子供達」より

上の写真が組写真の1枚です。

ところで、帰国前にここを通りましたらお店は別の経営者に代わったのか、目の前のテーブルや黒板、アイスクリームのポスターもなくなり時の移ろいを感じたものです。

姉妹が遊ぶ広場から

さて、最初の休憩前の締めくくりは、組写真の中からもう1枚と、広場の様子をご覧下さいね。

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組写真「少子化時代の子供達」より

子供は自分の食事が済んだら、大人達の難しい会話を聞くよりもお遊びをする方が楽しいのは当然です。

早速姉妹の見つけた話し相手は、若いウェイターのお兄さん。

彼は、何枚ものお皿を腕に載せ、猫の手も借りたいぐらい忙しい...。でも2人の前を通る度に楽しそうに相手をしていました。

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談笑しながら広場に入るグループ

スペイン人は美男美女が多いと定評がありますが、実際の所、男女共に好まれるタイプとなると「好感が持てる人=性格美人」の方がむしろ人気があります。

小さな姉妹のように、幼い時から比較的物怖じせずに明るく、誰とでも触れ合える事もその要素の1つであり、ラテン系のスペイン人ならでは...かもしれませんね。

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昼下がりの広場では、まだまだ楽しい会話が聞こえて来そうですよ...。

休憩場所「花のテラス」へようこそ

さて、第一部が終了致しました。ご覧頂きましてありがとうございました。

このまま続けてご覧になる方、この先のお話を時間を置いて改めてご覧になる方、両方いらっしゃるかと思いますが、

ここで一旦「休憩時間」のご案内をさせて頂きます。

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こちら「花のテラス」で、気分転換をなさって下さいね。

最初にお知らせしたようにこの後もボリュームがありますので、テラスは後ほど、もう一度設けてあります。

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尚、恐れ入りますがいつものように「休憩時間」の長さに関しましては、ご自分で設定して頂きますようお願い致します♪

***   ***   ***   ***   ***   ***   ***

これよりお話を再開致します。またどうぞごゆっくりお楽しみ下さいね。

網目状の街 トレド

トレドの地図を見てみると、マスクメロンの外皮のように網目状の道が不規則に広がっています。

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ご覧のように町のちょうど中心部、丘の高い場所にはカテドラル(大聖堂)やその尖塔、それから丸屋根の寺院が集中しています。

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坂道の多い旧市街は、歩くのも大変。

それでも一息ついた小さな路地から、絵はがき風に切り取られた「中世の風景」が急に目の前に現れると、一気に疲れも忘れその景色に引き込まれてしまいます。

歩いていて路地からひょいと顔を出すアルカサール(王宮)や、寺院の眺めも、古都トレドの魅力の1つです。

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例えばこんな場所からです。ここは、町の東に建つアルカサールからほど遠くない小さな広場。

ホテルの看板越しに見えたのは、中心部に建つ寺院の1つ、「サン・イルデフォンソ教会」。

看板の後ろ、対になった塔や丸い黒屋根をご覧になれますか。あれは、スペインでも重要なイエズス会教会の1つです。

それでは、もう少し近くに寄ってみましょうか。

サン・イルデフォンソ教会

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ご覧になっているサン・イルデフォンソ教会は、立派なファサード(正面)ですね。建立には16世紀後半から18世紀までおよそ150年費やしています。

この教会名になっているサン・イルデフォンソとは、7世紀後半のトレドの大司教の名で、またこの町の守護聖人でもあります。

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またファサードですが、装飾に凝っており、典型的なバロック様式のイエズス会教会で、特徴的な大きな窓、柱頭に装飾のある石柱、聖人達や背後のニッチ(窪み)が配置されています。

カテドラル付近を歩く

次にご案内するのはトレドのシンボルの1つ、カテドラルの尖塔ですが、先に市街の路地から眺めて見ませんか。

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この一際高く聳える風景を眺めると、260年以上建設に費やしたカテドラルが15世紀末に完成した際、町にすでに存在していたイスラームのモスクや、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)など町のその他の寺院を凌駕し、その姿にいかに人々が驚嘆したか想像できますね。

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そしてこちらは、ソコドベール広場から発車した観光用の汽車型乗り物「ソコトレン」。

町やタホ川の向こうを一巡りして、最後の見所「カテドラル」の塀に沿って入って来ました。路上をソコトレンが走ると、通りの土産店を覗いていた観光客も「おっ、何だ?!」と振り向くやいなや、

観光用の車と認めた途端、相好を崩して乗客に手を振るなど、急に周囲が和やかな雰囲気に変わります。

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このような乗り物は、訪れた町で時間があれば乗車すると楽しいですね。地元のお勧めルートで見所も余すことなく、何よりも効率的に「土地勘」を得るには意外と良い方法なのです。ちょうど目の前を通っていくソコトレン。運転手さんは慣れたもので狭い石畳を上手く通り抜けて行きます。

そして楽しげな乗客を見送り、道の角を曲がりますと...。

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見えて来ましたね、カテドラル。

目の前の通りがちょうど正面にあたります。

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ところでトレドでは、とても有名なお祭りが催されるのをnご存じでしょうか。

毎年5月から6月に行われる「コルプス・クリスティ」(キリストの聖体祭)です。この聖体祭りでは、上の写真の様にミサの後、行進する順路の上に日よけが掛けられ、また街は美しい花や織物で飾られます。

重要なお祭りですので、スペインのテレビでも毎年その様子を中継していた記憶があります。

門の名前あれこれ

カテドラルには西側に位置する立派な正面の門があります。でも北側の小さな通りの奥にも古い門がありますので、そちらを廻ってみませんか。

この門をご案内したかったのは、幾つもの名前がつけられているからですが、最初にどの名前からご紹介したらよいのか実は迷ってしまいました。

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まずは「時計の門」からです。この時計は、およそ200年ほど前に設置されたものですが、文字盤に目を凝らして見ますと、実は針は1本だけ。世界的にも数少ない1つなのだとか。

2番目の名は、昔、”Feria” (お祭り) の際に、行列がここから出発した事から「お祭りの門」。

まだまだあります。実は門の前の通り名から、”Chapinería” 「チャピネリアの門」。「チャピネリア」とは”Chapín” 「チャピン」と呼ばれる靴を製造販売するお店のことなのです。

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チャピネリア通り

このチャピン、かわいい名だと思っていましたら、16世紀に流行した女性靴でした。この奥の坂道には製造販売店が並んでいたのですね。

ところでその靴の形、気になりませんか。

そうですね。ご説明すると、上げ底部分がコルクで、その上にサンダルが載った形をしています。n「西洋ぽっくり」の表現で良いのかしら...。当時の女性はこの靴で背を高く見せたり、また歩く際の「泥はねや汚れ」対策に履いたようです。

さて、幾つもの名がつけられた北側の門。現在でもトレドの人々からそれぞれ愛着を持って呼ばれている事でしょう。

サント・トメ教会

「寺院の最後は、サント・トメ教会をご紹介...」と、言いかけて先にBARの前の赤いお人形に目がいってしまいました。

少しお話が脱線しますが、スペイン・ビールのお話を少しだけ...。

この人形は、ビール・メーカー”Cruzcampo”「クルスカンポ」のマスコット”Gambrinus”(ガンブリヌス)。ヨーロッパでは伝説的英雄で、ビールの肖像として使われます。

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このビール・メーカーはもともと南部アンダルシア地方にあって、セビージャ(セビリア)の町辺りでは、「ビールと言えば、クルスカンポ」と、BARの看板にはクルスカンポの文字や、人形の絵が目に入り、旅情を感じたものです。

しかしこのクルスカンポも、その後´90年代にはギネス、2000年にはハイネッケンの傘下となり、スペインのビール市場も様変わりし、現在に至っています。

さてお味の方はと申しますと、暑い地方には似合う、喉越しが爽やかなビールです。

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調子に乗って、もう1つのビールをご紹介しますね。

トレドのBARには、マドリードのビール”Mahou” 「マオウ」を扱う看板も掛かっています。クルスカンポと比べて香りも味もしっかりしている「マドリードっ子の愛するビール」と言えます。

以上、2つのスペインでの代表的ビールを挙げましたが、嗜好品ですから味に好みはあるものの、その土地の気候や、お料理に合った伝統的な味は、残していって欲しいですよね。

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すっかりBARの前で立ち話をしてしまいました。

上の写真の中で、サント・トメ教会が何処にあるか、もう見当がつきますよね。そうです、道の左手奥に見える高い塔です。

装飾的なイスラームの芸術と、キリスト教建築が融合した「ムデハル様式」のトレドらしい建造物の1つです。

この教会は独特な建築様式の他、画家エル・グレコによる世界的な名画『オルガス伯の埋葬』を所蔵しており、世界的に有名な教会でもあります。

さてここから先のお話ですが、この絵画についてご存じの方も多いでしょうから、その解説は割愛させて頂いて、オルガス伯に関連するお話を進める事に致しました。

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サント・トメ教会の外壁と土産店

この絵画の題名になったオルガス伯(爵位の授与は16世紀になってから)とは、ドン・ゴンサロ・ルイス・デ・トレドのことで、”Orgaz” 「オルガスの町」の4代目領主でした。

この4代目領主が亡くなられたのは、エル・グレコが絵画を制作した1580年代後半よりもずっと以前、それよりも250年以上も前の1323年(一説には1312年)だったのです。

彼の人物像については、13世紀後半、カスティージャ王の宮廷に於ける大きな国家行事の公証人や、またトレドの代官を務める傍ら、

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老朽化したこの教区教会の再建費用の拠出、教会や修道院の創設をするなど宗教心と政治的大志が結びついた「中世の騎士」として生きた人でした。

慈善家として知られている彼の遺言書の中には、領主であったオルガスの町から毎年、この教会の祭事を祝う為にワインや薪、家畜や貨幣などを、聖職者や貧しき人々へ寄付をする指示が残され、彼の死後250年もの間ずっと続けられたと伝えられています...。

オルガスの町

では、領主であったオルガスの町がどんな町なのか、古都を抜け出してお散歩に出かけてみませんか。

オルガスは、トレドから南へ30㎞程離れています。まずは周辺の景色をご覧下さい。

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辺りには牧草地や畑が広がり、初夏であれば美しい緑の風景が見られます。東西には「トレド山地」があって、町はちょうど麓の辺りに位置しています。

下の写真では、V字状の道の奥に収まっているのがオルガスの町です。町の主な建物には、お城や闘牛場、中心にはスペイン・バロック様式の教会、礼拝堂や18世紀の小さな病院があります。

かつてイスラーム教徒が統治していたアル・アンダルースの領域であった頃、周囲には城壁が巡らされていましたが、現在では2つの門だけがその名残をとどめているのみです。

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またこの町は、「オルガス伯」縁の地の他に、歴史映画で有名なある人物に関係する町としても知られています。

誰かと申しますと...。「´60年代の歴史映画」、「スペインの英雄」、「中世」と言えば、映画好きな方なら”El Cid”「エル・シド」と、来ますよね。

確か映画でのキャストは、ソフィア・ローレンが、妻のドーニャ・ヒメーナ役を、チャールトン・ヘストンが、エル・シド役を演じていましたね。

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では、このお二人と町の関係とは、町の歴史に関する「稀覯書」(きこうしょ)等によると、ドーニャ・ヒメーナはこの町で誕生し、またエル・シドは、アルフォンソ6世によって1085年にトレドを奪還後、オルガス最初の城塞主として称号を授与されたと伝えられています。

お話している間に町に近づき、ようやく入り口にある門の前に到着致しました。

アーチ越しに見える教会の周囲には、ラ・マンチャ地方の典型的な家並み「2階建て、漆喰壁、鉄格子付きのバルコニーや窓」が続きます。

一見通りからは、シンプルで質素に見える外観ですが、内側には、トレド風の柱で支えられた回廊付きパティオ(中庭)が備わっています。

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また、奥に見える教会は、17,8世紀のスペインの装飾的な「チュリゲラ様式」を創出した建築家・祭壇彫刻家の1人、アルベルト・デ・チュリゲラの設計です。

マドリード生まれの彼が、スペイン最古の大学都市「サラマンカ」のマジョール広場などを手がけた後、この町に落ち着きますが、完成を見届けずにこの地で生涯を終えています。

この教会近くに佇んでおりますと、建設の為に見知らぬ地に長期間逗留し、また次の地へ赴くという当時の建築家の人生を垣間見た思いでした。

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さて...。チュリゲラ氏によるこの教会を撮影しようと、町の目抜き通りに立ちました。

『数百年間、家並みも教会もほぼ変化する事のない佇まい...』と、真摯にカメラを構えファインダーを覗くのですがどうも今一つ「ぴたっ」と景色が収まりません。『どうしてかしらね。うーん...』と、首を傾げます。

その原因を考えている間、納得いかない私の姿を目撃していた人がいたのです。近所のおじさんです。先程から家から出たり入ったりしていましたが、意を決してこちらへ近づいて来たのでした。

町のおじさん 「やぁ!何撮っているの?」

私はその質問に直接答えずに、

「こんにちはー♪ 今、迷っていると・こ・ろなんですよ。教会に垂直を合わせると、道路が斜めになる。で、逆に道路に合わせると今度は教会がねぇ...」

町のおじさん 「あはは...。じゃぁ、君が斜めになってみれば?」

...ですって!可笑しいですね。これは一本取られてしまいました。ユーモアたっぷりのこのおじさんは、教会方向へ明るく一瞬手をさっと挙げ、歩き去っていきました。どうやら町の人は温かく迎えてくれたようです。

ところで上の写真、「オルガス版ピサの斜塔」には、なっていませんよね。

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今度は町や周辺を一望できる峠にやって来ました。あらら、だいぶ町が遠くなってしまいましたね。

とは言え、「トレドはどの辺り?」と、どうぞ探さないで下さいね。残念ながら、左奥の山並みを超えた更に向こうですのでここからは眺めることが出来ないのです。

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次に、今立っている場所を振り返って峠の反対側を眺めてみましょう。すると向かって左手、南東へ25㎞先の丘の中央には褐色の古城とその両脇に点々と白い風車が数基並んでいますね。

は、現在あの丘の向こう側にはスペインの首都マドリードから南部地方へ延びるアンダルシア街道、(又は高速道路「A-4号線」)が左右に走っています。マドリード~アンダルシアを車やバスで旅行の際は、必ず利用する道です。

ところが昔、南部へ旅するには、現在の高速道路よりも西よりのルート、つまり古都トレドからこのオルガスを通っていた時代が何世紀も続きました。古くは中世のイスラームの遠征軍が戦いの為に南部から、またキリスト教徒の騎士団がその逆に...と言う風にです。

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風車のある峠

その後16,7世紀に生きた作家セルバンテスの人生に於いて、スペイン南部や中央部都市へと何度も転居していることから、この風景を眺めながら馬、又は馬車、時には下馬して旅を続けたのではないでしょうか。

南部都市セビージャまでトレドから450㎞。道中何も起こらなければの話ですが、10日の行程です。上のような人里を離れ、悪路で人気のない場所を歩くのはさぞ大変な旅だったに違いありません...。

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峠の風車

4月から5月。風車の建つこの峠からの景色は、大地が一面二色の世界となります。葡萄の苗木が植えられた赤い大地では居とまなくトラクターが往復し、

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また勢いのある雲の群れが大地に強い陰影を作り上げ、

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時折吹く風は、麦の穂を揺れ動かし、麦畑を青いさざ波に変えていきます。

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ところで...。一昨年に日本へ帰国後、お店で何のきなしに手に取ったオリーブ油のボトルを見ておりましたら、

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産地がオルガスのちょうど隣の町である事に気づき、懐かしさで胸が一杯になりました。

峠の風車や、そこから眺めた隣町のオリーブ畑、町外れの岩山に建つ小さな礼拝堂の景色が、このラベルの上で広がっていくようでした。

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スペインのオリーブ油は、アンダルシア地方のハエン県産が定評がありますが、このラ・マンチャ地方トレド県産もとても好きなオイルの1つです。

またこのお話を書いている最中に、伝統的保存食「チーズのオリーブ油漬け」がぱっと頭に浮かびましたのでご紹介します。

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このレシピは、スペインでは「頂き物や購入したチーズが重なって!」と言う時、ラ・マンチャ地方の羊のチーズ”Queso Manchego” 「ケソ・マンチェーゴ」で作ります。

トレド県のチーズ販売店。その他、油漬けのチーズやワイン、生ハムも販売。

トレド県にあるチーズ販売店。チーズの他、油漬けのチーズやワイン、蜂蜜、生ハム等を販売。

作り方は、半熟成したチーズ外側の堅い部分を取り去り、やや大きめのサイコロ型に切ります。ジャムなどのガラスの広口瓶に入れ、オリーブ油を口まで注ぐだけ。お好みで漬ける際に香り付けに、生の枝付きローズマリーを入れても...。

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分量は、チーズ100gに対して油は100ccの割合。冷暗所や冷蔵庫に入れて保存し、2ヶ月過ぎた頃から召し上がることが出来ます。

オリーブ油のしっとり感と香りが、チーズと相まって、また違った雰囲気が楽しめます。コツは共に、上等なチーズとオリーブ油を使用することです。

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でも考えてみますと日本では、中々輸入物のチーズやオリーブ油で大量に漬け込む勇気は、やっぱり出来ませんよね...。

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ラ・マンチャ地方のチーズ「ケソ・マンチェーゴ」のオードブル (テーブル中央)

では、オルガスのお話はこの辺でトレドへ戻ることに致しましょう。

休憩場所は「花のテラス」で

第二部が終了致しました。ご覧頂きましてありがとうございました。

ここで再び「休憩時間」のご案内をさせて頂きます。

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古都トレドを少し離れて、郊外の町オルガスや峠での気分転換は出来ましたでしょうか。

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この後は街で働く人々や、旅人の姿、ちょっと気になる街角の風景やトレドの工芸品についてお話していく予定です。

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トレドに戻って

再びトレドの古都らしい街並みからご覧下さいね。

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そして下の写真は、小道から眺めたアルカサール(王宮)の塔です。

広場や路地からたまに顔を出す町の風景は、すでにお馴染み...。「トレド名物」と言っても、過言ではありませんね。

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「左右には段差のついた軒下。その僅かな空間を縫うように、空に向かい尖塔が聳えている」。

こんな眺めも一瞬、ここを見上げて歩いた人へのちょっとした古都からの贈・り・物です。

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さて、トレドの街並みに再び慣れて頂いたところで、

ここからは第一部と同様、街で出会った人々の姿や風景を様々な視点でお楽しみ下さい。

まずは、小さな姉妹とBARの青年がいた広場からです。

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ボンベを配達する男性。

ブタン・ガスを運ぶ際は、カートで運ぶだけでなく、片方の肩の上にひょいと1つ載せ、もう1つは反対側の手で運ぶ強者も良く見かけます。

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廃材用バケツの中で、真剣な眼差しで作業をする男性。

広場は、BAR& レストランのテラスや土産店などが建ち並んでおり、日中は人通りが多い場所です。

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見回しましたら、一角にある建物がネットに覆われて修繕中でした。

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古い家屋を梁で支える風景

ところで、トレドは旧市街全体がユネスコの「世界遺産」に登録されています。

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古い都を歩いて、あちこちで建物の修復工事が行われているのを見かけます。

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例えばこちらの家は、只今改装中。3階のバルコニーから見る景色は、どんなでしょうね。

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一方、こちらは袋小路にある伝統的な家。数年前に修繕工事が終わった感じを受けました。

漆喰壁。バルコニー。鉄格子...。何処かで出た言葉と思いましたら、オルガスの町の様子と同じ。

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他にも、両脇の装飾された古い石柱に合わせて、扉を造った例です。

アレンジ方法にもパターンが幾つかあるのでしょうけれど、通行人が見ても楽しい風景でした。

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アーチがそのまま保存された玄関。こちらは扉の四隅には模様入り。

旅の「奥行きが広がる」楽しみ方

それから、時代がかったこんなお店も見つけました。でも、昼休み時間のせいかは不明ですが、ひっそりとしていて、扉が閉まっておりました。

ベージュ色に上塗りされた外壁に、1930年代を彷彿させる古い電話用ケーブルに数個の碍子...。

もう一度、見上げてゆっくりと眺めてみます。

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残念なことに街中では、時代と共に忘れ去られる古い建物の前を気も付かず、通り過ぎてしまいがち。

けれども、このお店の看板のようにもう一歩踏み込んで興味を持つと、「旅人のトレド」も、ぐんと奥行きも広がり印象が変わってきます。では手始めに、看板の文字を読んでみましょうか。

ええと...。「ワインとビール 革袋職人の支店 」と、書かれていますよ。どんな革袋かご存じでしょうか。

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ちょうど手元にワインの紙箱の挿絵がありますのでご覧下さい。これが”Bota”(ボタ)、又は”Pellejo”(ペジェホ)で、ワインや油などを入れる革袋です。

一般的に素材は山羊を使用し、大きさも山羊の首から下を縫い合わせ、防水加工した大容量のものや上の絵のような携帯用サイズがあります。

ですから、この古い看板のお店は、皮をなめし、袋に仕立て、販売するお店なのですね。

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携帯用のボタはお祭りの際、家族や友人達が革袋の口元から離して互いに回して呑む姿が見られます。

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ワインの入った革袋「ボタ」を手にする女性(右端・マドリードの祭り)

実際お祭りの取材現場で、ボタに入った赤ワインを何度かスペイン人から、「振る舞い酒」の如く勧められ困ったことがありました。

口元から10~30㎝も離して呑む芸当に、「こればっかりは勘弁!」と言うと、大抵周囲の人達に大笑いされてしまいます。

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「ボタ」からワインを呑む女性 (マドリードの祭り)

今度は革袋のワインに関連して、美味しそうな食材が並ぶレストランのショウウィンドゥを眺めながら、この地方の郷土料理のメニューに良く載る”Migas Manchega”「ラ・マンチャ風ミガス」についての説明を聞いて下さいね。

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レストランの窓越しに並べられた食材 (トレド市内)

ミガスとは、堅くなったパンの再利用した料理です。

細かくした後塩水で戻し、それにガーリック、チョリソ(腸詰め)、バラ肉、ピーマン類を、オリーブ油でフライにした、それはとても腹持ちの良い料理です。

さて革袋入りワインと、ミガスの説明が済んだ所で、今度は農家の人から直接聞いたお話を始めますね。

夏も冬も、共に厳しい気候で知られるラ・マンチャ地方は、特に冬の時期は凍てつく寒さになります。

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暗い中から畑へ出て、日の出の時刻になるとようやく朝食。過酷な環境下で寒さに打ち勝つ為には畑で食べるのは朝からミガス、そして飲み物は革袋入りのワインだったそうです。

そして現在のラ・マンチャ。ある冬の午前6時前に車を走らせると、ライトの光りが目に入って来たのです。

それは、まだ夜の暗さが残る空の下、畑で稼働するトラクターのライトでした。外気温を見ると氷点下6度、農家の人のお話が思い起こされた一瞬でした。

街の一枚の古看板...。そこから広がったお話によって、「旅人のトレド」は、更に印象が深くなったでしょうか。

日常のお買い物

さて、次に行きましょう。

ソコドベール広場は言わば旧市街の玄関口のような場所。

そしてこのマジョール広場は、カテドラル(大聖堂)のすぐ隣にあり、奥に見える市場や、その周辺の通りからは庶民的な香りが漂ってきます。

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“Teatro” 「劇場」前に座って談笑するトレドの青年達。

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午前中の爽やかな光が差し込むのは、市場へと通じる通り。市場はちょうど突き当たりです。

おや、左側の魚屋さんのご主人、お店の外に出て来ましたね。昼食がメインですから、買い出しは午前中が賑わいますが、ちょうど一息ついたところなのでしょう。

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通りの反対側、手芸品店へ入る母と子。

開けたドアからは、お店の人の声と共に、2人の歩く靴音が聞こえてきませんか。

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こちらのお店は「漬け物屋さん」。店頭で働く青年の足下には、おねだりする猫。

ピックルスなどを扱うお店は、漬け込む香辛料の香りと相まって独特の香りがします。

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オリーブの実を売る屋台の漬け物屋

種付きの黒いオリーブの実、緑、紫色、種を抜いた中にアンチョビや赤ピーマンが入るなど様々。

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市場までの細長い通りには、べーカリー、靴店、インテリア&雑貨、衣料品、宝石店...が建ち並び、一通り何でも購入する事が出来ます。

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市場前の掲示板を眺める人々。

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日本でしたら町会の掲示板に相当し、中には訃報も。

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階段前の2人。婦人達はひとしきりお互いの近況報告でしょうか。

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入り口に置かれたロッカーとショッピング・カート。

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市場のお店の経営者達。

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市場では、陳列された色鮮やかな旬の物を見るのは楽しいものです。でも、お買い物をする場合は、特に午前中はお客が集中するので、「比較的余裕のある時」に限ります。

売る側も買う側もマイ・ペースですし、また「少量を多種類買っていく人」も多いので、辛抱強く順番を待たなくてはなりません。でも、「お互い様」が暗黙の了解となっています。

特に下ろす、さばく作業のある肉、魚屋さんは、上手にお店を廻らないと、半日があっという間に終わってしまいますけれどね。

町の南東側 タホ川を望む地区

市場周辺を見学をした後は、町の南東側に位置するタホ川を望む展望台がある地区へ行ってみませんか。

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旧ユダヤ人街であるこの辺りは、エル・グレコ美術館があるせいか、土産店のある細い道には、時折土産物に目をやりながら賑やかに会話をする声が響きます。

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この通りではちょうど新しく水道管を埋設し、敷石を元に戻す作業をしていました。

働く姿と一緒に背後の石造りの家にも目がいきました。昔はどんな人達がこの家に住んでいたのでしょうか。

タホ川を眺める

長い街歩きとなってしまいました。だいぶお疲れになった事でしょうね。

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でも、やっとタホ川の展望台に到着しました。

この展望台は町の対岸から見てみると、右手の街並みの先辺り...。

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今日ずっと辿ってきた中世の佇まいや寺院群の風景、また賑わいのある商店街の人波に興奮冷めやらぬ気持ちが、タホ川が流れる雄大なパノラマを前にすると頭の中がすっきりとして、清々しい気分に変わります。

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対岸に見える19世紀半ばの礼拝堂が、午後の光に覆われる頃、少し腰を掛けていると心地良い疲労感もあって、微睡みそうになりますね。

さて、タホ川を見下ろしてみます。

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悠々と流れる眼下の川から、今度は逆にその目線を斜面の岩山の上に立つ自分の足下にゆっくりと戻していくと、確かに「自然の要塞」、「難攻不落」の場所にトレドの町はある...と、改めて納得するはずです。

トレドの工芸品 刀剣と甲冑

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川の眺めは如何でしたでしょうか。

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トレドの工芸品である刃物・象嵌細工を販売する土産店

さて、お話もだいぶ長くなりましたので先を続けるのを迷うところなのですが、

やはりトレドの有名な伝統工芸品についてお話をせずに第13話を終えてしまうのは忍びなく、もう少しお話を聞いて頂こうと思いました。

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トレドの伝統的工芸品にはタラベラ陶器の他、「刀剣」、「刃物」、「甲冑」、「象嵌細工」の専門店や土産店が町のあちらこちらに点在しています。

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その中から、ここでは「トレドの刀剣」と「象嵌細工」に的を絞ってお話を致します。

まず刀剣についてですが、例えば古代ローマ帝国、初代皇帝アウグストゥスの治世に生きた詩人Grazio Faliscoは作品の中で「トレドの本物の短刀を腰につける...」と、書かれているほど、非常に歴史が古いのはご存じでしたか。

またトレドの刀剣の名声は、刃の堅さや刀のしなやかさだけでなく、美装が施された芸術品としても知られています。

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刀剣のあるショウウインドゥ

現在お店で販売されているのは主に観光客用の複製ですが、その中にはアーサー王伝説のエクスカリバー、グラナダ王国最後の王ボアブディルの剣、エル・シドのラ・ティソーナの名刀などの剣やその他サーブルが飾られています。

トレドの象嵌細工「ダマスキナード」

もう1つ、街のお店で刀剣と共に必ず目にはいるのが”Damasquinado”象嵌細工「ダマスキナード」です。もともと刀剣や甲冑などを装飾する目的で始まりました。

この工芸品の制作についてごく簡単に幾つかの行程をご説明すれば、

「金属製の板などに丹念に溝を作って、そこに金や銀糸を嵌め込み、隙間を槌で閉ざしていく。次に黒い色調にする為、火にくべた容器に入れ酸化皮膜で覆い、...」と、実に根気のいる仕事であり、またスペインの重要な伝統工芸です。

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トレドの象嵌細工「ダマスキナード」。ルネサンス柄の髪留め。

訪れた工房は、タホ川の展望台近くですが、あいにく昼休みでどなたもいないようです。でも折角ですから、道具類を是非拝見させて頂きましょうか。

まずは、三角形の木の台座の上です。鋳鉄のどっしりとした丸いボールと、上の台には、制作中の細工物が載せられているのでしょうね。

他には、長年使用されてきたコンパス、定規やビュラン(彫刻刀)...。金糸か銀糸の糸巻きも見えますね。

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お昼休みが終われば眼鏡の主人である、ダマスキナードのマエストロが叩く、槌の音が再び響いて来る事でしょうね。

眼鏡や手前のメモと道具以外、全く余分な物が置かれていない仕事机は、トレドの何世紀も変わらぬ工房の風景を見た思いでした。

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ところで、ダマスキナードの起源が、「かつてシリアのダマスカスからイスラーム教徒によって伝わったとされる工芸技術」という事は広く知られていますが、残念なことに現在、スペインのダマスキナードの存続に関する問題が発生している事はまだ余り知られていません。

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存続に関する問題は2つありますが、1つは売り上げが大幅に減少した事です。対策としてインターネットを通じて販路を拡大する試みもされています。

もう1つは、深刻な後継者不足の問題です。ダマスキナードは、次世代から次世代へと伝えられていくスペインの誇る伝統工芸です。

しかし制作に当たっては、伝統的技術の習得に長い月日もかかり、その作業は非常に緻密な為、強い忍耐力も要求されます。芸術学校もあるのですが、まだまだ後継者としての人数が不足し、また中々「育ちにくい」と言うのが現状のようです。

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トレドの象嵌細工「ダマスキナード」。アラベスク模様の髪留め。

上のバレッタ(髪留め)は以前、たまたま仕事の打ち合わせで利用したマドリードのホテルで購入したものです。ラウンジから玄関へ出る途中のお店に飾られていた美しいアラベスク風模様にふと引き寄せられてしまいました。

また装飾以外にも惹かれた理由として、黒髪の、そして金髪のどちらの女性にも似合う色調はもちろんの事、何よりもこのバレッタを通して制作に携わった工芸家の気持ちが心に伝わったからだと思っています。

今回、トレドをテーマにして、バレッタを撮影するにあたり感じたことは、制作の仕上げの時のマエストロの言葉、「模様に命を与える」でした。

これからもトレドの各工房から、槌の音が聞こえ続ける事を願っています。

坂道での2つの世界

旧市街の道は石畳が多く、その為足裏からでこぼこ感が伝わり、長い時間歩いているとつらくなります。

「旅人のトレド」の終わりは、ソコドベール広場から下り坂を降りた「太陽の門」迄お付き合い下さいね。

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この旧市街から下界を結ぶ坂道は、眺めもよいことから、誰でも一休みしたくなる場所です。

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降りていく途中、スペイン人の若者と年配の2組に遭遇しました。下の作品は、ちょっと不思議な思いで撮影した1枚なのです。

そこには「時も、場所も同じ」という以外は、それぞれのグループが全く別の世界で生きている事が如実に表われていました。

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「説明不足で何の事だか...」と言う声が聞こえそうです。そうですね...。では、次のように情景を2つに分けてご覧になって見て下さい。

まず1枚目です。若者だけの写真にする為、貴方(貴女)の手を使って手前のご年配の方々に一時的に隠れてもらいましょう。トレド観光の帰り道、楽しそうに記念撮影をする現代の若者達が見えます。如何でしょうか。

そしてもう1枚は、逆を行えばよいわけですね。

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ご年配のグループの写真を、あえてセピア色に調色をしたのには理由があります。それは20世紀前後の「スペインの写真集」から抜け出だしたような生きる厳しい眼差しや、きちんとした服装を見たからです。

1枚の写真で、「2つの写真が重なり合って見える」。スペインの人々の変遷が感じられたのも、昔の景観が良く保存されている古都トレドだからではないでしょうか。

トレドの思い出

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外灯が灯る頃。歩く歩道の横を走り抜ける車の数も、まばらになりました。

今回は街角のトレドでお話をしながら様々な見方でご一緒に廻りましたが、「トレドの一日」を、この父娘のように満足して頂けましたでしょうか。

そして「旅人のトレド」、どんな印象を持たれたでしょうか。

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実際トレドを廻った旅人としては、古都の全景が見える場所からはもちろんのこと、街中を歩いた後、現代的な物に対する印象が、心の中で綺麗に掻き消されてしまう程の長い歴史の重みを感じました。

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そして歴史という名の地層の上に、日々新たに積み上げていくトレドの人々。

未来のトレドがどんな姿を見せてくれるのか、また訪れてみたい気持ちにさせる魅力ある古都でした。

本日ラストの写真

本日ラストの写真は、この父娘がちょうど歩いてきた場所、13世紀に建造されたムデハル様式の「太陽の門」をご覧になりながらここでお別れしたいと思います。

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古代ローマ帝国の時代から、重要な都市であり、また首都であったトレド。

この「トレド」があるからこそ重要な場所になったあの都市へ「道」は延びているのです...。

この度も、最後までご覧下さりどうもありがとうございました。

どうぞまたお待ちしております♪

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