第12話 光の野外美術館

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寒い季節の「光の美しさ」

2月も終わりになりそろそろ本格的な春が待ち遠しくなる頃ですね。

ところで1,2月の寒い季節の風景と言えば、やはり殺風景と思いがち。

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ところが良く晴れた日には独特の柔らかな光が加わり、表情豊かな風景に思いがけなく出会えることがあるのです。

そんな訳で寒い季節の光を生かした、身近にある風景を作品にしました。展示場所はこちら、ちょうど貴方の目の前にある「光の野外美術館」です。

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それから「トレド・後半の旅」につきましては、次回にまたゆっくりとお話し致しますね。

では、展示は「池」から始まります。どうぞごゆっくり...。

池の冬色

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静まりかえった池の畔で目にしたのは、柔らかな光があたる羽毛の船...。

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泥や傷がついた葉が、仰向けになってゆったりと浮かんでいます。

この葉は、空を大きく舞った後、何処かで寄り道でもして来たのでしょうか。

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清水が湧く池は澄み渡り、水鏡に映るは、天空の色。

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池の淵に姿を表す深緑の林。

揺れる水面に蝶が舞い、花咲く春色に見えるのは、澄んだ水と空気。それに光の戯れのせい。

良く磨かれた水鏡は、この季節からの贈り物。

昼の光は宝石の輝き

「小さな林」の斜面で、何本かの幹に絡まっているキヅタ。

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つい先程まで影になっていた葉が、今はエメラルド色に輝いています。

この時期は太陽の南中高度がまだ低く、林の中で繰り広げる世界では、光が影に、また影が光になる現象が思った以上に速く感じられるはずです。

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こちらは、木漏れ日の中で輝く木の実。

ハンガーのような枝から下がる小さな赤い宝石。時折吹く微風に僅かに体を皆揺らしています。

この心地良い光景に「春の到来?」と、ふと期待しそうです。

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一方、木陰の中では...。

華やかな3つの丸い粒。色合いはルビー、それとも赤珊瑚。まるで宝石をあしらった首飾りのような美しさ...。

足もとの風景

さてここからは、「足もと」に広がる3つの風景をお楽しみ下さい。

展示作品は地面となりますから、少しの間どうぞお足元にご注意下さいね。

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最初は、「足下」の風景から。

真昼の光の中で赤茶やベージュ色、そして白い枯れ葉が輝き、まるで「鳥の羽根」のよう。

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そしてこちらが楓の今の姿。紅葉の季節には、鮮やな色を披露してくれましたね。

あれから知らぬ間に葉は枝から離れ、装いを上品な冬色へと替えていました。

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こちらは小さな春のお知らせ。

音も立てずに枯れ葉を押し上げているのは、「イヌノフグリ」の小さな葉。

この花の季節は3月頃から。

開花すると辺り一面、絵筆でピンクや青紫の無数の点々を入れたような小さく可憐な花が見られます。

子供達の午後

「足もと」の世界ではもう1つ、小さな出来事に遭いました。

午後になり地面へカメラを向けていましたら、お散歩に来た母と子が声をかけてきました。

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お二人は、私が地面を楽しんで撮っているなんて不思議に思ったのでしょうね。

「何を撮っているの?」と...。

その問いかけに微笑みながら「葉っぱですよ!」と、答えました。

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実は今、ご覧になっている上の「葉っぱの集合写真」には、飛び入りの葉を1枚加えてあります。

左側、黄緑の葉がそれで、会話を交わした後息子さんが近くで見つけ、「はい!」と、手渡してくれたのです。

その時の、まだ小さな手が印象的でした。

「どうもありがとう...ね♪」

枯れススキ

午後の日がだいぶ傾き、人影も少なくなりました。

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曲がりくねった小道の奥にはススキがちらほら残っています。

秋には「風流」と感じたのに、季節は過ぎしらけて見えるでしょうか。

ひょっとしてカメラの力を借りれば、別な印象を持たれるかもしれません。

では!

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どうでしょう...。

ススキは光や風によって、姿が自由自在に変化します。背後の穂を例えると、華やかなライトを浴びて踊る「ダンサー」にも見えます。

ところがこの「枯れススキ」、暗がりで出会えば「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うように、多分『どきーん!』とするはず...。

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更にもう少し近寄ってみませんか。

午後の光をたっぷり浴びた1つ1つの種子は、こちらに向かって飛来する「黄金色に羽ばたく虫」。

こうしてみると今更ながら、人が物に抱くイメージとは、周りの状況次第で色々と変化するものですね。

翡翠(ひすい)色の鳥

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斜光によって樹木の幹が立体的に浮かび上がる頃、冷気が頬や靴底からもひんやりと伝わって来るようになります。流石に日の光が暖かく感じるのも、まだ日が高いうちだけです。

『ではここで...』と、テーブルを前に腰を掛け暖かい飲み物を飲んでおりますと、池の方から連続的な高い鳥の鳴き声が...。

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声の主は、「かわせみ」でした。季節的には一番餌が少なく、生きるためには厳しい時期です。

また、かわせみは人気のある鳥なので幾つかその姿をご覧頂こうと思います。

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留まる場所は、ちょっと不安定なススキの穂やがまの穂の上など、

水辺の植物を上手に利用して水面下の獲物を探します。

Blog-12-45こちらは池へと張り出ている枝。水中の生き物を探すのにはうってつけです。

このように縄張りがあって、一巡りすると何れかの場所にまた戻ってきます。

巡回先は生活の場であり、「監視所」として、また獲物に狙いを定めた時の「飛び込み台」でもあります。

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かわせみの魅力は、まず鮮やかな色合い。何故このような配色なのでしょうね。これも不思議です。

それからお気づきでしたか。上の「がまの穂」と、「蕾のついた枝」の写真を比べて下さい。頭から背、羽根にかけての色は、「翡翠色」にも「青」にも見えませんか。

これは、羽の構造によるものでその時の光の状態で異なって見えるのです。

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一方、この鳥には別の魅力もあります。

長く尖ったくちばしを持ち、精悍な目つきをしていますね。その風貌から察しがつくように餌取りに於いて敏捷性が高く、また空中でホバリング状態から、そのまま水中へ「ドボン!...」

確かに行動の一部始終を観察すると、正にスピード感あふれる「水辺のショウ」そのものです。これも魅力なのでしょう。

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あっ、今かわせみが空色になって飛んでいきます。今し方まで、手前の石の上に留まっていたのですよ...。

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熱中して追っていた目をファインダーから外すと、何と辺り一面は光の演出によって一番美しい時を迎えていました。

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再び枝先に舞い戻って来たかわせみは、日の光が林の向こうへ落ちる直前まで餌をじっと探していました。

絵画のような光景に心を奪われ、もう少し鑑賞したいところですが、餌探しの邪魔をせぬように静かに歩き始めます。

青の透過光を受けて

日没後。天空から青の透過光を受けて幻想的な風景を描き出します。

例えばモクレン科の「ユリノキ」...。

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見上げた大樹の踊るような枝先と乾いた果実に、心の何処かで「昔の記憶」をたぐり寄せていました。

『何処かで見た記憶とは、昔、レストランの壁に掛かっていたランプ・シェードだったのね...』と、その様はシンプルで装飾的。

優艶な南天の姿

寒さに急ぐ帰り道の途中で、木立から「お待ちなさい」と、呼び止められた気がしました。それは道端近くの「南天」。

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「青の紗」がかかった今、赤い実や葉が優艶な姿を見せています。

でもこの美しい貴婦人のような南天も、ほんの限られた時間だけ。もうすぐ夜の帳が完全に落ちその姿も見えなくなっていきます。

本日ラストの写真 「雪と南天」

て街に灯りが、ともるようになると、「光の野外美術館」はそろそろ閉館時間となります。

ここで別の機会に撮影した「雪と南天」の3枚をご覧になりながらもう少しお話を続けますね。

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今回展示した作品は、季節の花々を登場させる事なく「季節感を表現する」と言う、私の1つの実験でもありました。

理由としては、特にこの季節の「光の美しさ」に焦点を絞ってみようと考えたからです。

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四季折々に咲く花は、季節を感じさせ、人々を魅了します。

しかしそれだけではなく、他の季節では見られない1,2月の光の美しさもまた、この「光の野外美術館」を通してまた再発見して頂けたらとても嬉しく思います。

すでに冒頭で述べましたが、光は殺風景な風景を静寂で清らか、また華麗で、更には幻想的な色で、見事に演出してくれました。

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そして今回の試みが、写真が好きな方々にとりましても「何をどのように表現するのか」を今一度考えて頂く上で、ヒントになればと願っております。

それでは、本日は只今をもって当館は閉館と致します。この度は当美術館へお越し頂きまして誠にありがとうございました。またのご来館をお待ちしております♪

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お知らせ

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